なりすましは何罪?成立する犯罪・罰則と被害時の対処法【弁護士解説】
ネットインターネット・SNSが急速に発展している一方で、なりすまし行為による被害者も増えています。なりすまし行為を放置すると、自分の家族や友人、フォロワーなどにも被害が及ぶ可能性があるため、一刻も早い対策が必要です。
この記事では、なりすまし行為が犯罪なのか解説しつつ、被害を受けたときの対処法を紹介します。
この記事のポイント(先に結論)
- 「なりすまし」自体を直接処罰する法律はありませんが、投稿内容次第で名誉毀損罪・侮辱罪などが成立します
- 名誉毀損罪は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」、侮辱罪は「1年以下の拘禁刑」などが法定刑です
- 他人のID・パスワードで勝手にログインするタイプは不正アクセス禁止法違反になります
- 投稿者の特定は発信者情報開示請求で行います。ログには保存期間があるため早期着手が重要です
開示請求の具体的な手順はなりすまし被害の開示請求の流れを参照。堺・南大阪での相談は予約フォーム、費用は弁護士費用のページへ。
目次
SNSのなりすまし行為は犯罪なのか
まずは「なりすまし行為」とは何なのか、理解を深めておきましょう。
なりすまし行為とは
なりすまし行為とは、他人の名義や写真、個人情報などを使用して、あたかも本人であるかのように装う行為のことです。SNSの場合は、他人の名前や顔写真を勝手に使用して、本人に成り代わる形でアカウントを作成し、他者と交流したり、情報を発信したりする行為が該当します。
このような「なりすまし行為」により、誤った情報が拡散されたり、友人・フォロワーの個人情報を抜き取ったり、さまざまな犯罪が多発しています。
SNSのなりすまし行為自体は犯罪ではない
日本の法律上、SNSで他人になりすますだけでは、直ちに犯罪とされるわけではありません。例えば、他人の名前や写真を使ってアカウントを作成する行為自体には、刑法上の明確な罰則がないのが現状です。しかし、なりすましアカウントが名誉毀損罪や詐欺罪などの犯罪を引き起こす可能性があります。
なりすましアカウントへの対応方法については、次の記事を参考になさってください。
参考記事:ネットのなりすまし被害は迅速な「開示請求」が必要!手続きの流れや注意点を解説
なりすまし行為によって成立し得る犯罪
ここでは、なりすましアカウントが起こす可能性のある犯罪について解説します。
参考:刑法(e-Gov 法令検索)
名誉毀損罪
名誉毀損罪は、他人の名誉や社会的評価を低下させる内容を公開することで成立する犯罪です。
刑法第230条に規定されており、成立すると「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科せられます(令和7年6月1日施行の改正により、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています)。
名誉毀損罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 公然と行われていること
- 事実を摘示していること
- 人の名誉を毀損していること
例えば、SNSやインターネット上の掲示板で、「〇〇は不倫している」「A社はブラック企業だ」「〇〇は過去に万引きで逮捕されたらしい」といった書き込みは、名誉毀損に該当する可能性があります。
侮辱罪
侮辱罪は、他人を公然と侮辱する行為によって成立します。刑法第231条に規定されており、法定刑は「1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」です。名誉毀損と異なり、事実か否かを問わず相手を貶める意図がある場合に成立するため、証明が比較的容易です。
例えば、なりすましアカウントが特定の人に「デブ」「バカ」「ハゲ」といった身体的な悪口を書き込んだ場合、それが事実ではなくても侮辱罪になり得ます。また、抽象的な侮辱表現であっても侮辱罪が成立するため、「A社はブラック企業だ」という表現も侮辱罪に該当する場合があります。
詐欺罪
詐欺罪は、他人を欺いて財産的な損害を与える行為に対して適用されます。刑法第246条に規定されている重罪で、罰則は「10年以下の拘禁刑」です。罰金刑は定められておらず、有罪判決を受ければ拘禁刑は免れません。
なりすまし行為によって犯罪につながる例としては、なりすましアカウントが被害者のふりをして金銭や物品を要求し、それを受け取った場合に詐欺罪が成立します。また、詐欺罪は未遂の場合も罰せられるため、「人を騙そうとした」という段階で罪に問われる可能性があります。
不正アクセス禁止法違反
なりすまし行為の一環として、被害者のアカウントに無断でアクセスする場合、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。不正アクセス禁止法違反の罰則は、行為の種類によって異なります。
・他人のIDやパスワードなどを無断で利用する行為:3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
・なりすましや不正取得罪:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
参考:不正アクセス行為の禁止等に関する法律(e-Gov 法令検索)
電子計算機使用詐欺罪
電子計算機使用詐欺罪は、コンピュータやインターネットを不正利用し、財産上の不法な利益を得た場合に成立する犯罪です。刑法第246条の2に規定されており、刑罰は「10年以下の拘禁刑」です。
