【堺 弁護士が解説】いじめで学校が動かないとき|重大事態調査の進め方
いじめ学校この記事のポイント
- いじめ防止対策推進法28条の「重大事態」は、被害が確定したときではなく「疑いがあると認めるとき」に調査が始まります。学校が結論を出すのを待つ必要はありません。
- 保護者からの申立てがあったときは、学校が重大事態ではないと考えていても、重大事態が発生したものとして扱うのが国の方針です。申し入れは口頭ではなく書面で残します。
- 学校の調査に納得できないときは、公立校なら教育委員会を通じて市長へ報告が上がり、市長の判断で再調査という道があります。
- 加害児童生徒の出席停止は条文上の制度としては存在しますが、命じられた例はごくわずかです。座席やクラス編成の調整など、現実に動く手段から組み立てます。
学校とのやり取りに行き詰まったときの費用感や進み方については、弁護士費用のご案内とご相談の受付ページもあわせてご覧ください。
目次
「様子を見ましょう」と言われたまま、二学期が近づいてくる
夏休みの前、担任の先生に子どもの様子を伝えた。先生は熱心に聞いてくれたし、加害側の子とも話をすると言ってくれた。ところが休みに入ってからは連絡がなく、こちらから電話をしても「あの件は落ち着いています」と返ってくるだけ。子ども本人は、九月から学校に行けるかどうか自分でも分からないと言っている。
堺市内でいじめのご相談をお受けしていると、この時期に同じ相談が重なります。学校が何もしていないわけではないのに、保護者から見ると何も進んでいないように見える。この食い違いには理由があり、理由が分かれば打つ手も見えてきます。
この記事では、学校が動いてくれないと感じたときに保護者が踏める手続を、いじめ防止対策推進法の条文に沿って順に整理します。加害者本人や学校への損害賠償請求そのものはいじめの損害賠償請求について解説した記事で扱っていますので、ここでは学校と教育委員会を動かす場面に絞ります。
学校が「いじめではない」と言うとき、何が起きているのか
認定をためらう三つの事情
学校側の言い分を数多く聞いてきた経験からいうと、担任や管理職が事実を隠そうとしている場面は、思われているほど多くありません。動きが止まる原因は別のところにあります。
一つは、加害とされた側の児童生徒とその保護者から強い反論が出ていて、学校が双方の主張の間で身動きが取れなくなっている状態です。学校は捜査機関ではないので、否認されると事実の確定に時間がかかります。
もう一つは、担任と学年主任のところで情報が止まり、校長や教育委員会まで上がっていない状態です。学校の中では「大ごとにする前に自分たちで解決したい」という力が働きやすく、これが結果として初動を遅らせます。
見落とされやすいのが、いじめの定義そのものについての誤解です。いじめ防止対策推進法2条のいじめは、心身の苦痛を感じているかどうかを軸に定義されており、加害側の意図や行為の悪質さは要件になっていません。ところが学校では「ふざけていただけ」「双方に非がある」という理解が残っていて、それが認定の遅れにつながります。いじめの認定と、そこから生じる責任の関係はいじめが認定されるとどうなるかを解説した記事で整理しています。
堺市内の小学校と中学校からのご相談を弁護士としてお受けしていると、保護者と学校が同じ出来事を見ているのに、認識だけが食い違っている場面によく出会います。学校は「指導は済んだ」と考え、保護者は「何も起きていない」と受け取る。この溝を埋めるには、双方が同じ事実の並びを共有するところから始めるほかありません。
保護者が「動いていない」と感じる理由
学校には守秘の意識があり、加害側の指導内容を被害側に細かく伝えない運用が根強く残っています。指導はしているのに、何をしたかが伝わらない。この非対称が「放置されている」という感覚を生みます。
法律はここに手当てをしています。重大事態の調査を行ったときは、被害を受けた児童生徒とその保護者に、事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとされています(いじめ防止対策推進法28条2項)。情報を求めることは、保護者のわがままではなく法律が予定している行動です。
いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」の二つの入口
生命、心身、財産への重大な被害
一つ目の入口は、いじめにより在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときです(28条1項1号)。骨折や治療を要する怪我はもちろん、金銭を継続的に持ち出されている状況、精神科への通院が必要になった状況などが含まれます。
条文の作りで見落とされやすいのは、「重大な被害が生じたとき」ではなく「生じた疑いがあると認めるとき」と書かれている点です。診断書がそろっていなくても、被害の疑いがある段階で調査が始まります。
相当の期間の欠席
