【堺 弁護士が解説】いじめの損害賠償請求|加害者・学校に慰謝料をいくら請求できるか、裁判の流れと時効 |堺市の弁護士【田渕総合法律事務所】堺東駅5分

田渕総合法律事務所
072-248-4848

平日9時〜19時(土日は要予約で相談可能)

24時間相談予約受付中

【堺 弁護士が解説】いじめの損害賠償請求|加害者・学校に慰謝料をいくら請求できるか、裁判の流れと時効

この記事のポイント(先に結論)
いじめの損害賠償は、加害児童生徒本人、その保護者、学校の三者に切り分けて考えます。本人は責任能力があれば民法709条、責任能力がなければ保護者が民法714条で責任を負います。公立学校は国家賠償法、私立学校は在学契約上の安全配慮義務が根拠になります。慰謝料の額は事案により幅が大きく、証拠の量と重大事態調査の結果が結論を左右します。生命・身体に関わる被害は、知った時から5年で時効にかかる点に注意が必要です。費用や進め方は費用のページお問い合わせもご覧ください。

お子さんが学校でいじめを受け、心や体に傷を負ったとき、多くの保護者がまず思うのは「誰かに責任をとってほしい」という気持ちだと思います。けれど、いざ損害賠償を考え始めると、相手は加害児童なのか、その親なのか、それとも見て見ぬふりをした学校なのか、はっきりしないまま時間だけが過ぎていきがちです。堺市内でご相談をお受けしていても、被害の記録が薄れ、加害側が転校し、気づけば何年も経っていた、という例は少なくありません。

この記事では、いじめの損害賠償について、誰に何を請求できるのか、慰謝料はどのくらいになるのか、そして裁判になった場合の流れと費用、見落としやすい時効までを、条文と裁判例に沿って整理します。堺東駅から徒歩5分の当事務所が、学校問題のご相談で実際にお伝えしている考え方をもとにお話しします。

いじめの損害賠償は誰に請求できるのか

いじめの損害賠償を考えるとき、請求の相手はひとつではありません。大きく分けて、加害児童生徒本人、その保護者、そして学校の三つが問題になります。それぞれ責任の根拠となる条文が違うため、切り分けて考えることが出発点になります。

加害児童生徒本人の責任(民法709条)

いじめという加害行為そのものをしたのは、加害児童生徒本人です。他人の権利を故意または過失で侵害した者は損害賠償の責任を負う、という民法709条の不法行為が基礎になります。

ただし、加害者が子どもの場合には「責任能力」という関門があります。民法712条は、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能(事理弁識能力)を備えていない未成年者は賠償責任を負わない、と定めています。裁判例や解説書の整理では、一般におおむね小学校高学年になれば事理弁識能力があるとされ、中学生であればほぼ責任能力が認められます。逆に、低学年の児童は本人に賠償責任が成立しないことが多く、その場合は次に述べる保護者の責任が前面に出ます。

加害児童生徒の保護者の責任(民法714条・709条)

加害者が幼く責任能力がない場合、その監督義務者、つまり親が代わって責任を負います。これが民法714条1項の監督義務者責任です。監督義務を怠らなかったことを親の側で立証できれば免れますが、その証明は容易ではありません。

一方、加害者が中学生などで責任能力がある場合には、714条は直接には使えません。もっとも、その場合でも、親自身に子の監督についての落ち度があり、それがいじめと相当の関係にあると評価できるときは、親固有の不法行為として民法709条で責任を問える余地があります。複数の加害者が関わっていれば、民法719条の共同不法行為として連帯責任を検討することもあります。

条文のたてつけとしては本人と親をきれいに区別できますが、当事務所にご相談に来られる段階では、加害者の年齢や関与の度合いがあいまいなことが多く、本人と保護者の双方を視野に入れて証拠を集めておくのが安全です。

学校の責任(国家賠償法・在学契約上の安全配慮義務)

見落とされがちなのが学校の責任です。学校は、児童生徒の安全に配慮し、いじめの兆候をつかんだら適切に対応する義務を負っています。この義務を果たさなかった結果として被害が拡大した場合、学校にも損害賠償を求められることがあります。