例えば、なりすましアカウントが被害者の名義を利用して商品やサービスを購入したり、他人の口座に不正に送金させたりする場合に該当します。
業務妨害罪・信用毀損罪
なりすまし行為によって人の信用や業務を妨害した場合に、業務妨害罪や信用毀損罪が成立する可能性があります。例えば、企業の関係者を装って虚偽の情報を発信することで、企業の信用が損なわれたり、業務が妨害されたりする場合に適用されます。法定刑は、いずれも「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。
なりすまし行為に対して損害賠償請求も可能
なりすまし行為によって被害者の名誉権やプライバシー権が侵害された場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求が可能です。注意したいのは、「なりすましをされたこと」だけでは損害賠償請求の根拠として不十分な点です。
損害賠償を請求するためには、なりすまし行為が原因で権利侵害が生じたこと、そして被害の証拠を収集することが重要であり、自身が受けた精神的苦痛や経済的損失を具体的に示す必要があります。
また、なりすまし犯が不明な場合は発信者情報開示請求をして、相手を特定しなくてはいけません。
開示請求に関する詳細の解説は、次の記事を参考になさってください。
参考記事:名誉棄損や誹謗中傷とは?意味や開示請求ができる基準を解説
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なりすまし被害を受けたときの3つの対処法
なりすまし被害を放置すると、家族や友人も犯罪に巻き込まれる可能性があるため、一刻も早い対処が必要です。ここでは、なりすまし被害を受けたときに取るべき行動を3つ紹介します。
証拠を確保する
まずは証拠を確保することが大事です。なりすましアカウントのプロフィールや投稿内容、ID、メッセージ、URLなどをスクリーンショットで記録しておくと、後の法的手続きに役立ちます。特に、加害者の意図や被害の内容が分かるような証拠は、警察や弁護士に相談する際に有効です。
家族や友人、フォロワーに被害を受けていることを伝える
家族や友人、フォロワーに対して、自身がなりすましの被害を受けていることを伝えましょう。なりすましアカウントは、自分の友人やフォロワーにメッセージを送って個人情報を取得しようとする場合があります。友人やフォロワーに「なりすまし被害に遭っているので、メッセージが来ても返信しないでください」などと伝えることで、被害の拡大を防げます。
弁護士に相談する
なりすまし被害を受けたら一刻も早い対処が必要ですが、加害者の特定や責任追及には法的な知識が必要です。加害者を特定するための発信者情報開示請求には期限もあるため、スピードが求められます。手続きになれていない人の場合、時間がかかって犯人を特定できないまま終わってしまう可能性も少なくありません。
インターネットトラブルに慣れた弁護士に相談することで、加害者の特定や犯人とのやり取り、損害賠償の請求など、任せられます。
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事案に応じて損害賠償の請求、刑事責任を追及する場合は告訴状の作成もサポートいたしますので、安心してお任せください。
お気軽にご相談ください
当事務所はインターネットトラブルでお困りの方が気軽に弁護士に相談できるよう、事前にご予約いただければ土日や夜間の面談も可能です。弁護士への相談には勇気が要ると思いますが、当事務所は親しみやすさを大切にしているので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
なりすまし行為自体は犯罪ではありません。しかし、なりすましアカウントが名誉毀損罪や詐欺罪などの犯罪を引き起こす可能性があります。なりすまし行為を放置すると友人やフォロワーが犯罪に巻き込まれる危険があるため、被害を受けている場合は一刻も早く弁護士への相談をご検討ください。
よくある質問(FAQ)
Q. なりすましされただけで犯罪になりますか?
A. なりすまし行為それ自体を処罰する規定はありません。もっとも、なりすまして他人の名誉を傷つける投稿をすれば名誉毀損罪や侮辱罪が、ID・パスワードを無断使用してログインすれば不正アクセス禁止法違反が成立し得ます。民事上も人格権侵害として損害賠償や差止めの対象になります。
Q. なりすました相手を特定できますか?
A. SNS事業者や経由プロバイダに対する発信者情報開示請求により、投稿者の氏名・住所等の開示を受けられる可能性があります。アクセスログの保存期間は限られるため、被害に気づいたら早めに証拠(スクリーンショット・URL)を確保して着手することが重要です。
Q. なりすまし被害の慰謝料はどのくらいですか?
A. 投稿内容や拡散の程度によりますが、数十万円程度となる例が多く、悪質な事案ではより高額になることもあります。投稿者の特定に要した調査費用の一部が損害として認められる場合もあります。

◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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【ココナラ法律相談】
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