【堺 弁護士が解説】借金問題で動くタイミングと自己破産(同時廃止)の進め方|督促状から差押え後まで |堺市の弁護士【田渕総合法律事務所】堺東駅5分

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【堺 弁護士が解説】借金問題で動くタイミングと自己破産(同時廃止)の進め方|督促状から差押え後まで

目次

はじめに|借金で不安な日々を過ごしている方へ

毎月の返済日が近づくと胃が痛くなる。リボ払いの残高が一向に減らない。督促状の封筒を開けるのが怖い。家族にどう切り出せばいいか分からない。あるいは、もう一歩進んで、勤務先の経理から「裁判所から差押命令が届いています」と言われた、銀行口座の残高がいつの間にかゼロになっていた、自宅のポストに「訴状」「支払督促」「差押予告通知書」と書かれた裁判所からの特別送達が放り込まれていた。

堺市内(堺東駅周辺、深井、北野田、中百舌鳥、鳳など)でご相談を受けていると、入口の事情はさまざまです。共通しているのは、「もう少し早く動けばよかった」と多くの方が後でおっしゃることです。

借金問題は、放置した期間ではなく「動くタイミング」で結果が大きく変わります。督促状の段階で動けば任意整理から自己破産まで全ての選択肢が残っていますし、自己破産を選んだとしても費用と時間がもっとも軽い「同時廃止」という型に収まる可能性が高まります。差押えを受けた後でも、自己破産で差押えを止める道は残っていますが、選べる手段は減ります。

この記事では、堺東駅の弁護士として、これまで数多くの債務整理を扱ってきた経験から、自己破産(特に同時廃止)でどう借金を整理するか、差押えが現実化する前と後でどう動き方が変わるか、そして堺市内にお住まいの方ならではの大阪地方裁判所堺支部の運用までを、できるだけ実感に即した言葉でお伝えします。

債務整理全体の3つの手続き(任意整理・個人再生・自己破産)の比較や、相談に持参していただきたい資料については、当事務所の債務整理の総合ガイド相談前チェックリストで別途扱っています。この記事は、自己破産(同時廃止)を選ぶケースに絞った、より踏み込んだ解説とお考えください。

あなたは今どの段階にいますか|借金問題のタイムラインで自己診断

まず、ご自身がどの段階にいるか確認してください。段階によって、取るべき動きと取れる選択肢が変わります。

第1段階|返済が苦しい、リボ払いが減らない、督促状が届いた

毎月の返済をなんとか続けてはいるが、別のカードローンで埋め合わせをしている。リボ払いの残高が増え続けている。督促状や催告書が届き始めた。電話やメールでの督促も増えてきた。

この段階は、債権者にとってはまだ自主的な回収を試みているフェーズで、裁判所は関与していません。ここで動けば、任意整理(残元本を3〜5年分割で返済)、個人再生(住宅を残しつつ借金を5分の1に圧縮)、自己破産(借金ゼロ)の全てが選択肢に残っています。自己破産を選んだ場合も、財産流出のリスクがなく、もっともスムーズに同時廃止に持ち込めます。

「もう少し頑張れば返せるかも」と思って動かずにいるうちに、状況は悪い方へ進んでいきます。一度、ご自身の借入総額・月々の返済額・家計収支を紙に書き出してみてください。返済期間が10年を超える、毎月の返済額が手取り収入の3分の1を超える、こうしたサインがあれば、相談のタイミングです。

第2段階|「期限の利益喪失通知」が届いた

「ご返済期日を経過したため、残額全額を一括で請求します」と書かれた書面が届きます。これが届いた時点で、債権者は分割返済の約束を解除し、残債務の全額一括請求ができる状態になります。法的措置に移行する直前のシグナルと考えてください。

