【堺 離婚 弁護士】面会交流の決め方と会わせてもらえないときの対応
子どもとの面会交流親権と監護権この記事のポイント
- 子どもと会う取り決めは、離婚のときだけでなく別居中にもできます。令和6年の民法改正で、別居している親と子どもの交流について定めた817条の13が置かれ、呼び名も「親子交流」に変わりました。
- 決めるときは、頻度だけでなく、受渡しの場所と方法、連絡の手段、学校行事の扱いまで書き込んでおくかどうかで、後の揉め方が変わります。
- 会わせてもらえないときは、家庭裁判所の履行勧告、間接強制、再度の調停申立てという順に手段があります。間接強制は、取り決めの書き方が具体的でないと使えません。
- 相手からの暴力や子どもへの虐待がある場面では、交流を控える判断もあります。子どもの安全が最優先という点は、改正後も変わっていません。
取り決めの作り方や、進めるときの費用の見当については、離婚に関する弁護士費用のページと相談のお申し込みページにもまとめています。
目次
「会わせない」と言われた日から、話が止まってしまう
離婚の条件でおおむね折り合いがついていたのに、子どもと会わせるかどうかの話になった途端、相手が黙り込んでしまう。あるいは逆に、いったんは月に一度と決めたのに、実際にはあれこれ理由をつけて延期が続き、半年会えていない。堺市内で離婚のご相談をお受けしていると、この話がとても多く出てきます。
お金の条件は数字で折り合えます。子どもと会う取り決めは、数字では割り切れません。相手への感情、子ども自身の気持ち、それぞれの生活のリズムが絡み合うので、当事者だけで話すと平行線になりやすい部分です。
この記事では、子どもと会う取り決めをどう作るか、決めたのに実現しないときに何ができるかを順に整理します。離婚の手続全体の流れは離婚調停の進め方をまとめた記事に譲り、ここでは子どもとの交流に絞って書きます。
令和6年の民法改正で、この分野の条文はかなり動きました。呼び名が「親子交流」に変わり、別居している間の交流について新しい条文が置かれ、祖父母など父母以外の親族との交流にも道ができています。堺で離婚のご相談をお受けしている弁護士として、改正前の情報のまま話が進んでいる場面をよく見かけますので、変わった部分から順にご説明します。
そもそも誰のための取り決めなのか
親の権利ではなく、子どもの利益から出発する
民法766条1項は、協議離婚をするときに、子どもの監護をすべき者、監護の分掌、父又は母と子どもとの交流、監護に要する費用の分担などを協議で定めるとしたうえで、この場合には子どもの利益を最も優先して考慮しなければならない、と定めています。
この一文の置かれ方に意味があります。会う権利が親にあるという書き方ではなく、子どもの利益を軸に据えたうえで、その一環として交流を位置づけている。堺で離婚のご相談を受ける弁護士として、最初にご説明するのはこの点です。相手への感情から会わせたくないという気持ちは自然ですが、その気持ちだけを理由にすると、家庭裁判所では受け入れられにくくなります。
条文の全文はe-Gov法令検索の民法のページで確認できます。766条から817条の13までを続けて読むと、改正で何が足されたのかが見えてきます。
原則として実施するという考え方と、その後の揺り戻し
平成24年に民法766条が改められて以降、家庭裁判所では、交流を妨げる特段の事情がなければ実施する方向で調整するという運用が広がりました。面会交流原則実施論と呼ばれた流れです。
もっとも、この運用に対しては、子どもの状況を十分に見ないまま実施を先行させるのではないかという批判もあり、近年は個別の事情をより丁寧に見る方向に振れました。教科書的な整理では原則実施が出発点とされますが、裁判所の現在の運用では、子どもの年齢や意向、これまでの関わり方を踏まえた個別の判断が前に出るようになりました。
堺で離婚のご相談をお受けする弁護士の立場からいうと、この揺れは相談者にとって分かりにくい部分です。会いたい側からは「原則として認められるはずだ」と聞こえ、会わせたくない側からは「事情を見てもらえるはずだ」と聞こえる。どちらも間違いではなく、結局は個別の事情の積み上げで決まります。
令和6年の改正で動いた三つの場面
呼び名が「親子交流」になった
改正後の家事事件手続法152条の3の見出しでは、従来の「面会交流」に代わって「親子交流」という言葉が使われています。裁判所のホームページでも手続の名称は親子交流調停に変わりました。