根拠は学校の設置者によって変わります。公立学校であれば、教職員が職務上の注意義務を怠ったものとして、国家賠償法1条に基づき自治体(市町村や大阪府)に対して請求します。私立学校であれば、在学契約に付随する安全配慮義務の違反として学校法人に、あるいは教師や校長が代理監督者にあたるとして責任を検討します。国家賠償の仕組みでは、担任などの教職員個人が直接お金を払うのではなく、自治体が賠償の主体になり、故意や重い過失があった場合に自治体から本人へ求償される建前です。相手が個人ではなく自治体になるぶん、交渉の窓口や手続の進み方にも独特の流れがあります。

制度の建前としては学校の責任は幅広く認められそうに見えますが、裁判例の整理では、学校が「いじめを予見できたか」「予見したうえで適切に動いたか」がていねいに問われ、結論は事案ごとに分かれます。だからこそ、後で述べる重大事態の調査資料が持つ意味が大きくなります。

請求できる損害と慰謝料の相場の考え方

損害賠償として何を請求できるのかも、あらかじめ知っておくと見通しが立てやすくなります。

まず、いじめによってけがをしたり通院・カウンセリングが必要になったりした場合の治療費や通院交通費は、実際にかかった実費として請求の対象になります。学校に通えなくなり、転校やフリースクール利用を余儀なくされたときの費用も、いじめとの関係が認められれば含められます。そして、精神的苦痛に対する慰謝料が中心的な項目になります。生命や後遺症に関わる重い結果が生じた事案では、逸失利益など損害の範囲がさらに広がります。加えて、弁護士に依頼して訴訟をした場合、認容額の一定割合が弁護士費用相当の損害として上乗せされることがあります(最判昭和44年2月27日)。

被害が重く、通院に保護者の付き添いが必要だった場合の付添費用や、症状が長引くときの将来の治療費・カウンセリング費用が問題になることもあります。まれに、いじめが原因で回復の難しい結果に至った痛ましい事案では、後遺症による逸失利益や、命に関わる結果についての損害まで争点が広がります。どこまでを損害として組み立てられるかは、被害の重さと証拠のそろい方しだいで、はじめのご相談で全体像を一緒に描くところから始めます。

気になるのは慰謝料の相場だと思います。ここは正直にお伝えしておきたいのですが、いじめの慰謝料は事案による幅が非常に大きく、「いくら」と一律に示せるものではありません。参考として、私立小学校でのいじめについて加害者の親の監督義務者責任を認め、慰謝料70万円を認容した裁判例があります(東京地判令和元年7月16日)。他方で、被害が重大で学校の対応の落ち度も大きい事案では、金額がこれを大きく上回ることもあります。逆に、証拠が乏しく因果関係の立証が難しければ、請求どおりに認められないこともあります。金額の見込みは、集まった証拠と被害の重さを見たうえで、はじめてお示しできるものだとお考えください。

【弁護士からひとこと】いじめの損害賠償は、時間が経つほど証拠が集めにくくなります。診断書やメモ、学校とのやりとりが手元にあるうちに、一度弁護士へご相談ください。お電話(072-248-4848)またはお問い合わせフォームから承ります。費用の目安は費用のページをご覧ください。

いじめ防止対策推進法と「重大事態」の調査

損害賠償を考えるうえで、いじめ防止対策推進法という法律を押さえておくと有利に働くことがあります。この法律は、学校や教育委員会にいじめへの対応を義務づけており、なかでも重要なのが「重大事態」の仕組みです。

同法28条は、いじめによって児童生徒の生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがあるとき、または、いじめによって相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるときに、これを重大事態として扱い、学校の設置者または学校の下に組織(いわゆる第三者委員会など)を設けて事実関係の調査を行う義務を定めています。

保護者の立場からすると、この重大事態の調査を求め、その報告書を得ることには二重の意味があります。ひとつは、学校内部で何が起きていたのかを公的な手続で明らかにできること。もうひとつは、そこで作成された調査資料が、後の損害賠償請求で重要な証拠になり得ることです。制度の趣旨としては再発防止のための調査ですが、現場では、この調査結果が学校の対応の当否を判断する材料になり、交渉や訴訟の見通しを大きく左右します。学校側が調査に消極的なときにこそ、弁護士が間に入って手続を前に進める意味が出てきます。

