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離婚に必要な別居期間は何年?手続ごとに年数や対処法を解説

離婚を考えた際に、別居してみるのは有効な選択といえます。別居によって冷静に話し合いを進められるほか、精神的なストレスから解放されるメリットもあります。ただ、「どのくらいの期間別居が必要なのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、離婚に必要な別居期間や、別居から離婚までの流れ、別居する際の注意点について解説します。

離婚するには別居が必要?

離婚には別居が必要なものだと思っている方も多いのではないでしょうか。ここでは、離婚を成立させるために別居が必要なプロセスなのか解説します。

協議離婚・調停離婚の場合は不要

夫婦間の合意のもと成立する『協議離婚』や『調停離婚』の場合、別居は必要ありません。離婚の要件には別居が含まれておらず、同居しながら離婚の手続を進めることが可能です。また、「離婚後は必ず別居しなくてはいけない」というわけでもありません。実際、離婚後も同居し続けるケースは存在します。

ただ、協議離婚や調停離婚の場合でも、離婚前に同棲することで以下のようなメリットがあります。

  • 離婚に対する真剣さを示せる
  • 冷静になって話を進められる
  • 精神的なストレスが軽減される

特にDVやモラハラなどを受けている場合は、身の安全のためにも早期に別居を検討すべきといえます。

裁判離婚の場合は別居していたほうが離婚しやすくなる

配偶者が離婚に応じない場合には、裁判で離婚手続を進めることとなります。裁判で離婚を成立させるには、以下の要件のどれかに当てはまる必要があります。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復の見込みのない重度の精神病
  • 婚姻を継続し難い重大な理由

夫婦には同居・協力・扶助の義務があり、「別居している」ということは、それを放棄しているといえます。別居期間が長く続けば、「婚姻を継続し難い重大な理由」と判断されるひとつの材料になり得ます。

ただし、「10年別居すれば離婚が認められる」といった具体的な年数はなく、別居すれば必ずしも離婚が認められるわけではありません。

平均的な別居年数は?

離婚するのにどのくらいの別居期間が必要なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、厚生労働省の『令和4年度 離婚に関する統計の概況』から、離婚の手続別の平均的な別居年数を紹介します。

参考:令和4年度 離婚に関する統計の概況(厚生労働省)

協議離婚の場合

協議離婚における、別居期間の割合は以下のとおりです。

  • 1年未満:86.2%
  • 1〜5年未満:8.7%

上記の数値から、別居後1年未満で離婚を成立しているケースが多いことが分かります。協議離婚は夫婦間で条件の折り合いがつけば、すぐに離婚を成立できる方法です。ただし、感情的な対立に発展し、話し合いが進展しないケースもよくあります。

調停離婚の場合

調停離婚は、協議離婚が難しい場合に家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停の場で離婚を成立させる手続です。

平均的な別居年数について明確なデータはありませんが、調停離婚が成立するまでに半年程度かかることから、別居期間が1年を超える可能性は十分あります。別居期間の長さは調停の進み方次第であり、数ヶ月で終わるケースもあります。

裁判離婚の場合

裁判離婚における、別居期間の割合は以下のとおりです。

  • 1年未満:56.8%
  • 1〜5年未満:34.1%

手続に時間のかかる裁判離婚であっても、別居開始から1年未満で離婚を成立させている夫婦が半分を超えていることが分かります。ただ、別居によって裁判離婚を成立させる場合、必要となる別居期間は3〜5年が一般的な目安です。

また、DV・不貞・性格不一致など、別居の原因によって必要となる別居期間は変動する場合があります。以下は、原因別による別居期間の目安です。

【不倫・不貞】
配偶者の不貞によって別居している場合、別居期間が1年未満でも離婚できる可能性が高いといえます。なぜなら、不貞行為自体が離婚の要件に該当するためです。ただし、不貞行為の証拠を裁判所に提出できなければ、離婚を認めてもらえない可能性があります。

【暴力(DV)・モラハラ】
配偶者から暴力を受けている場合、『婚姻を継続し難い重大な事由』として離婚の要件に該当します。そのため別居期間が1年未満であっても、離婚が認められるでしょう。ただし、暴力を受けた証拠を裁判所に提出しないと、離婚を認めてもらえない可能性があります。

【性格の不一致】
「配偶者の性格が合わない」といった理由だけでは、『婚姻を継続し難い重大な事由』として離婚を認めてもらうのは困難です。ただし、別居期間が「3〜5年」といったように長ければ、婚姻関係が破綻しているとみなされ、離婚を認めてもらえる可能性があります。

注意したいのは、同居期間が長い場合は、3〜5年の別居であっても「一時的な別居」とみなされ、離婚を認めてもらえない可能性がある点です。同居期間と別居期間の対比が判断のポイントとなります。

【有責行為をしていた場合】
不貞行為や暴力行為などの離婚の原因を作っている本人が、自分の都合で離婚を請求しても原則的には認められません。また、有責行為をしていた場合の離婚が認められるかどうかは、別居期間の長さだけでなく、以下の2つも重要なポイントとなります。