言葉が変わっただけと受け取られがちですが、面会という語が持っていた「会わせてもらう」という語感を薄め、親と子の関係そのものに焦点を置き直したという意味があります。書面や調停の場では、今後は親子交流という言い方が標準になっていきます。
もっとも、日常の会話や検索の場面では面会交流という言い方がなお広く使われています。この記事でも、条文や手続の名称に触れるときは親子交流、日常の言い方をなぞるときは面会交流と、場面によって使い分けています。堺で離婚のご相談をお受けする際も、相談者の使う言葉に合わせてご説明しています。
別居中の交流に条文ができた
改正前の民法766条は、離婚するときの取り決めを定めた条文でした。婚姻中に別居している段階の交流については明文がなく、家庭裁判所は監護に関する処分の一種として扱ってきました。
改正で置かれた817条の13は、766条の場合のほか、子どもと別居する父又は母その他の親族と子どもとの交流について必要な事項は父母の協議で定める、としています。協議が調わないときは、父又は母の請求により家庭裁判所が定めます(同条2項)。別居した段階で、離婚の話とは切り離して交流だけを決められることが、条文の上ではっきりしました。
堺市内でも、離婚するかどうかを決めきれないまま別居が長引き、その間に子どもと会えなくなってしまう例を弁護士として数多く見てきました。改正後は、離婚の結論を待たずに交流の枠組みを作るという進め方が取りやすくなっています。
祖父母など父母以外の親族との交流
もう一つの変更が、父母以外の親族との交流です。離婚の場面では民法766条の2が、別居の場面では817条の13第4項が、子どもの利益のため特に必要があると認めるときに限り、父母以外の親族と子どもとの交流を定めることができるとしています。
申立てができるのは父母のほか、父母以外の子どもの親族です。ただし、直系尊属と兄弟姉妹以外の親族については、過去にその子どもを監護していた者に限られます。加えて、その親族と子どもとの交流を定めるために他に適当な方法があるときは申立てができません。祖父母が孫に会えないという相談は昔からありましたが、条文上の道筋ができたのは今回が初めてです。
親権の決め方が変わったことの影響
同じ改正で、離婚の際の親権について民法819条1項が改められ、協議で父母の双方または一方を親権者と定めることになりました。双方を親権者とする取り決めができるようになった点が、従来との大きな違いです。
親権をどう定めるかと、子どもと会う取り決めをどうするかは、条文上は別の問題として組み立てられています。双方が親権者になったからといって交流の回数が自動的に増えるわけではなく、逆に一方だけが親権者になったからといって交流が制限されるわけでもありません。もっとも、堺で離婚のご相談をお受けする弁護士の実感としては、親権の話と交流の話が交渉の場で結びつけられる場面が増えました。親権を譲る代わりに交流を手厚くする、という組み立ての協議が持ち込まれることがあります。
親権をどちらが持つかについては親権を確保するための準備をまとめた記事で扱っています。離婚後に親権者を変える手続との関係は後ほど触れます。
取り決めの中身をどこまで書き込むか
頻度と一回あたりの時間
条文上は頻度の基準が置かれていません。子どもの利益を最も優先して考慮するという指針があるだけで、何回が適切かは書かれていない。ところが家庭裁判所の運用では、月に一度、数時間から半日というあたりに落ち着く例が多く、書籍に載る条項例でも「面会交流の頻度は、月1回程度とする」という書き方が標準として紹介されています。基準がないはずの部分に、事実上の相場ができている状態です。
この相場を知らずに交渉に入ると、会いたい側は週に一度を求めて拒まれ、会わせたくない側は年に数回を提案して受け入れられない、という噛み合わない往復が続きます。堺で離婚の交渉をお引き受けする弁護士として、最初に相場をご説明するのは、そこから離れた主張を封じるためではなく、どこを起点に議論するかを共有するためです。
ここから外れる取り決めがないわけではありません。子どもが幼く母親から離れにくい時期は月に一度2時間から始めて段階的に伸ばす、逆に、これまで父親が主に世話をしてきた家庭では月2回で宿泊を含めるといった形もあります。堺で離婚を扱う弁護士としてご相談を受けるときは、この一年の生活の実際を聞き取ったうえで、無理のない出発点を探します。
受渡しの場所と方法
見落とされやすいのが受渡しです。取り決めの中で最も揉めるのは、実は頻度ではなく、どこで誰が引き渡すかという部分だったりします。