この段階では、任意整理は厳しくなり、自己破産か個人再生が現実的な選択肢になります。動けば、まだ裁判所からの督促を受ける前に手続きに入れます。

第3段階|訴状・支払督促が届いた

裁判所からの特別送達で「訴状」または「支払督促」が届きます。支払督促は、通常訴訟と異なり、裁判官の審査を経ずに書記官が発する簡易な手続きで、受け取った後2週間以内に「督促異議申立書」を出さなければ、債権者は次に「仮執行宣言付支払督促」を申し立てることができます。仮執行宣言が付されると、確定判決と同じ効力(債務名義)が発生し、いつでも強制執行が可能な状態になります。

ここでも、まだ差押えは現実化していません。受任通知を発送して債権者に直接交渉する余地はあります。ただ、自己破産を選ぶ場合、債務名義が確定する前か後かで戦術が変わるため、専門家への相談を急ぐべき段階です。

第4段階|仮執行宣言付支払督促・判決が確定した

裁判所からの書面に「仮執行宣言」「判決」と書かれている段階です。債権者はいつでも差押え申立てが可能で、現実には、この段階で動かないと数週間以内に差押えが実行されることが多くなります。

第5段階|差押命令が届いた/差押えが現実化している

会社や銀行に裁判所から「債権差押命令」が届き、給料や預金が実際に差し押さえられた状態です。給与の場合は経理から本人に通知が来て、銀行口座の場合は引き出しができなくなって初めて気付くケースが多くなります。

この段階まで進んでも、自己破産の開始決定が出れば差押えは止まります。ただ、申立てから開始決定までの「タイムラグ」の間に差し押さえられた金額が、後で別の問題を生むことがあります(後述します)。

ご自身の段階と、取り得る選択肢を整理すると次のようになります。

現在の段階 主な状況 取り得る手段 緊急度
第1段階 督促状・催告書が届く 任意整理・個人再生・自己破産すべて選択可
第2段階 期限の利益喪失通知が届く 任意整理は厳しい・個人再生・自己破産が現実的 やや高
第3段階 訴状・支払督促が届く 督促異議申立・自己破産・個人再生
第4段階 仮執行宣言付支払督促・判決確定 強制執行停止申立・自己破産 非常に高い
第5段階 給料・口座差押えが現実化 自己破産(開始決定で差押え中止) 即対応

第1段階や第2段階の方は、「まだ大丈夫」と思っているうちに第3段階・第4段階に進んでしまう例を、多く見てきました。借金問題は、放っておくと選択肢が一つずつ消えていきます。逆に、どの段階でも動けば選択肢は残ります。

自己破産(同時廃止)と他の手続きの違い|なぜ同時廃止を選ぶのか

自己破産には、財産の換価と配当を伴う「管財事件」と、それを伴わない「同時廃止」の2つの型があります。同じ自己破産でも、費用も期間も大きく違います。

同時廃止と管財事件の違い

同時廃止とは、破産手続開始決定と同時に廃止決定が出る型です。破産管財人は選任されず、財産の換価や配当は行われません。免責に関する審理は破産手続が終わった後にも続きます。

管財事件は、破産管財人が選任され、財産の調査・換価・配当が行われる型です。法人や法人代表者の破産は原則として管財事件になりますが、個人の自己破産でも、一定額以上の財産がある場合や、免責不許可事由が重大な場合、否認権の対象になり得る行為があった場合などには管財事件に振り分けられます。

費用面では大きな差があります。大阪地方裁判所堺支部の場合、2026年初頭時点で、同時廃止の予納金(裁判所費用)は合計約1万5,500円程度(収入印紙1,500円、予納郵券950円、官報公告費約1万3,000円)です。これに対して管財事件は、これに加えて管財予納金が最低21万6,000円必要になります。合計で約23万8,000円という数字になります。

期間も違います。同時廃止は申立てから免責確定まで6〜10か月程度ですが、管財事件は財産調査の規模によって1年から数年を要することもあります。

なぜ同時廃止を狙うのか

費用と期間の両面で、同時廃止のほうが圧倒的に依頼者の負担が軽くなります。借金を整理する目的は、経済的に再出発することですから、再出発に至るまでの費用・期間を抑える意味は大きいです。

