【相続】兄弟姉妹の財産分与の割合|トラブルになりやすい6つのケース
相続財産分与遺産分割家族が亡くなった際に、兄弟姉妹が法定相続人となる可能性があります。しかし、「兄弟姉妹の財産分与(遺産分割)はどうすればよいのか」「割合はどのくらいなのか」と、疑問のある方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、兄弟姉妹で財産分与をする際の割合と、トラブルになりやすいケースについて解説します。
なお、本記事では「財産分与=遺産分割」と捉えて解説していますが、財産分与は本来、「夫婦が離婚の際に共有財産を分配すること」、遺産分割は「相続財産を相続人で分配すること」を指す言葉である点にご留意ください。
目次
【法定相続分】兄弟姉妹の財産分与の割合は?
相続財産を兄弟姉妹が分けるケースには、「親が亡くなった」あるいは「亡くなった兄弟姉妹に子がおらず、親も亡くなっている」の主に2つがあります。ここでは、それぞれのケースにおける財産分与の割合(法定相続分)を紹介します。
ケース①親が亡くなった
相続には順位があります。親が亡くなった場合、相続順位が第1位の子ども(兄弟姉妹)が相続します。なお、親の配偶者が健在の場合は、配偶者が相続財産の2分の1です。子どもの相続分も2分の1ですが、兄弟姉妹で公平に分割することとなります。
例えば、配偶者が健在で子どもが3人いた場合の財産分与は以下のとおりです。
- 配偶者の相続分:2分の1
- 子ども(兄弟姉妹)の相続分:6分の1ずつ
両親が亡くなっていて子どもが4人いる場合の、財産分与は以下のとおりです。
- 兄弟姉妹:4分の1ずつ
注意したいのは、亡くなっている兄弟姉妹がいる場合は「代襲相続」が起こることです。代襲相続とは、相続人が財産を相続できない場合に、その子孫が代わって相続することです。
例えば、両親が亡くなって子どもだけで相続するとします。子どもの数は3人(A、B、C)だったものの、うち1人(C)はすでに亡くなっており、代襲相続が起こった場合は以下のように遺産分割します。
- A、Bの相続分:3分の1ずつ
- Cの子どもの相続分:3分の1
ケース②亡くなった兄弟姉妹に子がおらず、親も亡くなっている
兄弟姉妹の1人が亡くなり、残りの兄弟姉妹で財産分与するケースもあります。ただし、以下のケースでは兄弟姉妹に相続権はありません。
- 亡くなった兄弟に子どもや孫がいる:被相続人の配偶者と子孫が相続する
- 亡くなった兄弟に子どもはいないが、親や祖父母がいる場合:配偶者と親または祖父母が相続する
つまり、亡くなった兄弟姉妹に子どもがおらず、両親・祖父母が亡くなっている場合に残りの兄弟姉妹が相続できます。亡くなった兄弟姉妹に配偶者がいる場合、法定相続分は配偶者が4分の3、残りの兄弟姉妹が4分の1です。配偶者がいない場合は兄弟姉妹で全額分配します。なお、相続人の兄弟姉妹が亡くなっており、その子孫がいれば代襲相続が起こります。
兄弟姉妹の財産分与の割合でトラブルになりやすい6つのケース
兄弟姉妹の財産分与は揉めやすい点に注意が必要です。しかし、どのようなケースで揉めやすいのか知っておくと、事前に対策を講じることが可能です。ここでは、兄弟姉妹の財産分与の割合でトラブルになりやすいケースを6つ紹介します。
遺産に不動産がある
遺産が預貯金のみであれば、法定相続分に基づいて公平に分配しやすいといえます。ただし、遺産に不動産が含まれる場合、分割しにくいことからトラブルに発展するおそれがあります。以下は、不動産の分割方法です。
- 現物分割:不動産を現物のまま相続し、物理的に分ける方法。
- 代償分割:不動産を一部の相続人が取得する代わりに、ほかの相続人に代償金を支払う方法。
- 換価分割:不動産を売却してその代金を分割する方法。
- 共有分割:複数の相続人で不動産を共有する方法。
上記の分割方法を知っておき、兄弟姉妹でよく話し合うことが大事です。
兄弟姉妹が疎遠の状態である
兄弟姉妹がそれぞれ独立して実家を離れ、顔を合わせる機会が少なくなることもあるでしょう。兄弟姉妹が疎遠でそれぞれの生活状況が分からないと、お互いの考えていることが掴みにくくなり、話がまとまらない場合があります。
また、兄弟姉妹の住所・連絡先が不明な場合や、絶縁している場合なども遺産分割に苦戦するでしょう。
兄弟姉妹の配偶者が介入してくる
兄弟姉妹の配偶者には、特別寄与分や遺言で指定していない限り相続権はありません。第三者である兄弟姉妹の配偶者が遺産分協議に参加し、自分の意見を述べてくると話がややこしくなり、トラブルに発展する可能性が高くなります。
親から生前贈与があった
生前贈与とは、存命中に財産を他者に贈与することです。相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与によって特別な利益を受けることを、「特別受益」といいます。