顔を合わせたくない相手であれば、駅の改札や商業施設の入口といった人目のある場所を指定し、双方の親が直接接触しない段取りにします。子どもが一人で移動できる年齢であれば、待ち合わせだけ決めて親は同行しないという形もあります。堺市内から相手方が市外へ転居している場面では、どちらがどこまで迎えに行くかで揉めやすく、中間地点を決めておくと後の調整が楽になります。
双方の接触そのものが難しいときは、第三者機関の付添いを利用する選択肢があります。家庭問題情報センター(FPIC)などが引受先になり、受渡しの立会いだけを頼む形と、交流の間ずっと付き添ってもらう形があります。利用には費用がかかり、待機期間が生じることもあるため、堺で離婚の交渉を進める弁護士としては、申込みの見通しを早めに確かめたうえで取り決めに組み込むようにしています。
回数を重ねて信頼が戻ってきたら、第三者機関を外して当事者だけの受渡しに移行するという段階の設け方もあります。最初から完成形を決めようとすると合意に至らないことが多いので、半年ごとに見直すという条項を入れておく進め方をご提案する場面もあります。
連絡の手段と、決めた日を動かすときの扱い
日程変更をどう扱うかを決めていないと、その都度もめます。前月の何日までに翌月の日程を確定させる、体調不良などで実施できなかったときは同月内に振替日を設ける、連絡はメッセージアプリの特定のやり取りに限る。この程度まで書いておくと、後の摩擦がかなり減ります。
宿泊を認めるか、長期休暇に別枠を設けるか、学校行事に同席してよいか、写真や動画を送るか。子どもの年齢が上がるほど、こうした項目の有無が実際の運用を左右します。
細かく決めるか、ゆるく決めるか
ここには考え方の分かれ目があります。細かく決めれば揉めにくくなる一方、生活の変化に合わせにくくなります。ゆるく決めれば柔軟に運べますが、相手が非協力的な場面では歯止めが利きません。
判断の目安になるのが、後で強制手段を使う可能性があるかどうかです。相手が取り決めを守らないおそれがあるなら、後述する間接強制を使える程度に具体的な書き方にしておく必要があります。相手との関係が比較的良好で、実際に交流が続いている場合は、頻度の目安だけを定めて当事者の話し合いに委ねるほうがうまくいくこともあります。
堺で離婚のご依頼をお受けする弁護士として、ここは相談者と一緒に時間をかけて考える部分です。細かく決めれば安心だと考えて条項を増やした結果、毎月の予定調整のたびに条項の解釈をめぐって言い争いになる例も見てきました。相手の性格と、これまでの約束の守られ方から逆算するのが現実的です。
取り決めをどの形で残すか
話し合いだけで済ませない
口頭の合意は、記憶の食い違いが出た時点で意味を失います。当事者だけで話がまとまった場合でも、合意した内容を書面にして双方が署名しておく形は最低限そろえておきたいところです。日付、頻度、時間帯、受渡しの場所、連絡の方法。この五つが書いてあれば、後から見返したときに何を決めたのかが分かります。
調停調書と審判書
家庭裁判所の手続を使って定まった内容は、調停調書または審判書に記載されます。ここに書かれた内容は、後述する履行勧告や間接強制の前提になります。堺で離婚の調停を弁護士とともに進める場合、条項の文言を裁判所の書記官と詰める場面が出てきますが、この詰め方が数年先の実現しやすさを左右します。
公正証書という選択肢
養育費など金銭の支払いを含めて取り決めるときは、公正証書にしておく意味があります。強制執行認諾文言を入れておけば、支払いが止まったときに訴訟を経ずに差押えへ進めます。ただし、子どもと会う取り決めそのものは金銭の給付ではないため、公正証書にしても直ちに強制執行ができるわけではありません。この点を誤解しておられる方が多いので、ご相談の場で最初にご説明しています。条項の設計は公正証書で未払いを防ぐ条項の作り方を扱った記事にまとめました。堺市内で作成する場合の窓口は堺公証人合同役場です。
堺で離婚を進める方が弁護士と最初に確認していること
取り決めの中身に入る前に、先に整理しておきたい点がいくつかあります。これまで子どもとどのように関わってきたか。別居後、子どもは相手のことをどう話しているか。相手からの暴力や子どもへの不適切な言動はなかったか。学校や保育園の行事はどちらが出てきたか。
堺市内から当事務所にお越しになる方の多くは、離婚そのものよりも子どもの生活が変わることを心配しておられます。弁護士がこの聞き取りをするのは、交渉の材料を探すためではなく、子どもにとって無理のない交流の形を先に描いておくためです。形が見えていると、相手方との話し合いも早く進みます。
