家賃滞納が続いた倉庫の明渡しと連帯保証人からの回収を実現した事例 |堺市の弁護士【田渕総合法律事務所】堺東駅5分

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家賃滞納が続いた倉庫の明渡しと連帯保証人からの回収を実現した事例

60代 / 男性/男性

相談前

ご相談者は、所有する土地に建つ約70平方メートルの倉庫を、建築業を営む方に貸していました。契約は書面で交わし、賃料は月6万円、毎月末日までに翌月分を先に支払う約束です。契約には連帯保証人も付いていました。

支払いが滞りはじめたのは、貸してから2年ほどが過ぎたころでした。一度は支払うという返事があったものの入金はなく、まとまった入金があったのは18万円が一度きりです。それ以降は入金が途絶え、不払いの賃料は14か月分を超えて、滞納額は80万円を上回りました。賃借人は契約書に書かれた住所から無断で転居しており、郵便も届かず、連絡そのものが取れません。倉庫には木材と車が置かれたままで、賃料が入らないのに建物だけを使われ続ける状態です。連帯保証人へ支払いを求めても返事がなく、ご相談者は当事務所へお越しになりました。

ご相談内容と方針

ご相談者のご希望は、倉庫を明け渡してもらうことと、滞納された賃料を回収することでした。理論上は、賃料の不払いが続けば契約を解除して建物の明渡しを求めることができ、連帯保証人に対しても賃借人と同じ内容の支払いを請求できます。実務で最初の関門になるのは、解除の意思表示が相手に届くかどうかです。所在の分からない相手に内容証明郵便を出しても受け取られず、解除の効力が生じないまま時間だけが過ぎることが少なくありません。

もうひとつの関門が、判決を得た後の回収です。賃借人に資産がなければ、判決は紙のまま終わります。本件では、回収の当てになるのは連帯保証人が所有する土地建物だけでしたが、その不動産には根抵当権が設定されており、支払いに応じない態度からは、売却などで名義を移されるおそれもありました。

そこで、契約書、督促の記録、入金の履歴、倉庫の現況を示す資料を整えたうえで、先に連帯保証人の不動産の仮差押えを申し立て、そのうえで建物の明渡しと滞納賃料の支払いを求める訴えを提起する順序を立てました。解除の通知は内容証明郵便で送り、受け取られなかった場合には訴状の送達をもって解除の意思表示とする組み立てにしています。

相談後

最初に行ったのは、契約の内容と滞納の経過を書面で固める作業です。賃貸借契約書には、賃料を2か月以上滞納したときは催告なしに解除できるという条項と、明渡しが遅れた場合は賃料の倍額にあたる損害金を支払うという条項が入っていました。この2つの条項を軸に、入金の履歴を1か月単位で整理し、どの月の賃料がいくら残っているのかを確定させています。

連帯保証人の不動産については、地方裁判所へ仮差押えを申し立てました。賃借人に見るべき資産がなくその所在も分からないこと、連帯保証人が半年近くにわたって請求に応じていないこと、対象の不動産のほかに資力がうかがえないことを、請求と督促の記録、不動産の登記事項証明書と評価資料、倉庫の現況写真で示しています。裁判所が定めた担保12万円を供託し、仮差押えの決定を得ました。

続いて、内容証明郵便で契約の解除と倉庫の明渡し、滞納賃料の支払いを求めました。この郵便は賃借人が不在で受け取られなかったため、翌月に、建物の明渡しと放置されていた軽自動車の撤去、滞納賃料90万円と解除後の損害金の支払いを求める訴えを提起し、訴状の送達によって解除の効力を生じさせています。

訴訟では、明渡しの期限を区切ったうえで、賃借人と連帯保証人の双方から現実に回収できる支払方法を探りました。一度に支払える資力がないことは調査で分かっていたため、期限までに明け渡せば一部を免除する枠組みを示し、支払方法は実際に履行できる形へ詰めています。

解決の結果

訴えの提起からおよそ4か月後に、裁判所で和解が成立しました。まず、賃貸借契約が賃借人の債務不履行を原因とする解除によって終了したことを確認し、明渡しの期限を和解のおよそ2か月後に定めています。そのうえで、賃借人と連帯保証人が連帯して75万円を支払う義務を負うことを相互に確認しました。

支払方法については、期限までに明渡しが終わったときは75万円のうち25万円を免除し、残る50万円を毎月末日に2万円ずつ、2年余りかけて支払うと定めました。分割金の遅れが4万円に達したときは期限の利益を失い、免除された分も含む残額を直ちに一括で支払うという条項も置いています。仮差押えは、支払いが済んだ段階で取り下げ、供託した担保の取消しに連帯保証人が同意することとしました。

一方で、解除後の損害金を含むその余の請求は放棄しています。名目上の金額を積み上げて争い続けるより、明渡しの期限と現実に払える支払方法を確定させることを優先した判断です。分割払いの期間が終わった後、当事務所で仮差押えの取下げと担保の取消しの手続まで行い、事件を終えました。

弁護士からのコメント

家賃の滞納は、待つほど回収が難しくなります。理論上は、不払いが続けば契約を解除して明渡しを求められますし、連帯保証人にも同じ額を請求できます。実務で壁になるのは、相手の所在が分からなくなることと、判決を得たころには支払う資力が残っていないことです。本件でも、賃借人はすでに住所を変えて連絡が取れず、回収の当てになったのは連帯保証人の不動産だけでした。

この場面で効果があるのが、訴えを起こす前の仮差押えです。審理の間に財産を処分されることを防げるうえ、話合いに応じなければ不動産を失うという現実的な負担を相手に示すことにもなります。本件で分割払いを含む和解がまとまった背景には、仮差押えによって支払いの見通しが立った事情があったと考えています。仮差押えには担保の供託が必要で、本件では十数万円でしたが、担保の額は請求債権の額や対象財産によって変わります。

貸す側の備えとしては、契約書に無催告で解除できる条項と明渡しが遅れた場合の損害金の条項を入れておくこと、連帯保証人の住所と連絡先を定期的に確認しておくことが挙げられます。2020年4月1日に施行された改正民法では、個人が保証人となる根保証契約について、極度額を定めなければ効力を生じないこととされました(民法465条の2)。建物賃貸借の連帯保証もこの規定の対象で、施行日より前に結ばれた契約には適用されませんから、契約書がいつのものかによって確認すべき点が変わります。滞納が2か月を超えた段階で、契約書と入金の記録を持って一度ご相談いただくと、選べる手段が多く残ります。

弁護士からのご案内

家賃の滞納、建物の明渡し、連帯保証人への請求に関するご相談は、初回30分5,500円(税込)でお受けしています。督促しても支払われない、借主と連絡が取れない、保証人が応じないという段階でも、契約書と入金の記録を拝見しながら、取りうる手続と費用の見通しをお伝えします。お電話(072-248-4848)またはお問い合わせフォームからご予約ください。取扱い分野は個人のご相談と法人のご相談、ご依頼にかかる費用は費用のご案内にまとめています。借りている側の立場で立退きが問題になった事例は立退料を獲得した解決事例もご覧ください。

事案により結果は異なり、同種の結果をお約束するものではありません。守秘義務のため、ご本人が特定されないよう、金額・期間・面積などの数値を含めて事案の細部は変更しています。

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