もう一つの入口は、いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときです(28条1項2号)。国の方針では年間30日程度が目安とされていますが、これは絶対の線引きではありません。数日の欠席でも、その間に子どもが受けた被害の深刻さによっては重大事態として扱うべき場面があります。
現場では、この日数が一人歩きしがちです。文部科学省のガイドラインは、欠席していないことを理由に詳細な調査を行わないという対応をとらないよう、はっきりと注意を促しています。教室に来てはいるが保健室で過ごしている、登校はしているが授業に出られない、といった状態も見過ごせません。
診断書がそろう前に動き出せる理由
条文の建前では、疑いの段階で調査が始まります。ところが現場の運用では、学校が事実関係をある程度固めてから重大事態として扱おうとする傾向が残っています。この順序が逆転すると、記憶が薄れ、関係する児童生徒が転校し、調査そのものが難しくなります。
保護者としては、条文が「疑い」で足りるとしている点を明示して申し入れることが、時間を取り戻す一番の近道になります。条文の全文はe-Gov法令検索のいじめ防止対策推進法のページで確認できます。
保護者からの申立てという最も強い一手
学校の判断を待たずに調査を始めさせる
国の「いじめの防止等のための基本的な方針」は、児童生徒や保護者からいじめにより重大事態に至ったという申立てがあったときは、学校がその時点で重大事態ではないと考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告し調査等に当たる、としています。
ここは押さえておきたい部分です。重大事態にあたるかどうかの入口の判断を、学校だけに委ねなくてよい。保護者の申立て自体が、調査を始める引き金になります。文部科学省も令和6年8月改訂のガイドラインで、保護者からの申立ては学校が把握していない重要な情報である可能性がある、という位置づけを明確にしました。改訂の内容は文部科学省のガイドライン改訂に関する通知のページで公開されています。
申し入れは書面で、事実は時系列で
口頭で伝えただけでは、後から「そこまでの申立てとは受け取っていなかった」と食い違いが生じます。当事務所でご相談をお受けするときは、まず書面を作ることをご提案しています。盛り込む中身は多くありません。
いつ、どこで、誰が、何をしたか。子どもがどのような状態になっているか。医療機関にかかっているならその事実。学校にこれまで何を伝え、どう返ってきたか。そして、いじめ防止対策推進法28条1項に基づく重大事態としての調査を求める、という一文。この五つがそろっていれば足ります。
書面は郵送でも持参でも構いませんが、受け取った日付が残る形にしておきます。内容証明郵便という手段もあり、その効果と限界はいじめ問題で内容証明を使う場面を解説した記事にまとめています。学校に対しては、通常の書面を持参して受付印をもらう形で足りる場面が多いという印象です。
記録は日々の積み重ねから
子どもから聞き取った内容は、その日のうちにメモに残します。日付、場所、居合わせた人、子どもが使った言葉をそのまま書き留めることが後々効いてきます。保健室の来室記録、欠席日数、SNSやメッセージアプリのやり取りの画面保存、通院の記録も同じです。
証拠として何が使えるかについてはいじめの証拠に関する記事で詳しく扱っています。学校対応の場面では、裁判で通用する証拠というより、時系列を再現できる材料が集まっているかどうかが分かれ目になります。
調査が始まってから確認したいこと
誰が調べるのか
重大事態の調査は、学校の設置者または学校の下に組織を設けて行います(28条1項)。公立校の場合、教育委員会が主体となる調査と、学校が主体となる調査のどちらもあり得ます。
学校が主体になるときは、日頃の関係が調査の中立性に影響しかねません。組織の顔ぶれ、外部委員が入っているか、その外部委員が学校や教育委員会と利害関係のない立場かどうかを、早い段階で確認しておきます。納得できないときは、設置者主体の調査への切り替えを求めることも考えられます。
何をどこまで調べるのか
裁判例のなかには、部活動内のいじめについて、学校が部員から個別に事情を聴いて謝罪させることに終始し、重大事態と位置づけたうえでの網羅的な調査を行わなかった点をとらえて、義務違反があったと判断したものがあります。関係者への個別の聴取だけでは足りず、全体像を明らかにする調査が求められるという理解です。
質問票による全体調査を行うのか、対象学級はどこまでか、聴取の順序はどうするのか。この設計に保護者の意見を反映させておくと、後から「聞かれていない子がいた」という不満が残りにくくなります。
結果をどう受け取るか
調査を行ったときは、被害を受けた児童生徒とその保護者に対して、重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとされています(28条2項)。報告書の全文が交付されるとは限らず、他の児童生徒のプライバシーに関わる部分が伏せられることもあります。