親権をどちらが持つかという話と、交流をどうするかという話は、別の問題として扱われます。親権をめぐる準備については親権を確保するための準備をまとめた記事、父親側の視点は父親が親権を取れるかを解説した記事で扱っています。
話し合いがまとまらないとき|親子交流調停の進み方
どこに申し立てるのか
申立先は、相手方の住所地を受け持つ家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所です。堺市内にお住まいの方で相手方も市内にいるなら、大阪家庭裁判所堺支部が窓口になります。相手が転居して他府県にいる場合は、そちらの家庭裁判所が原則の申立先になる点に注意が必要です。
離婚前で別居している段階でも申立てはできます。この点は改正で条文の裏づけができ、離婚調停と並行して申し立てるか、交流だけを先に決めるかを選べます。離婚の手続そのものの流れは離婚調停の進め方をまとめた記事をご覧ください。協議と調停のどちらを選ぶかの考え方は協議離婚と調停離婚の選び方の記事にまとめています。
費用と必要書類
申立てにかかる収入印紙は、子ども1人につき1,200円です。これに連絡用の郵便料が加わります。添付書類は、未成年者の戸籍謄本、事情説明書(親子交流)、進行に関する照会回答書が標準です。裁判所によって郵便料や書式の運用が異なるため、申立先の裁判所の案内を確認してから準備します。
弁護士に依頼した場合の費用は別途かかります。当事務所での目安は離婚に関する弁護士費用のページに掲載しています。交流の取り決めだけを求める申立ては、離婚調停に比べると期日の回数が少なく収まることが多く、費用の見通しも立てやすい部類です。
調査官の関与と試行的な交流
子どもの意向が問題になる場面では、家庭裁判所調査官が関わります。子どもから直接話を聞く、家庭訪問をする、学校に照会をする、といった方法で、子どもの状況を把握します。
長く会っていない場合には、裁判所の中の児童室で短時間の交流を試してみることがあります。改正では、この試行的な実施について人事訴訟法34条の4と家事事件手続法152条の3に規定が置かれました。実際に会っている様子を調査官が観察すると、書面のやり取りだけでは見えなかったことが分かります。子どもが緊張しながらも自然に話し始める場面もあれば、同居している親の顔色をうかがい続ける場面もあります。
この試行的な交流は、実施するかどうかを判断する材料になると同時に、久しぶりの再会の場を裁判所が用意してくれるという意味も持ちます。会えていなかった側にとっては、この一回が調停全体の空気を変えることがあります。堺で離婚と子どもの問題を扱う弁護士としては、試行的な交流を求めるかどうかを、早い期日のうちに判断するようにしています。
条文には調査官調査を必ず行うという定めはありません。裁判所の運用では、子どもの年齢や争いの深さに応じて実施の有無が決まり、双方が実施を希望していても行われないこともあります。調査を求めるときは、何を確かめてほしいのかを具体的に書いて申し出るほうが通りやすくなります。
まとまらないときは審判へ
調停で合意に至らないときは、そのまま審判の手続に移り、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。審判の内容は、実施するかどうかだけでなく、頻度や方法まで踏み込んで示されます。
ここで注意していただきたいのが、審判の書き方です。条文の建前では審判があれば義務が生じますが、家庭裁判所の運用では、日時や頻度、一回の時間の長さ、子どもの引渡しの方法まで具体的に特定されていないと、後で強制手段が使えません。審判を求める段階から、特定の程度を意識して主張を組み立てておく必要があります。
【弁護士からひとこと】会えない期間が長くなるほど、子どもは目の前の生活に慣れ、会うことへのハードルが上がっていきます。取り決めがあるのに実現していない状態を放置しないでください。堺市内で子どもと会えずにお困りの方は、お電話(072-248-4848)か相談のお申し込みページからご連絡ください。初回のご相談は30分無料で承っています。
会わせてもらえないときにできること
家庭裁判所の履行勧告
調停調書や審判で定まった義務が守られないとき、家庭裁判所に履行勧告を申し出ることができます。家事事件手続法289条に基づき、家庭裁判所が調査官に履行状況を調査させ、義務者に履行を勧告します。申出に費用はかからず、電話一本から始められる手軽さがあります。