ただし、ご自身が「同時廃止にしてほしい」と希望しても、裁判所が同時廃止で進めてくれるとは限りません。同時廃止に振り分けられるための基準を満たす必要があります。

大阪地方裁判所の同時廃止振分け基準(平成29年10月1日以降)

大阪地方裁判所では、平成29年10月1日以降の申立てから、以下の基準で同時廃止と管財事件を振り分けています。

まず、現金と普通預貯金の合計額が50万円以下であること。50万円を超えると、原則として管財事件に振り分けられます。

次に、12項目の個別財産(保険の解約返戻金、積立金、賃借保証金・敷金の返戻金、貸付金・求償金、退職金、不動産、自動車、その他の動産、その他の財産、近日中に取得することが見込まれる財産、過払金など)のうち、項目ごとの合計額が20万円以上のものが1つでもないこと。20万円以上の項目が1つでもあれば、原則として管財事件に振り分けられます。

加えて、免責不許可事由(破産法252条1項各号、浪費・賭博・財産隠匿・虚偽申告など)がないこと、または軽微であること。

そして、否認権の対象となる行為(受任通知後の偏頗弁済、財産処分、特定債権者への弁済など)がないこと。

旧運用にあった「按分弁済」の制度は新基準で廃止されています。20万円以上の個別財産があると、原則として管財事件に移行することになります。

ここが弁護士の腕の見せ所で、申立て前に依頼者の財産状況・収入状況・借入経緯を精査し、同時廃止の枠に収まるよう資料を整える作業が、結果に大きく影響します。

大阪地方裁判所堺支部の運用|本庁との違い

堺市内にお住まいの方にとって、特に押さえておきたい点が、大阪地方裁判所堺支部の運用です。破産事件の管轄は債務者の住所地を管轄する裁判所ですので、堺市にお住まいであれば、原則として堺支部の管轄になります。

大阪地方裁判所本庁(北区西天満)には、即日審査方式という運用があります。午前中に弁護士が同時廃止の申立てを行うと、書面審査の対象として、その日の午後5時付で破産手続開始決定と同時廃止決定が出ます。スピードを最優先したい事件で本庁が選ばれるのは、この即日審査が理由です。

ところが、堺支部では即日審査方式は行われていません。書面に問題がなくても、開始決定までに2週間以上かかるのが通常です。本庁のように当日決定が出ることは、ほぼありません。これは地元の弁護士であればよく知っている運用ですが、ネット記事や本庁エリアの大手事務所のコラムでは触れられていないため、知らずに依頼すると「もっと早く決定が出ると聞いていたのに」と感じることになります。堺支部の倒産事件の運用については、大阪地方裁判所の倒産部(第6民事部)の公式案内も参考になります。

差押えを受けていない通常の事案では、この2週間のタイムラグはそれほど問題になりません。受任通知の発送と同時に督促はストップし、開始決定を待つ間も、生活面で大きな影響はないからです。

ところが、差押えを受けて緊急性が高い事案では、堺支部のタイムラグを前提にして、受任通知発送から申立てまでをいかに短縮するかが勝負になります。当事務所では、相談時に提出書類のチェックリストをお渡しし、最短で2週間以内に申立てまで行えるように調整しています。


すでに差押えを受けている、訴状や支払督促が届いた、月末の返済をどうしようか眠れない。そのような状況であれば、ここから先を読むよりも先に、まずは一度ご相談予約をいただくことをお勧めします。当事務所では、堺東駅徒歩5分の立地で、当日中に枠を作る調整も可能です。お問い合わせフォームから、または電話(072-248-4848)でご予約ください。