第三者委員会による調査では、委員の人選や進め方について保護者が意見を述べられる場面があります。調査の中立性に疑問が残るときは、別の枠組みでの再調査を求める道もあります。報告書を受け取ったら、そこに書かれた事実経過と評価を弁護士とともに読み解き、損害賠償で使える部分と、反論しておくべき部分を仕分けておくと、その後の交渉がぶれません。

いじめの定義や学校の対応義務など、制度の詳細は文部科学省の資料で確認できます(外部リンク:文部科学省「いじめ防止対策推進法」関連ページ)。

損害賠償請求から裁判までの流れ

実際に損害賠償を求めるとき、いきなり裁判を起こすわけではありません。おおまかな進み方を知っておくと、不安が小さくなります。

最初に取り組むのは、証拠を確保することです。診断書やカウンセリングの記録、本人が書いたメモや日記、けがの写真、学校とのやりとりの記録、そして重大事態の調査報告書が中心になります。当事務所では、ご相談の初期段階で、まだ残っている証拠と、これから集められる証拠を仕分けし、優先順位をつけてお願いしています。いじめは密室で起きやすく、後から「言った・言わない」の争いになりがちですから、日付の入った記録がとりわけ力を持ちます。診断書やカウンセリングの記録は心身の不調といじめの結びつきを示す土台になり、本人がつけていたメモや日記、メッセージアプリやSNSの画面保存は被害の継続性を裏づけます。けがや壊された持ち物の写真、金銭を要求されたやりとりのように、被害が形になって残っているものも重要です。学校が持つ担任への相談メモ、アンケート結果、重大事態の調査報告書は、学校がいつ何を把握していたかを示すもので、保護者から求めれば開示されることがあり、公立学校では情報公開請求も検討できます。集められる証拠には限りがありますから、何を優先して確保するかを早い段階で見極めることが、その後の結論を左右します。

証拠がある程度そろったら、加害者側や学校へ書面で通知し、話し合いによる解決を試みます。弁護士名の内容証明郵便で請求の趣旨を伝え、相手方の反応を見ながら示談交渉に進むのが通常の入り口です。話し合いの土台をつくる場として、民事調停や裁判外の話し合いの手続を選ぶこともあります。いきなり訴訟にせず交渉を先に置くのは、費用と時間を抑えつつ、相手の出方と手元の証拠の強さを見極めるためです。交渉でまとまらなければ、訴訟を提起します。訴訟では、主張と証拠を書面で出し合い、争点を整理したうえで、必要に応じて本人や関係者の尋問を行い、判決に至ります。和解で終わることも少なくありません。

期間は事案によりますが、交渉から訴訟まで進むと、解決までおおむね1年から2年程度を見込んでおくのが現実的です。費用については、着手金と、回収額に応じた報酬という形が一般的で、詳しくは費用のページでご確認ください。制度上は本人訴訟も可能ですが、学校や自治体を相手に、証拠にもとづいて法的な主張を組み立てるのは負担が大きく、当事務所にご相談に来られる方の多くは、途中から弁護士に切り替えておけばよかったとおっしゃいます。

いじめの加害者を訴えることそのものの可否や、弁護士が介入することの意味、内容証明の使い方については、当サイトの関連記事もあわせてご覧ください(いじめの加害者を訴えることはできるかいじめ被害に弁護士が介入するメリットいじめ問題での内容証明の送り方いじめが認定されるとどうなるか)。

見落とすと取り返しのつかない「時効」

損害賠償には時効があり、これを過ぎると請求そのものが難しくなります。いじめのように被害が心身に及ぶ事案では、生命・身体を害する不法行為として、損害と加害者を知った時から5年、いじめ(不法行為)の時から20年という期間が基準になります(民法724条の2、724条2号)。かつては知った時から3年でしたが、生命・身体に関わる被害については5年に延長されています。

もっとも、被害者が子どもの場合、いつから時効が進むのか、誰が「知った」といえるのかは単純ではありません。未成年の間は時効の完成が猶予される場面もあり、起算点の判断には注意が必要です。制度の文言だけを見て「まだ大丈夫」「もう手遅れ」と自己判断せず、5年という数字が視野に入ってきたら、早めに弁護士へご相談ください。