条文の建前では家庭裁判所が義務者に履行を勧告する仕組みですが、運用の場面では強制力を伴わないため、相手が応じなければそこで止まります。それでも、裁判所から連絡が入ったことで態度が変わる例は珍しくなく、まず試す価値のある手段です。家事事件手続法290条には履行命令の規定もありますが、交流の場面で使われることはあまりありません。
申し出るときは、いつの実施が守られなかったのかを日付で伝えられるようにしておきます。堺市内で離婚後の取り決めについてご相談を受ける弁護士としては、実施できなかった日と、そのときの相手方の説明を一覧にしたうえで申し出るようお願いしています。調査官が相手方に確認する際、具体的な日付があるほうが話が早く進みます。
間接強制という手段と、その前提
より強い手段が民事執行法172条の間接強制です。交流を実施しないときは1回につき一定額を支払え、という決定を得る方法で、金銭の負担を通じて実施を促します。
最高裁は平成25年3月28日に3件の決定を出し、交流の日時または頻度、各回の時間の長さ、子どもの引渡しの方法など、給付の内容が具体的に特定されていれば間接強制決定ができるという枠組みを示しました。逆にいえば、「月1回程度、協議のうえ実施する」というだけの取り決めでは間接強制ができません。
条文上は取り決めがあれば強制できそうに見えますが、裁判所の運用では、この特定の有無が入口の関門になります。取り決めの段階で先の展開を見越しておくべきなのは、この点があるからです。金額は事案によりますが、1回あたり数万円から十数万円の範囲で定められる例が多くなっています。
再度の調停申立てと、監護者の変更
実施されない状態が続くなら、あらためて調停や審判を申し立てて、内容を実情に合う形に組み直すという方法もあります。受渡しの方法を変える、第三者機関を入れる、頻度を落として確実に実施できる形にする。硬直した取り決めを動かすほうが、争いを続けるより結果につながることがあります。
取り決めを守らない態度が続く場合、親権者や監護者の指定・変更を求める申立てにつながることもあります。もっとも、交流の不履行だけで親権者の変更が認められる例は多くありません。裁判例には、取り決めを守らず子どもを連れ回した親について交流を制限したものもあり、判断は双方の行動の全体から下されます。親権者変更の要件は親権者の変更について解説した記事で扱っています。
相手が転居先を教えてくれないとき
連絡が取れなくなり、住所も分からないという状態でご相談に来られる方もいます。この場合、まずは相手方の住所を調べるところから始まります。弁護士であれば、職務上請求により戸籍の附票を取得して住民票上の住所を確認できる場面があります。
相手方が住民票に閲覧制限をかけているときは、この方法では住所が分かりません。DVを理由とする支援措置が取られている場合が典型です。堺市内で離婚後にご相談を受ける弁護士としては、こうした状況では住所の特定を急ぐより、家庭裁判所の手続を通じて連絡経路を作るほうが現実的だとご説明しています。調停の申立てにあたっては、相手方の住所が不明でも、調査嘱託などの方法で手続を進められる場面があります。
慰謝料という選択肢の現実
交流を妨げられたことについて、慰謝料を求める訴えが起こされることもあります。理論上は不法行為として構成できますが、認められた例の額は数十万円にとどまることが多く、訴訟にかかる時間と費用を考えると、費用倒れになる可能性を最初にご説明します。
金銭を得ること自体が目的でなく、相手に態度を改めさせることが目的であれば、間接強制のほうが直接的です。当事務所では、何を実現したいのかを整理したうえで、手段を選んでいただくようにしています。
交流を控える判断もある
暴力や虐待がある場面
配偶者からの暴力、子どもへの身体的または精神的な虐待がある場面では、交流を実施しないという判断がありえます。子どもの利益を最も優先するという民法766条1項の考え方は、実施する方向にも、実施しない方向にも働きます。
家庭裁判所に対しては、具体的な事実を積み重ねて示す必要があります。診断書、写真、相談機関の記録、警察への相談履歴。DVの証拠をどう集めるかはDVの証拠の集め方を扱った記事にまとめました。交流そのものを止めるのではなく、第三者機関を介する形にする、受渡しの場所を限定する、といった調整で折り合う例もあります。
子どもが強く拒んでいるとき
子ども自身が会いたくないと言っている場面は、判断が難しい部分です。同居している親の影響を受けている可能性もあれば、過去の出来事から本心で拒んでいる場合もあります。
