DV・モラルハラスメント
「配偶者から暴力を受けている」
「暴言や誹謗中傷がひどくて精神的に辛い」
内閣府男女共同参画局が公表するデータによれば、DVの相談件数は増加傾向にあり、2021年度は約17.7万件でした。
約4人に1人が配偶者からDVを受けたことがあるとのことですが、その中で、離婚など別れた人は約15%にとどまるとのことです。
(参考:内閣府男女共同参画局 女性に対する暴力の現状と課題)
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/pdf/kadai.pdf
DVやモラハラは、民法の離婚原因に当たるだけでなく、慰謝料が発生したり、刑法上の犯罪に該当する可能性もある行為です。
この記事では、DVやモラハラの具体例、被害に遭った時の対応法、DV・モラハラで離婚や慰謝料の請求ができるかなどについて解説します。
1、DVとは
(1)DVとは何か
DVとは、ドメスティックバイオレンス(家庭内での暴力)を意味する言葉です。
殴ったり蹴ったり物を投げたりするなど、相手の身体に対して何らかの有形力を行使することをいいます。
夫婦が配偶者から受けるものだけでなく、交際相手、親子間などの暴力もDVに当たると考えられています。
特に、子どもが両親の間でのDVを目にすることは、子どもに対する心理的な虐待となり、子どもの心身の成長に対して大きな影響が出てしまうと言われています。
以下では、夫婦の間でのDVを前提としてお伝えしていきます。
(2)DVに当たる具体的な行為
DVは、身体に対する暴力ですが、その程度や態様はさまざまです。
実際に存在した例も交えて、以下、DVの具体例をご紹介します。
- ●髪の毛を引っ張って引きずり回された
- ●胸ぐらをつかんで壁にガンガンぶつけられた
- ●押し倒されてうずくまっているところを蹴りつけられた
- ●刃物を持って脅された
- ●タバコの火を押し付ける
- ●階段から突き落とす
- ●セックスを無理やり強要する
ケガやアザなどの肉体的な傷が生じることは当然ですが、「あ、殺されるかもしれないな」「子どもと一緒に飛び降りたら楽になれる」という気持ちがよぎるなど、精神的にも極限まで追い詰められてしまうことも少なくありません。
(参考:内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/02_1.html
2、モラハラとは
(1)モラハラとは何か
モラルハラスメント(モラハラ)とは、暴力などの有形力を行使せず、精神的・心理的に虐待や嫌がらせをすることをいいます。
モラハラの特徴は、家庭の外からは分かりづらい、本人にとっても直接的な被害が分かりにくい、結婚するまで分からないという点にあります。
しかし、最近ではニュースなどで見聞きする機会が増えてきていて、モラハラを理由として離婚を申し立てるケースが増加しています。
(2)モラハラに当たる具体的な行為
精神的・心理的な虐待であるモラハラですが、その具体例としては、以下のようなものが該当します。
ご自身が配偶者から受けている仕打ちがモラハラに当たるかどうか、確認なさってみてください。
- ●大声でどなる
- ●「誰のおかげで生活できるんだ」「かいしょうなし」などと言う
- ●実家や友人と付き合うのを制限したり、電話や手紙を細かくチェックしたりする
- ●何を言っても無視して口をきかない
- ●人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする
- ●大切にしているものを壊したり、捨てたりする
- ●生活費を渡さない
- ●外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする
- ●子どもに危害を加えるといって脅す
- ●殴るそぶりや、物を投げ付けるふりをして、怖がらせる
(参考:内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/02_1.html
3、DV・モラハラで離婚や慰謝料の請求はできる?
モラハラを理由として離婚をすることは可能です。
しかし、モラハラは外から分かりづらい、モラハラの加害者は外面が良いなどの特徴があるため、離婚成立までの道のりは、険しくなることが少なくありません。
多くの離婚は、双方が話し合って離婚を成立させる協議離婚ですが、モラハラのケースで協議離婚を成立させることは困難な傾向にあります。
「協議離婚」
そのため、モラハラを理由に離婚を成立させるには、家庭裁判所での離婚調停か離婚訴訟の手続きを経ることになります。
離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員を交えて話し合い、お互いが納得する条件での離婚を目指す手続きです。
「調停離婚」
調停手続きで話し合いが成立しなければ、離婚訴訟を提起して、判決で離婚を成立させることとなります。
「裁判離婚」
裁判所に離婚を認めてもらうためには、民法770条1項5号が規定する「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在することが必要です。
具体的には、「モラハラによって夫婦関係が破綻している」、「これ以上夫婦関係を続けていくことは不可能である」ということを証拠で証明し、第三者である裁判官に認めてもらわなければなりません。
このように、離婚の原因がモラハラである場合に離婚を成立させることには労力が必要ですが、ご自身や大切なお子様を守るために、心が折れそうになっても頑張って安心できる生活を取り戻すことが重要です。
4、DVやモラハラを受けたときの対応法3つ
(1)証拠を集める
裁判離婚を進めるに当たって、単に「嫌がらせを受けている」「暴言を吐かれた」などと主張するだけでは、モラハラを証明することはできません。
裁判では、モラハラの具体的な内容を証明するための証拠を集めて提出する必要があります。
例えば、モラハラによって心身が不調に陥って、病院に通っているのであれば、その通院記録や診断書などが証拠になり得ます。
また、モラハラの日時や内容を記録している日記や、モラハラを家族や友人に相談したときのメールやLINE、実際にモラハラを受けているときの動画や音声なども証拠となると考えられます。
(2)公的機関に相談する
モラハラは、様々な公的機関に相談することができます。
公的機関に相談することによって、DV防止法という法律に基づいて、シェルターで一時保護してもらえたり、加害者に接近禁止命令などを出してもらったりすることが可能となります。
モラハラを相談できる公的機関には、次のようなものがあります。
- ●DV相談窓口
- ●配偶者暴力支援センター
- ●女性センター
- ●児童相談所
- ●警察
(3)安全に離婚・慰謝料を請求する
モラハラを理由に離婚するときの慰謝料は、20~300万円が相場と考えられます。
慰謝料の額は、次のような事情があるかどうかによって決められます。
- ●モラハラの回数
- ●モラハラの期間
- ●モラハラによる被害の程度(精神的ダメージなど)
- ●婚姻期間
- ●子どもの有無・人数
- ●お互いの収入・資産
5、まとめ
モラハラでは、「辛い」、「離婚したい」と思っていても、自分が悪いのではないか、子どもがいるから自分が我慢すればよいなどと考えて、誰にも相談できずにいることも少なくありません。
しかし、第三者に話を聞いてもらうことで、それだけで気が楽になりますし、これまでとは違った決断ができる可能性があります。
特に、弁護士に相談すれば、以下の情報を得ることができます。
- ●離婚できるかどうかの判断ができるようになる
- ●慰謝料を請求できるかどうかの判断ができるようになる
- ●どれくらいの慰謝料額になるのか見込みを立てられる
配偶者からのモラハラにお悩みの場合には、一度、弁護士に相談してみることをお勧めいたします。
6、当事務所にご依頼いただく場合の流れ
堺東駅から徒歩5分の当事務所では、離婚・男女問題を幅広く取り扱っております。
弁護士への相談という一歩を踏み出すには勇気が必要ですが、一人で抱え込むには限界がありますし、動き出すタイミングが早ければ早いほど、選択肢や可能性が広がることが少なくありません。
相談の内容によっては、異性に話しづらいこともあるかと思います。
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