性格の不一致による離婚の慰謝料相場は?手続きの流れやポイント
協議離婚調停離婚離婚できる理由(原因)離婚までの流れお互いの価値観や性格の違いが積み重なり、夫婦関係が破綻してしまうケースは多くみられます。このような「性格の不一致」は、相手に慰謝料を請求できるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、性格の不一致による離婚で慰謝料が請求できるのか解説します。また、離婚までの手続きの流れや弁護士を活用するメリットも紹介しているので、離婚を考えている方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
性格の不一致による離婚の慰謝料相場はいくら?
裁判所が公表している「婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、申立ての動機で多く挙げられているのが「性格が合わない」です。しかし、「性格の不一致」は法定離婚事由に該当せず、基本的には慰謝料を請求できません。その理由について、ここで解説します。
参考:司法統計 結果一覧(裁判所)
性格の不一致では慰謝料を請求できない
慰謝料とは、相手の不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に請求できる損害賠償金のことです。性格の不一致や価値観の違いなどは、夫婦どちらか一方が悪いとは断言できないことが多いため、基本的に慰謝料の請求対象にはなりません。
離婚における慰謝料の請求対象となるのは、不貞行為やDV、モラハラなど、具体的な加害行為がある場合です。
性格の不一致では離婚が認められにくい
性格の不一致のみを理由とする離婚は、家庭裁判所においても認められにくい傾向にあります。
日本では民法第770条に基づき、以下5つの「離婚事由」が定められています。
【法定離婚事由】
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
婚姻を継続しがたい重大な事由「性格の不一致」だけでは上記の法定離婚事由に該当しないことから、相手が同意しない場合、裁判所が離婚を認めない可能性が高いといえます。
つまり、性格の不一致が原因で離婚したい場合は、原則的に話し合いで解決することが重要です。相手から離婚の同意を得られない場合は、解決金を支払う方法があります。解決金の相場は100万円〜、高くて1,000万円になることもあり、特に決まりはありません。交渉で双方が納得する金額を定める必要があります。
参考:民法770条(e-Gov 法令検索)
なお、仕事を理由とする離婚のケースについては、次の記事を参考になさってください。
参考記事:仕事を理由とする離婚は可能?離婚の条件と進め方を解説
一般的な離婚の慰謝料相場
離婚時の慰謝料相場は、離婚原因や状況によって大きく異なりますが、不貞行為が原因の場合は、一般的に100万〜500万円が相場です。不貞行為の場合は具体的な証拠が必要であり、その証拠の有無や不貞の回数、婚姻期間などが慰謝料の額に影響します。
DV・モラハラによる離婚では、被害の内容や頻度が重視され、50万~500万円程度が相場です。場合によっては500万円以上の慰謝料が認められるケースもあります。慰謝料は、加害行為の内容や婚姻期間、子どもの有無などを考慮したうえで算出されます。
性格の不一致による離婚においても、少しでも慰謝料を得たい場合は、相手の言動などに関する証拠を集めることが必要です。
不貞行為を理由として不倫相手に慰謝料を請求する場合については、次の記事を参考になさってください。
参考記事:不倫相手に慰謝料を請求するには? 流れや相場を解説
また、離婚を理由に配偶者に慰謝料を請求する場合については、次の記事を参考になさってください。
性格の不一致で離婚するには?手続きの流れ
離婚の手続きについて、どのように進めたらよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、離婚を進める際の一般的な流れを3つのステップに分けて解説します。
まずは当事者同士で離婚について話し合う
性格の不一致による離婚では、まず夫婦間での話し合い(協議離婚)によって解決を図るのが一般的です。互いに離婚に合意し、財産分与や親権などの条件についても納得できれば、役所に離婚届を出すだけで成立します。
話し合いがまとまらない場合は離婚調停
協議離婚で合意に至らない場合、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。調停では、調停委員が夫婦間の仲介をしながら、双方が納得できる離婚条件を調整してくれます。調停を通じて、財産分与や親権なども含めた総合的な離婚条件の調整が可能です。
性格の不一致が離婚理由となる場合も、調停委員が夫婦の間に立って話し合いをサポートしてくれるため、冷静に対話しやすい環境が整っています。
