協議離婚と調停離婚のどちらを選択すれば良い?
協議離婚調停離婚離婚までの流れ日本では、1年間に約19万件が離婚するとされています。
話し合いで離婚をする方法には、協議離婚と調停離婚の2種類があります。それぞれの違いやメリット・デメリットを理解したうえで、ご自身の状況に会う方法を選択することが、円滑な離婚に向けて大切です。
この記事では、協議離婚と調停離婚について、それぞれの違い・手続き・注意点などについて解説します。
目次
離婚の方法は協議離婚/調停離婚/裁判離婚の3つ
協議離婚
協議離婚とは、話し合いだけで離婚することをいいます。
離婚するかどうかだけでなく、親権・養育費・面会交流・財産分与などについても、話し合いで決めることになります。
厚生労働省の統計によれば、離婚の90%は、この協議離婚で行われています。
協議離婚については、次の記事でも詳細に解決しておりますので、ご覧ください。
【参照|協議離婚の解説ページ】
調停離婚
調停離婚とは、家庭裁判所での調停という裁判手続を経て離婚することをいいます。
調停手続では、家庭裁判所の調停委員(男女1人ずつ)が夫婦それぞれから話を聞き、合意できれば、それが調停調書という書面に記載されます。
調定離婚については、次の記事でも詳細に解決しておりますので、ご覧ください。
【参照|調停離婚の解説ページ】
裁判離婚
調停離婚で話し合いが合意に達しなければ、家庭裁判所に対し、離婚を命じる判決を求める裁判を提起しなければ離婚ができません。
夫婦のどちらかが離婚に反対している場合、協議離婚・調停離婚では離婚することが不可能です。このような場合でも、離婚原因(民法770条1項)があることを立証できれば、家庭裁判所に、強制的に離婚を命じる判決を出してもらうことができます。
離婚原因としては、次の5つが定められています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
【引用|e-GOV法令検索 民法770条】
協議離婚と調停離婚の違いは?
協議離婚と調停離婚の比較
協議離婚と調停離婚は、どちらも夫婦の合意で離婚する方法という点は同じですが、それ以外では大きな違いがあります。
協議離婚 | 調停離婚 | |
話し合いの方法 | 夫婦で直接話し合う
※弁護士に依頼して窓口を任せることもできる |
調停委員が、夫婦を個別に呼んで話を聞くので、直接顔を合わない |
時間 | 自由 | 家庭裁判所と調整して日時が指定される |
場所 | 自由 | 家庭裁判所 |
必要な期間 | 比較的短い | 6か月~1年 |
費用 |
原則不要 | 裁判手数料が必要 |
養育費の不払があるときの強制執行 | 話し合いで合意した内容を執行調書にすれば可能 | 調停調書に基づいて可能 |
夫婦の考えに大きな違いがあるかが選択の基準
夫婦の考えに大きく違いがなく、細かな条件だけを調整すれば離婚が成立する見込みであれば、協議離婚を選択しても良いでしょう。
お互いに離婚する意思があり、財産分与や親権、養育費などについてもおおむね合意できていれば、調停離婚のように日時や場所に指定のない協議離婚で離婚を成立させる方が、お互いにとってメリットがあると考えられます。
また、協議離婚であっても、弁護士に代理を依頼すれば、相手方と直接交渉をする必要がなくなりますし、合意が成立した内容を離婚協議書に記載し、これを公正証書(執行証書とも呼ばれます)にすれば、調停調書と同様の効果がありますので、財産分与の未払や養育費の不払などにも備えることができます。
他方、一方が離婚に反対しているなど、夫婦の考えが大きくかけ離れているような場合には、調停離婚を選択するほうが結果的に良いケースが多いと考えられます。
調停離婚の場合、時間や場所が制限されたり、協議離婚よりも時間がかかったり、費用がかかったりしてしまいます。しかし、平行線のまま協議離婚を長期化させて疲弊するよりも、調停でも離婚が成立しなければ訴訟で最終的な解決が可能で、先が見えることとなりますので、それを見据えて新たな人生への準備も行うことが可能となります。