調査官調査では、この見極めに時間をかけます。年齢が上がるほど子どもの意向が重く扱われ、中学生以上になると、本人の意思に反して実施を命じることは実際上難しくなります。裁判例にも、子どもの心情を踏まえて交流を認めなかったものがあります。
拒んでいる理由が語られないまま平行線になったときは、手紙や写真のやり取りから始める、学校行事を遠くから見るだけにとどめる、といった段階を踏む形で合意することもできます。堺で離婚後の紛争を扱う弁護士として、いきなり対面を求めるより、こうした間接的な形から入るほうが結果的に早いと感じてきました。
連れ去りが心配なとき
交流の際に子どもを返してもらえないのではないかという不安から、実施をためらう方もいます。過去に無断で連れ出した経緯がある、相手方が海外に生活の拠点を持っている、といった具体的な事情があるなら、受渡しの場所を第三者機関に限る、宿泊を認めない、パスポートの管理方法を取り決めに書き込む、といった形で対応します。
具体的な事情がなく漠然とした不安にとどまる場合、それだけを理由に交流を止める判断は家庭裁判所では取られにくいところです。心配の中身を言語化し、それを打ち消す条件を取り決めに盛り込むという方向で組み立てます。
同居している親の側からよく出る不安
新しい生活を壊されるのではないか
再婚した、あるいは再婚を考えているという状況で、子どもと元配偶者を会わせることに強い抵抗を感じる方は多くおられます。新しい家庭が落ち着いてきたところに前の関係が入ってくることへの警戒は、自然な感情です。
ただ、再婚したという事情だけでは、交流を拒む理由として認められにくいのが実際のところです。子どもの生活が乱れる具体的な事情があるかどうかが問われます。この場面の考え方は再婚相手が面会交流を嫌がる場合の対処法を扱った記事で詳しく整理しています。
養育費を払わない相手にも会わせるのか
これも頻繁に出る質問です。養育費と交流は、法律上は別の問題として扱われます。払っていないから会わせないという主張は、家庭裁判所では通りにくいものです。
とはいえ、感情としては自然な反応です。実際の進め方としては、交流の取り決めと養育費の取り決めを同じ場で整理し、双方が守るべきことを一つの書面にまとめてしまうほうが、後の不履行を防げます。養育費の額を後から変える手続は養育費の増額調停について解説した記事をご覧ください。
遠方に転居されてしまったとき
相手方が仕事の都合などで遠方に移り、月に一度の交流が現実的でなくなる場面もあります。交通費を誰が負担するのか、宿泊を伴う形に切り替えるのか、長期休暇にまとめるのか。この調整は、取り決めの変更として家庭裁判所に申し立てることもできますし、当事者間の合意で組み直すこともできます。
堺市内にお住まいの方から離婚後にご相談をいただく弁護士の経験でいうと、転居を理由に交流が自然消滅してしまう例が少なくありません。回数を減らしてでも続ける形にしておくと、子どもが大きくなってから関係を戻しやすくなります。ビデオ通話や手紙を補助的に組み合わせる取り決めも、いまでは珍しくありません。
堺で離婚と子どもの問題を弁護士に相談する時期
別居の前後がひとつの区切り
ご相談のタイミングとして最も多いのは、別居した直後です。この時期に交流の枠組みを作っておくと、その後の関係が安定します。逆に、会えない期間が半年、一年と延びるほど、子どもの生活に相手のいない状態が定着し、取り決めを作っても実現しにくくなります。
堺で離婚を考えている方が弁護士に相談するとき、財産の話や慰謝料の話が先に立ちがちです。子どもとの関係は時間の経過に強く影響されるため、後回しにしない判断が結果を左右します。別居の準備段階についての考え方は離婚に必要な別居期間を扱った記事にまとめています。
取り決めが守られなくなった時点
もうひとつの区切りが、取り決めが守られなくなったときです。二度、三度と延期が続いた段階でご相談いただければ、履行勧告から組み直しまでの選択肢が残っています。一年以上放置してしまうと、相手方から「これまで問題なかったのに今さら」と言われ、子ども自身の気持ちも変わってしまいます。
堺市内から当事務所へお越しになる方には、まず調停調書や合意書の文言を持参していただきます。離婚の際に作った書面を弁護士が読めば、間接強制まで進める内容かどうかがその場で判断できます。この確認だけでも、次に取るべき手段が絞られます。
当事務所でよくお引き受けするご相談事例