条文の建前では情報提供が義務ですが、運用の場面では提供の範囲をめぐって折衝になります。要約だけで済まされそうなときは、伏せる必要のある部分を除いた形での交付を求めるという進め方があります。
【弁護士からひとこと】学校とのやり取りは、感情が高ぶるほど記録が薄くなります。電話で長く話した日ほど、何が決まったのか分からないまま終わりがちです。当事務所では、まず時系列を一枚の表に落とし、次に申し入れの書面を作るところからお手伝いしています。堺市内の小中学校の対応にお困りの方は、お電話(072-248-4848)かご相談の受付ページからご連絡ください。初回のご相談は30分5,500円で承っています。
学校の調査に納得できないとき
市長への報告と再調査(公立校の場合)
公立の学校で重大事態が起きたときは、学校が教育委員会を通じて、その地方公共団体の長に報告しなければなりません(30条1項)。報告を受けた長は、必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法で、学校の調査結果についてあらためて調査ができます(同2項)。いわゆる再調査です。
再調査を行ったときは、その結果を議会に報告することとされています(同3項)。そして長と教育委員会は、調査結果を踏まえて必要な措置を講ずるものとされています(同5項)。教育委員会の内部だけで完結させず、市長部局と議会という別のルートに乗せる仕組みが用意されているわけです。
条文の建前では長の裁量による再調査ですが、現場の運用では、保護者からの申入れがあって初めて検討が始まることがほとんどです。学校の調査に重大な欠落がある場合には、その欠落を具体的に指摘したうえで再調査を求めることになります。
記録の開示を求める
調査の過程で作られた資料は、公立校であれば公文書に当たり、各自治体の情報公開条例に基づく開示請求の対象になります。加えて、自分や自分の子に関する個人情報については、個人情報保護法に基づく開示請求という道もあります。
他の児童生徒の情報は伏せられますが、学校がいつ何を把握し、どこに報告したのかという経過は、開示された文書から見えてくることがあります。損害賠償を検討する段階になると、この経過が学校側の対応の適否を判断する材料になります。
弁護士会の人権救済申立て
日本弁護士連合会と各弁護士会は、人権侵害についての救済申立てを受け付けています。調査が入り、必要と判断されれば、学校や教育委員会に対して警告や勧告が出されます。
結論が出るまでに時間がかかること、強制力を伴わないことは正直にお伝えしています。それでも、第三者の目が入ること自体が学校の対応を変える場面はあります。
加害児童生徒への対応と、条文と現実の距離
出席停止という制度
学校教育法35条1項は、市町村の教育委員会が、他の児童に傷害や心身の苦痛、財産上の損失を与える行為などを繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認めるときは、その保護者に対して児童の出席停止を命ずることができる、と定めています。中学校にも49条を通じて準用されます。命じる際には、あらかじめ保護者の意見を聴き、理由と期間を記載した文書を交付します(同条2項)。出席停止の期間中の学習支援などの措置も定められています(同条4項)。
条文だけを読めば、被害を受けた子の安全を確保する手段として使えそうに見えます。ところが現場では、いじめを理由に出席停止が命じられた例はごくわずかです。加害とされる子にも教育を受ける権利があり、教育委員会が処分に踏み切るハードルが高いことが背景にあります。
さらに、この制度は市町村教育委員会が公立小中学校について行うものとして設計されているため、国立や私立の学校には規定がありません。私立校で同じ効果を求めるときは、学校の内部規程に基づく指導や、後述する在学契約上の対応を考えることになります。
現実に動かせるもの
出席停止が難しい場面でも、打てる手はあります。座席の配置換え、部活動の時間帯の調整、登下校の経路や時間の分離、次年度のクラス編成での分離。これらは学校の判断で実行できるうえ、被害を受けた子の負担を実際に減らします。
当事務所でお手伝いするときは、出席停止を最初から求めるより、こうした個別の措置を書面で具体的に求め、実施状況の報告を約束させる進め方をご提案することが多くなります。求める内容が具体的であるほど、学校は動きやすくなります。
加害児童生徒本人や保護者への損害賠償請求を並行して検討する場面もあります。その進め方はいじめの加害者に請求する方法を解説した記事にまとめました。
学校の種類による違い
公立の小中学校
設置者は市町村です。重大事態は教育委員会を通じて市長へ報告され(30条1項)、市長の判断で再調査の可能性があります。堺市内の市立小中学校であれば、この流れに乗ります。