給料差押えを受けた場合|民事執行法152条と「会社にバレる」現実

差押えを既に受けている方、あるいはこれから差押えを受ける可能性がある方のために、給料差押えの仕組みと対応をお伝えします。

現場の依頼者が最も恐れるのは、お金が引かれることそのものよりも、「会社に借金を知られること」です。

債権差押命令は、裁判所から第三債務者である勤務先に送達されます。経理担当者か総務担当者が必ず開封し、その後の給与計算に反映させなければなりません。事実上、本人以外の社員にも知られることは避けられず、特に中小企業では経営者本人の耳に入ります。

差し押さえられる範囲

民事執行法152条1項により、給与は手取り額の4分の1まで差押えが可能です(差押禁止の4分の3部分が「給与の最低限保障」と考えてください)。ただし、手取りが44万円を超える月は、33万円を超える部分の全額が差押え対象になります(民事執行法施行令2条)。賞与(ボーナス)も同じ枠組みで差し押さえられます。

養育費や婚姻費用が原因の差押えは、別ルールで運用されます(民事執行法152条3項)。この場合、給与の2分の1まで差押え可能になります。離婚・養育費に関する論点は、当事務所の別プロジェクトで扱っていますので、ここでは深入りしません。

役員報酬には民事執行法152条の差押え禁止の規定が適用されないため、原則として全額が差押え対象になります。

差押えを止める法律構成|破産法42条と249条

ここから、差押えを止める手続きの核心に入ります。

自己破産の手続では、差押えを止める法律構成として、大きく2つのルートがあります。

第1のルートは、管財事件として処理される場合の破産法42条2項です。破産手続開始決定が出ると、破産財団に属する財産(差押え対象になっている将来の給与もこれに含まれます)に対する強制執行は、破産財団との関係で効力を失います。給与差押えの場合、開始決定後の給与は本人が全額受け取れます。差押え自体の登録抹消は、破産管財人が執行裁判所に「執行取消を求める書面」を提出して行うのが通例です。

第2のルートは、同時廃止として処理される場合の破産法249条1項です。免責許可申立てがあり、かつ破産手続廃止決定があったときは、強制執行は「中止」される、というのが正確な条文の構造です。同時廃止の場合、開始決定と同時に廃止決定が出ますので、結果的に差押えは中止状態に入ります。

「中止」と「失効」の違いに注意してください。中止とは、執行を続けることはできないが、差押えの登録自体は残っている状態です。中止期間中、勤務先は本来差し押さえられるはずだった4分の1部分を本人に渡してはいけません。勤務先がそのお金を自社で保管(プール)するか、法務局に供託するのが現場の運用です。

完全に差押えが「失効」するのは、同時廃止の場合、免責許可決定が確定したときです(破産法249条2項)。確定後、本人は供託金やプール金を受け取ることができ、以降の給与は全額受け取れるようになります。

制度上は止まっても、現実には弁護士の動きが必要

制度のうえでは、開始決定が出れば差押えは止まるはずなのですが、現実にはそう簡単ではありません。執行裁判所(差押命令を出した裁判所)は破産手続開始決定が出たことを自動的には知りません。そこで、開始決定書を執行裁判所と勤務先の双方に提示し、執行手続を実際に止めてもらう作業が必要になります。経験のある弁護士であれば、開始決定が出た当日中に勤務先に連絡を入れ、これ以上の差押え実行を止める運用をします。

預金口座差押え・口座凍結への対処|給与口座を変えるのが先決

預金口座の問題は、給料差押えとは性質が異なります。論点は2つに分かれます。

論点1|債権者が裁判所経由で口座を差し押さえる場合

典型的な差押えです。裁判所から銀行に債権差押命令が送達され、その時点で口座にある預金残高が差し押さえられます。給与振込日の翌日に差押命令が来れば、給与1か月分が全額差し押さえられることもあります。一旦給与が口座に振り込まれて預金になった後は、給与としての4分の1ルールは原則として適用されず、預金として全額が差押え対象になります。