以下は、堺市とその周辺からお寄せいただいた複数のご相談を組み合わせ、一般化して書いたものです。ご本人が分からないよう、家族構成や時期といった細部は変えてあります。同じ進み方や同じ結末をお約束する趣旨ではない点を、あらかじめお断りしておきます。
別居から8か月、一度も会えていなかった父親からのご相談
40代の男性からのご相談でした。妻が小学2年の長女を連れて実家に戻り、それ以来一度も会えていないという状況です。離婚の話は進んでおらず、連絡はメッセージアプリで断続的に届くだけでした。
相手方の当初の主張は、長女が父親を怖がっている、落ち着くまで会わせられない、というものでした。具体的な出来事の指摘はありませんでした。
ご依頼を受けて、まず別居前の1年間について、送迎の分担、休日の過ごし方、行事への参加状況を書面に整理しました。そのうえで、離婚の話とは切り離して交流だけを先に決める形で、民法817条の13に基づく親子交流調停を申し立てました。
第2回期日で調査官調査が入り、児童室での試行的な交流が実施されました。長女が自然に話し始める様子が確認され、月1回2時間、駅前の商業施設での受渡しという内容で調停が成立しています。申立てから成立までは約5か月でした。
弁護士としての見解を申し上げると、この事案の分かれ目は、離婚全体の交渉と切り離したことでした。財産の話と一緒に持ち出すと、交流の話が交渉の道具のように扱われてしまいます。
取り決めがあるのに半年実施されていなかった母親からのご相談
30代の女性からのご相談です。2年前の調停で月1回の交流が定まっていましたが、直近の半年は相手方が体調不良や仕事を理由に延期を繰り返し、実際には会えていませんでした。
相手方は、拒否しているわけではない、都合がつかないだけだ、という説明を続けていました。
まず家庭裁判所に履行勧告を申し出ました。調査官から連絡が入り、2か月は実施されましたが、その後また間隔が空きました。調停調書を確認したところ、日時の特定が「毎月第2土曜日を原則とし、双方協議のうえ変更できる」という書き方で、間接強制の申立てには特定が足りない可能性が高い内容でした。
そこで、あらためて調停を申し立て、第2土曜日の午前10時から午後4時まで、受渡しは指定した場所で行う、という具体的な内容に組み直しました。あわせて、実施できなかった場合は同月内の第4土曜日に振り替えるという条項を入れています。組み直し後は実施が続いています。
弁護士としての見解としては、取り決めの文言を確認しないまま履行勧告だけを繰り返すのは遠回りになります。書き方に問題があるなら、そこから直すほうが早く進みます。
再婚を控えた同居親からのご相談
40代の女性からのご相談でした。再婚が決まり、小学4年の長男が新しい家庭に慣れてきたところで、元夫からの交流の求めが増えたという状況です。
元夫の主張は、取り決めどおりの実施を求めるというもので、それ自体は正当なものでした。ご相談者の心配は、長男が混乱するのではないかという点にありました。
長男の学校の予定と習い事の状況を整理したうえで、頻度は月1回のまま維持し、実施日を第3日曜日に固定して、翌月の予定を前月20日までに確定させるという内容で協議を申し入れました。再婚の事実は伝えたうえで、長男に対する説明の仕方を双方で合わせることも取り決めています。
結果として調停に至らず、協議で合意書を作成して解決しました。合意の内容は公正証書にはせず、双方が署名した書面のみとしています。
弁護士としての見解を申し上げると、再婚を隠したまま進めると、後で発覚したときに信頼関係が崩れて紛争が再燃します。伝え方を設計したうえで開示するほうが、結果として穏やかに収まります。
祖父母から孫との交流について受けたご相談
70代のご夫婦からのご相談でした。息子が亡くなり、その後、元の嫁である母親が孫との交流を断ったという状況です。ご夫婦は孫が幼いころ、共働きだった息子夫婦に代わって週の半分を世話していました。
相手方は、自分たちの生活を整えたい、しばらくそっとしておいてほしいという意向でした。
改正で置かれた民法766条の2および817条の13第4項により、父母以外の親族と子どもとの交流を定める道ができています。ただし、子どもの利益のため特に必要があると認められる場合に限られ、直系尊属であるご夫婦は申立権者にあたるものの、他に適当な方法があるときは認められません。
このため、まずは手紙と写真のやり取りから始めることを提案する内容の申入書を送り、母親側との協議を続けました。半年後、年に2回、母親の同席のもとで面会するという形で合意に至っています。