私立の学校
学校法人が設置する学校で重大事態が起きたときは、所轄庁である都道府県知事に報告することとされています(31条)。公立とは報告先が異なり、再調査の主体も知事になります。加えて私立校では、入学時に結ばれる在学契約に基づく安全配慮の観点から、学校法人に対して対応を求めるという構成も検討します。
国立大学の附属学校
国立大学法人が設置する附属学校の場合は、学長または理事長を通じて文部科学大臣に報告することとされています(29条)。報告を受けた文部科学大臣が調査結果について調査を行うことができる点は、公立の再調査と似た構造です。
教員個人の行為が問題になる場面では、体罰の扱いも重なってきます。学校側の責任の枠組みは体罰をした教員の責任について解説した記事でも触れています。
堺市内の学校で相談するときの窓口と進め方
学校の外にある相談先
担任や管理職とのやり取りが行き詰まったときでも、いきなり法的な手続に進む必要はありません。市町村の教育委員会には学校教育に関する相談窓口が置かれ、都道府県の教育委員会や教育センターにも相談の受け皿があります。堺市内の公立小中学校であれば、設置者は堺市ですから、市の教育委員会が学校を指導する立場に立ちます。
学校を飛び越して教育委員会へ相談することをためらう保護者は多いのですが、重大事態の調査は本来、設置者または学校が主体になる仕組みです。設置者である教育委員会に事実を届けること自体は、手順を外れた行動ではありません。
法務局の人権相談、児童相談所、警察の少年相談窓口も、事案の性質によっては選択肢になります。暴力や金銭の持ち出しが繰り返されている場面では、学校の対応と並行して警察へ相談しておくことで、記録が公的な形で残ります。
相談の順番をどう組むか
条文の建前では、学校と設置者のどちらが調査主体でも構いません。堺市内の学校での運用を見ていると、まず学校へ書面で申し入れ、同じ内容の写しを教育委員会へも届けるという二段構えが、最も早く動き出す形になっています。学校には対応する機会を与えつつ、設置者にも事実が届いている状態を作れるからです。
弁護士に依頼するかどうかは、この段階で決めていただければ足ります。堺市内から当事務所にお越しになる保護者の多くは、学校とのやり取りをご自身で続けたうえで、行き詰まってからご相談に来られます。早い段階でご相談いただければ、書面の作り方や記録の残し方だけをお伝えして、あとはご自身で進めていただくという関わり方もできます。
当事務所でよくお引き受けするご相談事例
ここでご紹介するのは、これまでにお受けした複数の事案を組み合わせて一般化した例です。個人が特定されないよう細部は変えており、同じ経過や同じ結果をお約束するものではありません。
欠席が続いても重大事態として扱われなかった中学生の事案
中学2年の女子生徒が、同じ部活動の複数名から無視や持ち物の隠匿を受け、5月から断続的に欠席し、9月には月の登校日数が3日まで落ち込みました。保護者が学校に相談したところ、「本人の体調の問題もある」として、重大事態としての報告はされていませんでした。
学校側は当初、部活動内の人間関係のもつれであり、いじめとまでは言えないという立場でした。欠席についても、いじめが原因だと断定できないという説明にとどまっていました。
ご依頼を受けて、まず欠席日数と保健室の来室記録を時系列に整理し、いじめ防止対策推進法28条1項2号に基づく重大事態としての調査を求める書面を、学校と市の教育委員会の双方に提出しました。国の方針で、保護者からの申立てがあったときは重大事態として扱うこととされている点も明記しました。
書面提出から約3週間で調査組織が設置され、外部委員2名を含む構成となりました。学年全体への質問票調査を経て、無視と持ち物の隠匿の事実が認定され、加害側の生徒は部活動の参加時間帯を変更する措置が取られました。生徒は3学期の途中から別室登校を経て教室に戻っています。
弁護士の見解としては、この事案の分かれ目は書面の提出そのものより、欠席日数を客観的な記録で示せたことでした。学校との会話が平行線になっているときほど、記録の力が効いてきます。
学校の調査報告書に納得できず再調査を求めた事案
小学5年の男子児童が、複数の児童から継続的な暴力を受け、前歯の破折で治療費が18万円ほどかかりました。学校は重大事態として調査を行いましたが、報告書は「一部に行き過ぎた行為があった」という表現にとどまり、暴力の頻度や期間についての記載がありませんでした。
学校側は、調査は尽くしており、これ以上の事実認定はできないという立場でした。保護者への情報提供も、報告書の要約の口頭説明のみでした。
ご依頼後、まず情報公開条例に基づいて調査の関係文書の開示を請求し、聴取対象が5名にとどまっていたこと、同じ学級の児童のうち約半数が聴取を受けていなかったことを確認しました。そのうえで、聴取対象の限定という具体的な欠落を指摘して、市長に対し再調査を求める申入れを行いました。