「給与の4分の1までしか差し押さえられない」というルールを過信して給与口座に大金を入れたままにすると、ある日突然全額がなくなることになります。

論点2|受任通知に伴う口座凍結と相殺

債務整理を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者に「受任通知」を発送します。受任通知を受け取った銀行は、その時点で銀行内に開設されている債務者の口座を凍結し、口座残高と借入残高との相殺手続に入ります。

これは差押えではありませんが、結果的に預金が消えてしまう点では同じです。給与振込先や年金受取口座が、債権者である銀行の口座になっている場合、受任通知の発送タイミングを誤ると、生活費が一気に消える事態になります。

給与口座を借入のない銀行に変えるのが先決

債務整理に着手する前に、給与振込口座と年金受取口座を、債権者として登場しない銀行(信用金庫やゆうちょ銀行も含む)に変更してもらいます。年金口座の変更は時間がかかるので、相談を受けた時点で最優先で着手します。給与口座も、勤務先によっては変更に2〜4週間かかります。

借入のある銀行口座は、受任通知発送と同時にゼロになると想定しておいてください。引き落とし設定(携帯料金、電気・ガス、家賃など)が残っていれば、別口座に切り替える、もしくは振込・払込用紙払いに変えておく必要があります。

公共料金や家賃の引き落としは、新しい口座に移し替えるのに数週間かかることが多いので、受任通知発送のタイミングと逆算して動きます。

差押え後に申立てる場合の落とし穴|否認権と管財移行リスク

既に給料差押えを受けて何か月かが経過している方が、自己破産を申し立てる場合、独特のリスクがあります。

弁護士に依頼して受任通知を発送した時点で、債権者全員が「債務者は支払不能になった」と認識します。にもかかわらず、給与差押えだけは継続し、毎月4分の1ずつ債権者に支払われ続けます。これは形式的には強制執行による回収ですが、実質的には特定の債権者だけが優先的に回収していくことになり、破産法の「平等弁済」の理念に反します。

受任通知発送後に強制執行で回収された金銭は、後に破産管財人による否認権の対象になります(破産法162条1項1号)。否認権を行使して取り戻せば配当の原資になるため、たとえ同時廃止で申し立てても、裁判所が「これは管財事件にあたる」と判断する場合があります。管財事件に移行すると、追加で予納金約21万6,000円が必要になります。

管財移行を避けるための工夫

第1の工夫として、申立てのスピードを最大化することが挙げられます。受任通知発送から開始決定までの期間が短ければ、その間の差押え回収額も少額にとどまります。少額であれば、否認権を行使するコストに見合わないとして、同時廃止が維持されやすくなります。

第2の工夫として、強制執行の中止申立てを別途行う方法があります。破産法24条1項1号によれば、破産手続開始の申立てがあった場合に必要があると認められれば、裁判所は強制執行の中止を命じることができます。利用例は限られますが、給料差押えで生活が破綻する見込みが高い事案では検討に値します。

ここは経験豊富な弁護士でなければ、依頼者の生活状況を具体的に裁判所に伝えて粘り強くやり取りすることが難しい場面です。

同時廃止が選ばれるための準備|申立て前にやるべきこと

差押え前の方も、差押え後の方も、共通して同時廃止を狙うために弁護士と一緒にやっていただく作業があります。

財産関係の整理

まず、現金・普通預金の合計が50万円を超えていないか確認します。50万円を超えていれば、原則として管財事件に振り分けられます。日々の生活費として必要な金額は手元に残せますが、預金口座にまとまった額があると問題になります。

あわせて、12項目の個別財産で20万円以上のものがないか確認します。具体的には、保険の解約返戻金、賃貸住宅の敷金・保証金、退職金見込額の8分の1(既に退職した場合は4分の1)、自動車の評価額、貸付金・売掛金、未収給料・未収賞与の4分の1などを点検します。