兄弟姉妹の誰かが親から生前贈与があった場合、贈与の金額が分かりにくかったり、不公平だと感じたりする場合があります。また、生前贈与はほかの兄弟姉妹に知られぬよう内密に行われることが多く、特別受益の有無で争うケースも少なくありません。
貢献度に差がある
遺産分割では「寄与分」にも考慮する必要があります。寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献してきた人が、ほかの相続人よりも遺産を多く分けてもらえる制度のことです。例えば、親の介護をしていたり、親の仕事を手伝ったりした場合などに寄与分が認められます。
遺産分割協議では、「親の介護をしてきたから多く財産を分けてほしい」と主張する兄弟姉妹もいるでしょう。一方で、「寄与分が多すぎる」と主張する兄弟姉妹もいるかもしれません。話し合いで寄与分について納得できない場合には、家庭裁判所の手続きで決着させることとなります。
遺言書に記載された内容が不平等
被相続人が遺言書を作成していた場合、遺産は遺言の内容に従って分けることとなります。しかし、遺言書に「長男だけに全財産を相続させ、残りの兄弟には相続させない」などの不平等な内容が記載されていれば、遺言の内容を巡ってトラブルに発展する可能性が高いといえます。
兄弟姉妹には、「遺留分」と呼ばれる法定相続人に最低限保障された遺産取得分がありません。したがって、遺言の内容は原則的に従う必要があります。遺言の内容に不服がある場合は、遺言書の無効を主張するか、寄与分を請求することとなります。
遺産相続を弁護士に相談するメリット
相続における財産分与は、当事者間で話し合って決めることも可能です。しかし、相続は被相続人への思いや金銭が絡むことから、兄弟姉妹であっても感情的な対立に発展するケースが珍しくありません。
相続が発生した場合は、法律の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。ここでは、弁護士に相談するメリットを3つ紹介します。
法的根拠に基づいて公平に遺産分割できる
弁護士が遺産分割協議に参加することで、法的観点に沿って冷静に話し合いが進められます。特別受益や寄与分などを踏まえた公正な遺産分割が実現でき、トラブルの発生を防げます。
遺産の調査から交渉、手続きまでトータルで任せられる
弁護士に依頼することで、遺産の調査や交渉、法的手続きなどを任せられます。仕事や家庭が忙しい人でも、迅速に遺産分割が進められるでしょう。
特に兄弟姉妹の相続では必要となる戸籍謄本の数も多くなりやすく、手続きに苦労するケースが少なくありません。弁護士に任せることで、自身や相続人の負担を大幅に軽減できます。
遺産分割後のトラブルを防げる
遺産分割後のトラブルを防ぐためには、誰がどの財産を相続するのかを記載した「遺産分割協議書」を作成することが大事です。しかし、遺産分割協議書の記載内容が曖昧だったり、必要事項が漏れていたりすると、後々トラブルに発展しかねません。
弁護士に依頼することで、法的観点に沿って適切な遺産分割協議書を作成でき、相続後のトラブルを防止できます。
兄弟姉妹の財産分与でお悩みの方は「田渕総合法律事務所」へご相談ください
「どのように財産分与したらよいのか分からない」「トラブルに発展しないよう公平に財産を分けたい」といった場合は、相続問題の実績が豊富な「田渕総合法律事務所」へご相談ください。
田渕総合法律事務所は大阪府堺市の堺東駅から徒歩5分の場所にあります。Web面談も可能ですので、遠方にお住まいの方もお気軽にご相談ください。
関連士業との連携でワンストップ対応
当事務所は信頼できる税理士・司法書士との連携体制があるため、財産分与の対象に不動産が含まれている場合や相続税が発生する場合なども、安心してお任せください。当事務所にご相談いただければ、相続のあらゆる問題をトータルでサポートいたします。
お気軽にご相談を
当事務所は相続トラブルでお困りの方が気軽に弁護士に相談できるよう、初回相談では、解決の見込みや弁護士に依頼した際の流れ・費用などを丁寧にご説明します。弁護士に相談したからといって、契約しなければならないわけではありませんのでご安心ください。
日中仕事で忙しい方も、事前にご予約いただければ平日夜間や土日の法律相談にも対応いたします。Webからの問合せは24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
相続財産を兄弟姉妹で分割する場合、その割合は状況によって異なります。配偶者や子どもの有無、兄弟の数などを考慮し、法定相続分を計算する必要があります。また、財産分与はさまざまなトラブルのリスクがある点にも注意しましょう。
トラブルを防ぎ、公平かつスムーズに遺産分割を実現したい場合は、弁護士への相談を検討してみてください。
◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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