なりすまし/のっとり被害
インターネット上で多い被害の一つとして、なりすましや乗っ取りによる誹謗中傷、犯罪行為などがあります。
しかし、実際の手口や対策、法的措置が取れるのか分からないという方もいると思います。
そこで、本記事ではネット上でのなりすましや乗っ取りの概要、また法的措置や対策等についても解説していきます。
ネット上でのなりすましや乗っ取り被害について
インターネット上でのなりすましや乗っ取りには様々なものがあります。
具体的には、下記のようなものが該当します。
- ・X(旧:Twitter)やInstagramなどを乗っ取る『SNSアカウント乗っ取り』
- ・LINEを乗っ取りユーザーになりすまして金銭を要求する『LINE乗っ取り』
- ・大企業や実在団体になりすまし、偽サイトから個人情報を不正入手する『フィッシング詐欺』
- ・Wi-Fi経由で情報を乗っ取り、企業秘密や個人情報を漏えいする『Wi-Fi乗っ取り』
いずれの被害も、アカウントのログイン情報(IDやパスワード)などを不正に取得されてしまうケースが要因にあります。
したがって、日頃からIDやパスワードを推測されにくいものにして、漏えいしないように注意すべきでしょう。
また、なりすましやのっとりの被害に遭った場合に備えて、対応策や被害拡大を防ぐ処置も知っておくと安心です。
法的措置も検討する際は、インターネット上での問題に詳しい弁護士にも相談した方が良いでしょう。
なりすましや乗っ取り犯に対して法的措置は取れる?
前述の様ななりすましや乗っ取りがあった場合、法的措置は取れるのでしょうか。
答えとしては、なりすまし等の行為のみで犯罪となる法律はありません。
したがって、なりすましや乗っ取りがあっても、金銭的あるいは肉体的な被害や社会的な信用を傷つけられていない場合等は法的措置を取れないでしょう。
ただし、インターネット上でのなりすましや乗っ取りは、下記のような犯罪が成立しやすい特徴があります。
① 名誉棄損罪
本人(被害者)になりすまして、社会的な信用を失墜させるような行為や発言を行うと名誉棄損となります。
② 侮辱罪
事実を適示せずに、本人(被害者)を公然と侮辱すると侮辱罪になります。
③ 業務妨害罪・信用棄損罪
なりすましにより詐欺行為や虚偽情報の拡散を行うと、本人(被害者)は対応に追われるため業務妨害罪が適用されます。
また、信用も低下するため信用棄損罪にもなります。
④ 不正アクセス禁止法違反
インターネットを介して、本来アクセス権限のないシステムやサーバーに侵入・乗っ取り等を行うと不正アクセス禁止法違反となります。
⑤ 電子計算機使用詐欺罪
なりすましによりメールを送信、偽サイトで金銭をだまし取った場合は電子計算機使用詐欺罪となる可能性があります。
そのため、被害に遭った場合は、上記の様な犯罪行為に該当しているかを確認しましょう。
なりすましや乗っ取りがあった場合の対応策
自分のアカウントでなりすましや乗っ取りがあった場合、下記のような対応を行うと良いでしょう。
- ・警察や弁護士に不正アクセスで相談する
- ・SNS運営会社に通報し削除申請を行う
- ・アカウントが悪用されている旨をフォロワーや関係者に報告する
- ・ログインできればパスワード設定を複雑なものに変更
- ・犯人を特定するため発信者情報の開示請求を行う
- ・メールアドレスの変更やアプリ連携の解除をする
- ・セキュリティソフトでデバイスのスキャンを行う
可能であれば、なりすましや乗っ取りの証拠となる情報をしっかり記録しておきます。
対象のアカウントや投稿内容をスクリーンショットで保存しておくと良いでしょう。
被害を防ぐための5つの予防策
乗っ取りやなりすましを事前に防ぐ予防策も知っておきましょう。
主な対策としては下記のようなものがあります。
① IDやパスワードのセキュリティを高める
予測されやすい情報(名前・生年月日など)を使用しない、複雑なものにする、複数のサイトやSNSで使いまわさない、定期的に変更するなどの対策があります。
② 他アプリとの連携は控えめにする
不正なアプリの中には、個人情報を抜き取るものもあるため気を付けましょう。
③ 2段階・2要素認証を導入しておく
パスワードの他に指紋や顔認証、SMSのコード入力などを設ければ、不正アクセスを防ぎやすくなります。
④ 不審なメールやURLは開かないように注意する
フィッシングサイトへの誘導やウイルス感染のリスクがあるため要注意です。
⑤ 本物のサイトかチェックを行う
偽サイトに騙されないようにURLが本物か、不審な点はないかチェックしましょう。
なりすましや乗っ取りを防ぐためには日頃からの注意が不可欠
なりすましや乗っ取りの概要、法的措置や予防・対応策についても解説しました。
インターネット上でのなりすましや乗っ取りは、犯人の特定が難しいため個人で対応するには限界があるでしょう。
したがって、インターネットやSNS等に詳しい弁護士や警察にも相談し、必要な対応を取っていく方が安心です。
ぜひ、本記事を参考にしながら対策を練ってみましょう。