再調査が実施され、暴力が半年以上にわたっていたこと、複数回にわたり教員が現場を目撃していたことが新たに認定されました。この認定を前提に、加害児童の保護者との示談交渉に移り、治療費と慰謝料を含めて解決しています。
弁護士の見解を申し上げると、再調査を求めるときに「納得できない」とだけ伝えても検討は進みません。どの範囲が調べられていないのかを文書で示せたことが、判断を動かしたと考えています。
加害側とされたご家庭から相談を受けた事案
中学1年の男子生徒が、SNS上のやり取りをきっかけに同級生への加害者として名指しされ、学校から保護者に対して事実関係の確認と謝罪を求める連絡がありました。ご相談に来られたのは加害側とされたご家庭でした。
学校側は、被害を訴えた生徒の申告に基づき、加害の事実を前提とした指導を進めようとしていました。保護者は、子ども本人が一部の書き込みは自分ではないと話していることに戸惑っていました。
お引き受けした後、まずご本人から時系列で聞き取り、端末に残っていた送信履歴と、他の生徒から転送された画像の投稿時刻を照合しました。指摘された書き込みのうち2件は別のアカウントからのものであることが分かり、これを整理した書面を学校に提出しました。
調査の結果、加害行為の一部は認められましたが、範囲は当初の指摘より限定されたものとして扱われました。認められた部分については本人が謝罪し、相手方のご家庭とも話し合いのうえで解決に至っています。
弁護士の見解としては、加害側と名指しされた側にも、事実を正確に確定させる利益があります。認めるべき部分と認められない部分を分けて示すことが、結果として双方の負担を軽くします。
よくある質問(FAQ)
学校に相談してから、どのくらいで調査は始まりますか
決まった期限はありません。ただ、保護者から重大事態としての申立てがあったときは、学校の判断を待たずに調査へ着手することとされています。当事務所で書面を出した事案では、提出から2週間から1か月程度で調査組織の設置に至ることが多い印象です。1か月を過ぎても具体的な動きがないときは、教育委員会への直接の申入れを検討します。
弁護士に依頼すると学校との関係が悪くなりませんか
心配される方は多いのですが、実際にはむしろ話が整理されることのほうが多いと感じています。学校としても、感情的なやり取りが続くより、求められている内容が書面で明確になるほうが対応しやすいからです。代理人が入ることで、保護者が直接矢面に立たずに済むという面もあります。
加害側の子どもを転校させることはできますか
保護者の意思に反して転校させることはできません。公立小中学校では、市町村教育委員会が保護者に対して出席停止を命じる制度が学校教育法35条にありますが、実際に命じられる例はごくわずかです。現実的には、座席やクラス編成、部活動の時間帯といった個別の措置を求めるほうが早く結果につながります。
卒業してからでも調査を求められますか
在学中でなくなると学校の調査は難しくなりますが、損害賠償請求は別です。不法行為に基づく請求には時効の定めがあり、被害を受けた本人が未成年の間は進行が猶予される規定もあります。時効の考え方は事案によって異なりますので、卒業後にご相談いただく場合も、まずは経過を整理するところから始めます。
相談のときに何を持って行けばよいですか
これまでの経過をまとめたメモがあると話が早く進みます。学校とのやり取りの記録、通院している場合は診断書や領収書、SNSやメッセージのやり取りの画面保存、欠席日数が分かるもの。そろっていないものがあっても構いません。手元にあるものだけお持ちください。
堺市で弁護士をお探しなら田渕総合法律事務所へご相談ください
学校が動いてくれないと感じたとき、保護者が踏める手続は条文のなかに用意されています。重大事態としての申立て、調査内容への意見、結果の情報提供の要求、そして再調査。順番に踏んでいけば、学校の対応は変わっていきます。
田渕総合法律事務所は堺東駅から徒歩5分。いじめと学校対応の分野では、学校や教育委員会への申入書の作成、調査への意見提出、加害児童生徒側との示談交渉、学校法人や自治体への損害賠償請求までを扱っています。被害を受けたご家庭からのご相談だけでなく、加害側と名指しされたご家庭からのご相談もお受けしています。
初回のご相談は30分5,500円で承ります。お電話は072-248-4848、ご相談の受付ページからもご予約いただけます。弁護士費用の目安は費用のご案内に掲載しています。学校とのやり取りに疲れてしまう前に、一度お話をお聞かせください。
弁護士監修:田渕総合法律事務所

◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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【ココナラ法律相談】
https://legal.coconala.com/lawyers/4738