評価額20万円超の自動車をお持ちの方は、買取業者に査定書を取って客観的な評価額を出します。減価償却期間を経過した古い自動車は、東京地裁の運用では無価値として扱うことが多く、大阪地裁でも同様の取扱いが期待できます。

退職金見込額は、勤務先が退職金規程をもとに計算した「退職金計算書」を発行してくれるのが理想ですが、勤務先に債務整理を知られたくない場合は、退職金規程のコピーをもとに自分で計算する方法もあります。

家計の見直し

次に、家計収支表を作成します。毎月の収入と支出を1〜2か月分書き出し、収支がマイナスでないか、生活費以外の支出(友人との交際費、嗜好品、ギャンブルなど)が突出していないかを確認します。

家計収支表は、裁判所への提出資料というだけでなく、ご自身の「再出発後の家計設計」を考える材料にもなります。借金が消えた後、何に気をつければ二度と同じ状況に陥らないか、考える機会と捉えてください。

借入経緯の振り返り

最後に、借入が始まったきっかけ、増えた理由を時系列で整理します。失業・減収・病気・離婚・子どもの教育費・住宅ローン破綻・ギャンブル・浪費など、原因はさまざまですが、ここを正直に弁護士にお話しいただくことが、その後の手続きに大きく影響します。

ギャンブルや浪費が原因の場合、破産法252条1項4号の免責不許可事由に該当します。ただし、現場で見ていると、ほとんどのケースで裁量免責(破産法252条2項)により免責されています。大阪地裁第6民事部では、免責不許可事由のある方についても、反省文の提出や集団免責審尋などの措置で裁量免責される例が多いです。

「ギャンブルで作った借金は破産できない」と思い込んで相談を躊躇される方が多いのですが、まずは事情をお話しいただいて、現実にどう処理できるか弁護士と検討してください。

弁護士に依頼してから免責までの全体スケジュール

堺市内にお住まいの方が、当事務所に依頼してから免責許可決定の確定までの大まかな流れをお示しします。

第0段階|相談から受任|1日〜数日

ご相談時に、借入先・残債・収入・財産・差押え状況を伺います。受任することが決まれば、その場で委任契約書を作成し、当日または翌日に受任通知を発送します。受任通知が届いた瞬間から、債権者からの督促電話・督促状はストップします。

差押えを受けている事案では、この第0段階を最短で進めるために、相談前にご準備いただきたい資料があります。詳しくは相談前チェックリストをご参照ください。

第1段階|受任通知発送から申立てまで|1か月〜3か月

受任通知発送後、債権者から取引履歴の開示を受けます。利息制限法に基づく引き直し計算を行い、過払金があれば回収します。並行して、家計収支表、財産目録、退職金計算書、住民票、戸籍謄本、源泉徴収票などを揃えます。

差押えを既に受けている事案では、ここを1か月以内に短縮するのが目標です。差押え前の通常事案では、3か月程度かけて丁寧に資料を整えます。

第2段階|申立てから開始決定まで|堺支部は2週間〜1か月

申立書を堺支部に提出します。書面審査で問題がなければ、2週間から1か月程度で破産手続開始決定と同時廃止決定が同時に出ます。問題があれば、裁判官との面談(口頭審査)が実施されます。

開始決定が出た時点で、差押えは中止状態に入ります。

第3段階|開始決定から免責許可決定まで|2〜3か月

開始決定後、免責意見申述期間(通常は開始決定後8週間程度)が設定されます。この期間中、債権者は免責に対する意見を述べることができます。期間が経過した後、特段の問題がなければ、免責許可決定が出ます。