・当事者の間に未成熟の子どもがいないか
・配偶者が離婚によって精神的・経済的にダメージを受けないか

つまり、別居期間が5年や10年であろうと、当事者の間に未成熟の子どもがいたり、離婚によって配偶者が過酷な状況におかれたりする場合には、離婚は認めてもらいにくくなります。

別居中に注意すべきこと

離婚のために別居を考えている場合は、以下の注意点を押さえておきましょう。

婚姻費用

夫婦は、お互いを助け合う義務があります。ゆえに、別居中の生活費は収入の多い配偶者から婚姻費用として請求可能です。自分が家を出ていった場合でも、配偶者が家を出ていった場合でも、婚姻費用は基本的に分担となります。ただし、婚姻費用を請求する側が有責配偶者の場合は、請求できない可能性があるため注意が必要です。

なお、配偶者が婚姻費用の支払いを拒否している場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることが可能です。

面会交流

別居によって子どもと離れてしまうケースもあるでしょう。ただ、別居中であっても子どもとの面会交流は可能です。離婚が成立するまでは、夫婦ともに親権を持っています。「子どもを別居中の夫(妻)に会わせたくない」といった、一方の親の感情で拒否することは原則的にできません。

ただ、面会交流によって「子どもが暴力や虐待を受ける可能性がある」「子どもを連れ去られる恐れがある」といった場合は、拒否できます。

トラブルを防ぐためにも、面会交流におけるルール(交流の方法や頻度、学校行事への参加など)を別居前に話し合っておくのが理想です。

別居から離婚までの流れ

ここでは、別居から離婚までの流れを一例として紹介します。

【弁護士に相談】
別居する前に、まずは離婚を考えている旨を弁護士に相談してみてください。証拠集めや財産の把握など、別居前に知っておきたい注意点も教えてもらえます。

【別居】
別居する旨を配偶者に伝えます。無断で家を出るとトラブルになるため注意しましょう。家を探し、別居の準備をして家を出ます。

【協議】
離婚の手続には調停や裁判もありますが、まずは話し合いをするのが一般的です。弁護士に依頼している場合は、間に入ってもらって協議を進めるとよいでしょう。

【調停】
話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることが可能です。調停委員と夫婦それぞれが面談し、離婚の条件を擦り合わせます。

【裁判】
調停でも離婚の条件がまとまらない場合には、裁判離婚によって決着をつけます。原告は法定離婚事由の存在を主張し、被告はそれに反論します。審理にかかる期間は1年を超えることも珍しくありません。

【離婚成立】
判決が下され、離婚が成立します。裁判の途中で和解が成立する『和解離婚』や、被告が離婚の条件を全面的に受け入れる『認諾離婚』となるケースもあります。

別居・離婚を考えたら弁護士に相談を

有利に離婚を進めるためには、できる限り別居前に弁護士に相談するのがおすすめです。別居前に弁護士からのアドバイスを受けることで、婚姻費用をきちんと請求できたり、親権獲得が有利になったりします。

無料相談を実施している法律事務所もあるため、離婚を悩んでいる段階でも相談してみるとよいでしょう。

まとめ

離婚するために別居は必要ではありません。しかし、裁判離婚の場合においては、長い期間別居していることで「婚姻関係が破綻している」とみなされ、離婚が認められる可能性があります。

また、夫婦が離れて暮らしてみることで、冷静になって離婚協議を進められたり、精神的なストレスが軽減されたりといったメリットもあるため、離婚前に別居するのは有効な選択です。

ただし、何も考えずに別居するのはよくありません。悪意の遺棄(相手を見捨てる)が成立してしまう可能性があるほか、浮気の証拠が確保できなくなるなど、離婚が不利になってしまいます。

別居や離婚における注意点を知り、少しでも有利に離婚を進めたい場合は、田渕総合法律事務所にご相談ください。初回相談は30分無料で実施しており、Web面談やメール相談も可能です。

事務所は大阪府の堺東駅から徒歩5分の場所に位置しており、事前に予約いただければ休日や夜間の法律相談も承っています。Webからの問合せ24時間受け付けております。

相談者さまに寄り添い、親身にサポートいたしますので、一度初回相談で事情をお聞かせください。

この記事の監修者

田渕 大介弁護士 (大阪弁護士会所属)

TABUCHI DAISUKE

◆ 略歴
━━━━━━━━━━━━━━━━━
2004年 防衛大学校 中退
2009年 大阪市立大学法学部 卒業
2014年 司法試験予備試験合格
2016年 大阪弁護士会登録(69期)

<所属>
大阪市立大学(現在の大阪公立大学)法学部 非常勤講師
大阪市立大学ロースクール アカデミックアドバイザー
大阪市立大学 有恒法曹会
大阪弁護士会 行政問題委員会、行政連携センター

<資格>
弁護士
行政書士
教員免許(中学社会・高校地歴公民)

<著書>
「生徒の自殺に関する学校側の安全配慮義務違反・調査報告義務を理由とする損害賠償請求事件」(判例地方自治469号掲載)
「行政財産(植木団地)明渡請求控訴事件」(判例地方自治456号掲載)

<学会発表>
「改正地域公共交通活性化再生法についての一考察-地域公共交通網形成計画に着目して-」(公益事業学会第67回大会)

◆ ホームページ
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【ココナラ法律相談】
https://tabuchi-law-office.com/rikon/

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