当事務所でよくお引き受けするご相談事例

ここでは、学校問題でお受けする典型的なご相談を、いくつかの事案を組み合わせて一般化した例としてご紹介します。細部は変えており、金額や経過はあり得る範囲での叩き台です。実際の見通しは、証拠と被害の内容を拝見してからお示しします。

一つ目は、中学2年の生徒が同級生グループから継続的な暴力と金銭の要求を受け、不登校になったという例です。相手方の当初の主張は「ふざけていただけ」「本人も同意していた」というものでした。当事務所では、本人のメモと通院記録、同級生の証言を整理し、加害生徒本人(責任能力あり)と各保護者に対して損害賠償を請求。あわせて学校へ重大事態の調査を求めました。結果として、治療費と慰謝料を含めた解決金での和解に至り、金額はおよそ180万円ほどとなりました。弁護士としては、金銭の要求という財産的被害が記録に残っていた点が、事実認定を後押ししたと見ています。

二つ目は、小学3年の児童が、はやし立てや持ち物の破損を繰り返され、登校を渋るようになった例です。加害児童は責任能力が認められにくい年齢だったため、請求の中心は保護者の監督義務者責任(民法714条)に置きました。相手方は当初「子ども同士のこと」と取り合いませんでしたが、担任へ相談していた記録と破損した持ち物の写真を示し、交渉で数十万円の解決金と再発防止の約束を得ました。低学年の事案では、本人ではなく親の責任を軸に据える組み立てが要になります。

三つ目は、公立中学校で、学校がいじめの訴えを受けながら十分な対応をとらず、被害が長期化したという例です。ここでは加害生徒側に加えて、設置者である自治体に対して国家賠償法にもとづく請求を検討しました。重大事態としての調査報告書で学校の対応経過が明らかになったことが交渉の材料となり、最終的に自治体を含めた和解での解決につながりました。学校の責任を問う場面では、調査資料をどう引き出すかが分かれ目になります。

これらはあくまで一般化した叩き台であり、同じ結果を保証するものではありません。いじめの事案は一つとして同じものがなく、証拠の量と質によって見通しが変わります。

よくある質問(FAQ)

加害者の親に直接お金を請求できますか

加害児童に責任能力がない場合は、監督義務者である親に対して民法714条で直接請求できます。責任能力がある年齢でも、親自身の監督の落ち度が問題になるときは民法709条で親の責任を問える場合があります。まずは加害者の年齢と関与の度合いを確認するところから始めます。

学校が「いじめではない」と言っています。あきらめるしかないですか

学校の見解と法的な評価は別物です。いじめ防止対策推進法の重大事態として調査を求める道や、集めた証拠をもとに損害賠償を検討する道が残っています。学校の判断だけであきらめる必要はありません。堺市内の学校とのやりとりでも、弁護士が間に入って調査が動き出した例があります。

何年も前のいじめでも請求できますか

生命・身体に関わる被害については、知った時から5年、いじめの時から20年が一つの区切りです。お子さんが被害を受けた当時に未成年だった場合は、起算点の扱いが変わることもあります。年数が経っていても、まず時効にかかっているかどうかの確認からお手伝いします。

相手が事実を認めません。それでも請求できますか

相手が否定していても、証拠によって事実を認定できれば請求は可能です。むしろ、否定されることを前提に、日付の入った記録や第三者の証言を積み重ねておくことが大切です。認めさせること自体が目的ではなく、裁判所を説得できるだけの材料をそろえられるかが分かれ目になります。堺市内の学校が関わる事案でも、記録の積み重ねで結論が動いた例があります。

いじめの損害賠償は、証拠の確保と請求先の切り分け、そして時効の管理が結論を大きく左右します。お子さんの被害でお悩みでしたら、記録が残っているうちに、堺東駅徒歩5分の当事務所へご相談ください。ご相談はお問い合わせフォームまたはお電話(072-248-4848)で承っております。費用の目安は費用のページをご確認ください。

弁護士監修:田渕総合法律事務所

この記事の監修者

田渕 大介弁護士 (大阪弁護士会所属)

TABUCHI DAISUKE

◆ 略歴
━━━━━━━━━━━━━━━━━
2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)

<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター

<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)

<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)

<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)

◆ ホームページ
━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ココナラ法律相談】
https://tabuchi-law-office.com/rikon/