弁護士としての見解は、この分野は条文ができたばかりで、家庭裁判所の判断例がまだ十分に積み上がっていないという点です。申立てを急ぐより、協議で形を作れないかを先に探るほうが、現時点では現実的だと考えています。
四つの事案に共通していたこと
四件を並べてみると、いずれも「取り決めの中身」ではなく「取り決めをめぐる進め方」で結果が分かれています。離婚全体の交渉から切り離す、文言を確認してから手段を選ぶ、伝えにくい事情を先に開示する、急がずに協議の余地を探る。堺で離婚と子どもの問題を扱う弁護士がご相談の場で一緒に考えるのは、条文の当てはめより、この進め方の設計であることが多くあります。
もうひとつ共通していたのは、会えない期間が長くなるほど選択肢が減るという点です。半年を過ぎると、子どもの生活のリズムに相手のいない状態が組み込まれ、取り決めを作っても実際の再開までにさらに時間がかかります。動くかどうか迷っている段階でご相談いただくことに、十分な意味があります。
よくある質問(FAQ)
別居中でも子どもと会う取り決めはできますか
できます。令和6年の民法改正で817条の13が置かれ、別居している親と子どもとの交流について父母の協議で定めることが条文に明記されました。協議が調わないときは、父又は母の請求により家庭裁判所が定めます。離婚の話がまとまっていない段階でも、交流だけを先に決めることができます。
相手が取り決めを守らないとき、すぐに強制執行できますか
いきなり強制執行という流れにはなりません。まず家庭裁判所への履行勧告を申し出て、それでも改善しないときに間接強制を検討します。ここで問題になるのが取り決めの書き方です。日時や頻度、一回の時間の長さ、子どもの引渡しの方法が具体的に特定されていないと、最高裁の平成25年3月28日の各決定の枠組みからは間接強制ができません。取り決めの文言を確認するところから始めます。
養育費を払ってもらえていません。会わせなくてもよいですか
養育費と交流は別の問題として扱われるため、支払いがないことを理由に会わせないという対応は、家庭裁判所では認められにくいものです。感情としては理解できるところですが、逆に交流を妨げたと評価されるおそれもあります。養育費の未払いには、支払いを求める手続で対応するのが筋道です。
子どもが会いたくないと言っています
年齢と、その言葉の背景によって扱いが変わります。小学校低学年では同居している親の様子を映していることもあり、調査官が時間をかけて確認します。中学生以上になると本人の意思が重く扱われ、意思に反して実施を命じることは実際上難しくなります。子どもの言葉をそのまま記録に残しておくことが、後の判断材料になります。
祖父母が孫に会うことはできますか
改正で、子どもの利益のため特に必要があると認められる場合に限り、父母以外の親族と子どもとの交流を定めることができるようになりました。祖父母は直系尊属として申立てができますが、他に適当な方法があるときは申立てが認められません。過去に子どもを監護していた実績があるかどうかも判断に関わります。
堺市で子どもとの交流にお悩みなら田渕総合法律事務所へご相談ください
子どもと会う取り決めは、頻度を決めれば終わりというものではありません。受渡しの方法まで書き込んでおくか、後で強制手段を使える程度に特定しておくか。その選び方が、数年先の実現のしやすさを左右します。令和6年の改正で、別居中の交流や祖父母との交流にも条文の裏づけができました。
田渕総合法律事務所は堺東駅から徒歩5分です。離婚に伴う子どもの問題では、交流の取り決めの作成、親子交流調停や審判の申立て、履行勧告と間接強制の申立て、取り決めの組み直しまでを扱っています。会えなくなった側からのご相談も、会わせることに不安がある側からのご相談も、どちらもお受けしています。
初回のご相談は30分無料です。お電話は072-248-4848、相談のお申し込みページからもご予約いただけます。費用の目安は離婚に関する弁護士費用のページに掲載しています。離婚後の暮らしをどう組み立てるかについては離婚後の生活設計を扱った記事も参考になさってください。
弁護士監修:田渕総合法律事務所

◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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【ココナラ法律相談】
https://legal.coconala.com/lawyers/4738