些細なことで揉めてしまい、調停が不成立になった場合は、裁判官が職権で離婚を成立させる「審判離婚」に移行する場合もあります。
協議離婚・調停離婚・審判離婚それぞれについての解説は、次の記事を参考になさってください。
参考記事:協議離婚と調停離婚のどちらを選択すれば良い? – 堺市の離婚・不貞慰謝料請求を弁護士に相談
参考記事:審判離婚とは?メリット・デメリットや裁判離婚との違い – 堺市の離婚・不貞慰謝料請求を弁護士に相談
調停が不成立の場合は離婚裁判
調停でも合意が得られない場合、最終的に離婚裁判での解決を図ることになります。裁判では、婚姻関係が破綻していることの証明が必要であり、性格の不一致のみでは「証拠が不十分」と判断され、敗訴する可能性が高い点に注意しましょう。訴訟は手間も費用も多くかかるため、しっかりと証拠を整えたうえで臨むか、裁判に移行する前に解決することが大切です。
性格の不一致で離婚する場合は弁護士に相談するのがおすすめ
離婚をスムーズかつ有利に進めたい場合は、弁護士への依頼が賢明です。ここでは、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
離婚を成立させるためのアドバイスをもらえる
「性格の不一致」は法定離婚事由に該当しないため、裁判で離婚を成立させるのは困難です。弁護士に相談することで、どのような戦略で離婚を進めるのか、証拠の収集方法など、具体的なアドバイスを受けられます。アクションを起こす前に、弁護士による専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士が代わりに相手と交渉してくれる
弁護士が代理人となって相手との交渉を代行してくれるため、直接話し合う必要がなくなります。特に感情が絡む問題では、第三者の専門家が間に入ることで冷静な話し合いができるため、スムーズな解決に期待できます。
また、弁護士は日々交渉業務をしているため、経験豊富な弁護士であれば有利に離婚を進める交渉術も心得ているでしょう。精神的な負担を少しでも軽減したい場合は、弁護士に交渉を任せるのがおすすめです。
複雑な裁判手続きなども任せられる
離婚や裁判が初めての場合、書類の作成や必要な手続きについて困惑することが多くあるでしょう。弁護士に依頼することで、煩雑な裁判手続きや書類の作成なども任せられるため、労力を軽減できます。
離婚を考えている場合は「田渕総合法律事務所」へご相談ください
「離婚の進め方が分からない」「慰謝料を請求したい」など、離婚に関してお悩みの際は、「田渕総合法律事務所」にご相談ください。田渕総合法律事務所は大阪府堺市の堺東駅から徒歩5分の場所にあります。Webでの面談も実施しているので、遠方の方もお気軽にお問い合わせください。
相談者さまに寄り添って親身にお話を伺います
弁護士への相談に対し、「ハードルが高い」「相手にされない」などのイメージを持つ方も多くいます。しかし、当事務所はリラックスしてお話しできる雰囲気作りを大切にしており、どのようなお悩みでも安心して相談可能です。初回相談では親身にお話を伺ったうえで、解決の見込みや弁護士費用を分かりやすくご説明します。
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当事務所では、離婚問題でお悩みの方が気軽に弁護士に相談できるよう、初回相談を30分無料で実施しています。事前にご予約いただければ、土日・夜間の面談も可能ですので、お仕事が忙しい方も遠慮なくご相談ください。
まとめ
「性格の不一致」が原因で離婚したい場合、夫婦どちらか一方に非はないことから、基本的に慰謝料は請求できません。離婚で慰謝料を請求できるケースは、不貞行為やDV、モラハラなどの具体的な加害行為がある場合です。なお、不貞行為やDV、モラハラなどの慰謝料の相場は、50万〜500万円です。
「性格の不一致」で離婚を進めたい場合は、話し合いが重要です。少しでも有利に離婚の交渉を進めるために、弁護士への依頼を検討してみてください。
◆ 略歴
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2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)
<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター
<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)
<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)
<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)
◆ ホームページ
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