第4段階|免責許可決定の確定|決定から2週間

免責許可決定は、官報公告から2週間が経過すると確定します。確定後、差押えは正式に失効し、勤務先がプールしていた給与の4分の1部分も本人に支払われます。

合計すると、受任から免責確定までで6か月から10か月程度が目安です。差押え事案では、第1段階の短縮で全体を少し圧縮できます。

弁護士費用と裁判所費用|思ったよりも費用負担は軽い

費用面の話に触れておきます。

裁判所に納める費用(大阪地裁堺支部、2026年初頭時点)

同時廃止の場合、収入印紙1,500円、予納郵券950円分、官報公告費約1万3,000円、合計約1万5,500円程度です。

管財事件になった場合、これに加えて管財予納金が最低21万6,000円、合計で約23万8,000円程度になります。

弁護士費用

事務所によって幅がありますが、当事務所では同時廃止の場合、初回相談を無料とし、着手金については分割払いの相談を受け付けています。差押えを受けて手取りが減っている方の場合、まとまった額を一度にお支払いいただくことが難しいため、毎月の生活費の中から無理のない範囲での分割設定にしています。

費用の詳細は、費用ページをご確認いただくか、初回相談時にお気軽にお尋ねください。

「弁護士費用が払えるくらいなら借金を返せる」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。受任通知発送と同時に債権者への返済はストップしますので、毎月の返済額に充てていたお金を弁護士費用の分割に回せます。手続きが終わるまでの数か月から半年で、無理のない費用負担が可能になることが多いです。

やってはいけない3つの行動

最後に、相談に来られる前に「これだけはやらないでください」とお伝えしている行動があります。差押え前の方にも、差押え後の方にも、共通して重要です。

第1|家族や知人からお金を借りて一部の債権者だけに返済しない

「迷惑をかけたくないから、消費者金融だけは何とか返したい」「家族に借りたお金を最優先で返したい」というお気持ちはよく分かります。しかし、これは「偏頗弁済」となり、破産手続では特定の債権者だけ優遇したものとして扱われます。30万円を超える偏頗弁済があれば、原則として管財事件に移行し、追加で予納金約21万6,000円が必要になります。

「家族に借りた分は破産で消えてしまうのが心苦しい」というお気持ちは理解しますが、それは免責が確定して経済再建が一段落した後、改めて返済を申し出ることで対応してください。法律上、自然債務として、本人の任意での返済は否定されません。

第2|裁判所から届いた書類を放置しない

訴状、支払督促、債権差押命令、いずれも特別送達の方式で届きます。「中身を見るのが怖い」「自分宛じゃない可能性もある」と封筒を開けずに放置される方がいらっしゃいますが、これは最も避けてほしい行動です。

支払督促が届いてから2週間以内に督促異議申立書を出せば、通常訴訟に移行して反論の機会が得られます。仮執行宣言付支払督促が届いた場合も、2週間以内に督促異議を出し、強制執行停止の申立てを併用すれば、差押えを止められる可能性があります。

期限を過ぎてしまうと、これらの選択肢が消えます。

第3|新しい借入で返済資金を作らない

返済が苦しくなると、別のカードローンや消費者金融、果ては闇金から借りて、目の前の返済に充てる方がいらっしゃいます。これを続けると、借入総額が雪だるま式に膨らみ、債権者の数も増え、後の破産手続が複雑になります。免責不許可事由(破産法252条1項4号)にも該当する可能性が出てきます。

「来月の支払いだけ何とかしのげれば」というご相談を受けるたびに、私が必ず申し上げるのは「しのげる見込みがあるなら相談に来られていないはずです」というお話です。

よくあるご質問

ここまで読んで疑問が残った方のために、相談時によくいただく質問にお答えします。

Q. 家族や勤務先に知られずに進められますか

ご家族と同居している場合、官報公告や郵便物の関係で、完全に知らせずに済ませるのが難しいケースもあります。ただ、勤務先については、退職金見込額を計算するための「退職金計算書」を会社に発行依頼する必要がない方法(規程のコピーを使う、独自に計算するなど)を取ることで、勤務先に債務整理を知られずに進めることが可能です。