なお、協議離婚で作成する執行調書と、調停離婚で作成される調停調書では、財産分与、慰謝料、養育費の消滅時効の期間について差が生じます(調停調書を作成した方が、時効にかかるまでの期間が長い)。このような点は専門的な内容になりますので、弁護士に相談し、ご自身にとって適切な方を選択することをおすすめします。
協議離婚の流れ
協議離婚をする場合の流れは、おおむね次のようなものになります。
①夫婦で話し合って離婚に合意する
まずは、夫婦で離婚について話し合うことが必要です。
②財産分与、慰謝料、年金分割、親権、養育費、面会交流の条件を決める
離婚に合意できれば、財産分与などの金銭面と、未成年の子がいれば親権や養育費などについても話し合い、条件を決める必要があります。
③離婚協議書を作成する
離婚の条件が決まれば、離婚協議書を作成して記録化します。
財産分与、慰謝料、養育費など、金銭についての離婚条件を取り決めている場合には、不払いがあれば直ちに強制っ志向ができるようにするため、公正証書(執行調書)を作成することを強くおすすめします。
④離婚届を提出する
本籍地のある市区町村役場に離婚届を提出します。
調停離婚の流れと注意点
①家庭裁判所に調停を申し立てる
調停手続を開始するためには、家庭裁判所に調停を申し立てなければなりません。申し立てる家庭裁判所は、相手方の住所地を管轄する裁判所となります。
申立てに当たっては、申立書、夫婦の戸籍謄本、年金分割のための情報通知書、収入印紙、裁判所から文書を送付するための郵便切手などの提出が必要です。
詳細については、申立てを行う予定の家庭裁判所のHPで確認するか、電話で確認すると教えてもらうことができます。
②調停期日に出席する
裁判所から、第1回調停期日の日時が記載された呼出状が届きますので、出席します。
次回以降の調停期日は、各回の調停期日が終わる際に調整して決定されます。
③調停成立
話し合いが合意に至れば、調停が成立となり、調停手続は終了します。
調停が成立すれば、調停手続で決まった離婚条件などを記載した調停調書が作成され、交付を受けることになります。
なお、話し合いで合意に至らなければ、調停は不成立となって終了します。この場合には、地方裁判所に訴訟を提起をして、判決で強制的に離婚を命じてもらうことを求めていくことになります。
④離婚届を提出する
本籍地のある市区町村役場に離婚届を提出します。その際、調停調書も一緒に提出する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
離婚を弁護士に依頼すべき理由
協議離婚も調停離婚も自身で行うことが可能ですが、より有利な条件で離婚するためには、早い段階から弁護士に依頼しておくことが望ましいといえます。
弁護士に依頼しておくことで、次のようなメリットがあると考えられます。
- 交渉中の条件が相場として適正かを判断でき、無用な心配や悩みがなくなる
- 離婚後のトラブルを防止するための離婚条件を取り決めておける
- 自分で相手方との交渉をする必要がなくなり、精神的・時間的な負担が減る
- 調停や訴訟などの裁判手続を全て任せることができる
弁護士への依頼は、少しでも早い時期に行うことが、有利な条件での離婚成立につながります。相手方の状況を調査したり、有利な証拠を集めたりするなど、早い時期から余裕をもって準備ができ、優位に交渉を進めることが期待できます。
離婚を決意したときには、できるだけ早めに弁護士に依頼することをおすすめします。
まとめ
堺東駅から徒歩5分の当事務所では、離婚・男女問題を幅広く取り扱っております。
弁護士への相談という一歩を踏み出すには勇気が必要ですが、一人で抱え込むには限界がありますし、動き出すタイミングが早ければ早いほど、選択肢や可能性が広がることが少なくありません。
初回相談は無料で実施しており、契約前には見積書を作成して費用を明示し、方針や費用について十分に理解いただくように努めております。
安心してご相談ください。
夜間・休日の相談も可能です(予約制)。
Webからの問合せは24時間受け付けています。
離婚でお悩みの際には、お気軽にご相談ください。
◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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