給料差押えを受けている事案では、既に勤務先に知られていますので、その前提で対応します。

具体的な手順は、相談前チェックリストで別途解説しています。

Q. 家を失いますか

持ち家がある方は、自己破産では原則として家を失います。住宅を残したい方は、個人再生(住宅資金特別条項)という別の手続きの検討が必要です。詳しくは債務整理の総合ガイドをご参照ください。

賃貸住宅の方は、家賃を滞納しておらず、引き続き家賃を支払える限り、自己破産しても住み続けられます。大家さんに通知が行くこともありません。

Q. ギャンブル・浪費で作った借金は破産できないと聞きましたが本当ですか

破産法252条1項4号の免責不許可事由に該当しますが、現場で見ていると、ほとんどのケースで裁量免責(同条2項)により免責されています。反省文の提出、集団免責審尋などの措置を経て、免責許可決定が出る運用が定着しています。

「ギャンブルで作ったから破産できない」と諦めずに、まずはご相談ください。

Q. 携帯電話やインターネット契約はどうなりますか

携帯電話本体を分割払いで購入していて、その分割金がまだ残っている場合、その分割金は破産債権になり、契約が解除される可能性があります。一括で購入していた、または支払いが完了している場合は、契約はそのまま継続できます。

新規にスマホ本体の分割購入をすることは、免責確定後しばらく(信用情報の事故情報が消えるまで、概ね5〜10年)できなくなります。

Q. 同時廃止だと聞いていたのに、途中で管財事件に変わることはありますか

あります。否認権の対象行為(偏頗弁済、財産処分など)が後から判明したり、申立て時に申告していない財産が発覚した場合、管財事件に移行することがあります。

これを避けるために、初回相談時に正直にすべてをお話しいただくことが、最大の防御策になります。

Q. 仕事を辞めなければいけませんか

警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士、士業(弁護士、税理士、行政書士など)の一部の職業については、破産手続中に資格制限がかかり、職務に従事できなくなります。ただ、これは破産手続中(開始決定から免責許可決定確定まで)の数か月間のみで、復権すれば制限は解除されます。

事務職、製造業、サービス業、運送業など、大半の職業には資格制限がありません。

Q. 既に家計が回りません。今日相談できますか

平日9時から19時の間でご予約いただければ、当日中に枠を作るよう調整します。土日も事前予約で相談可能です。差押えを受けている事案は、相談から受任、受任通知発送までを1日で進めることもあります。

ご予約はお問い合わせフォームから、24時間受け付けています。

まとめ|動くタイミングで結果が変わります

借金問題は、放置した期間ではなく、動くタイミングで結果が大きく変わります。

第1段階(督促状)で動けば、任意整理から自己破産まで全ての選択肢が選べます。自己破産を選んでも、同時廃止に持ち込みやすく、費用も期間も最小限で済みます。

第3段階(訴状・支払督促)で動けば、まだ差押え前ですから、財産流出のリスクを抑えて手続きに入れます。

第5段階(差押え後)で動いても、自己破産で差押えを止めることはできます。ただ、選べる手段は減り、否認権による管財移行のリスクなど、追加の論点が増えます。

逆に言えば、どの段階で動いても遅すぎることはありません。「もう手遅れだ」とご自身で判断する前に、一度ご相談ください。

借金問題と債務整理の全体像については、当事務所の債務整理の総合ガイド、相談前にご準備いただきたい資料については相談前チェックリストもご参照ください。

ご相談のご予約は、お問い合わせフォームから、または電話(072-248-4848、平日9時〜19時)でも承っております。

田渕総合法律事務所は、堺東駅から徒歩5分、堺市役所と大阪地方裁判所堺支部のすぐ近くにございます。地元・堺で、これまで多くの債務整理事件を解決してきた経験から、督促状段階での早期相談から、差押え後の緊急対応・同時廃止の迅速申立てまで、幅広く対応しております。