不同意わいせつ罪で不起訴を獲得するには?弁護士に依頼するメリット
不同意わいせつ刑事事件加害者側性犯罪不同意わいせつ罪での逮捕・送検は、社会的信用や仕事・家庭に大きな影響を及ぼす深刻な問題です。しかし、すべての事案が必ずしも起訴されるわけではなく、弁護士のサポートによって不起訴処分を獲得できる可能性があります。不起訴となれば前科がつかず、将来へのダメージを最小限に抑えられます。
この記事では、不同意わいせつ罪とは何か説明しつつ、不起訴を目指すための方法と、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
目次
不同意わいせつ罪とは
2023年に日本の刑法が改正され、「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」を一本化した「不同意わいせつ罪」が新たに規定されました。(刑法第176条)
この改正は性犯罪に対する認識を大きく変えるものであり、これまでの「抵抗できない状態」でなければ犯罪成立が難しかったケースも「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」であれば、不同意わいせつ罪が成立する可能性が広がりました。
ここでは、不同意わいせつ罪が成立する要件について解説します。
根拠条文:刑法第176条(e-Gov 法令検索)
なお、不同意性交等罪に関する解説は、次のコラムを参考になさってください。
参考記事:不同意性交等は弁護士に依頼すべき?弁護士費用や選ぶ際のポイント
相手が同意できない状況でのわいせつ行為
刑法第176条第1項では、「相手が同意できない状況にあるにもかかわらず、わいせつな行為をすること」が禁止されています。同意が成立しない典型的な状況として、以下の8 つが挙げられます。
1.暴行や脅迫を受けているとき | 相手が恐怖を感じ、抵抗や拒否が事実上できない状況など |
2.心身に障害があるとき | 障害のために意思表示や判断が困難な場合など |
3.アルコールや薬物の影響下にあるとき | 泥酔や薬物摂取によって正常な判断力を欠いている状態など |
4.睡眠中や意識が明瞭でないとき | 眠っている、あるいは意識がもうろうとしている状況など |
5.同意を示す暇がないとき | 急な行為で拒否の意思を表明する時間が与えられない場合など |
6.恐怖や驚愕で抵抗できないとき | 突然の行為で恐怖に陥り、拒否が困難になるケースなど |
7.虐待に起因する心理的反応があるとき | 虐待の影響で逆らえない心理状態にある場合など |
8.経済的・社会的立場の影響を受けているとき | 職場の上下関係などで、不利益を恐れて同意できない場合など |
これらの状況にある場合、相手は自由な意思で「拒否」や「同意」を示すことができません。そのため、形式的に抵抗がなかったとしても、法律上は「不同意」の状態とみなされ、わいせつ行為は犯罪となります。
相手が勘違いした状態でのわいせつ行為
刑法第176条第2項では、相手が誤解して同意しているように見えるケースを対象としています。例えば、医療行為やマッサージと偽って体に触れる場合や、「これは業務上必要な行為だ」と思い込ませて性的な接触をする場合などです。あるいは、相手が行為者を別人と勘違いしている状況を利用するケースも含まれます。
16歳未満の者に対するわいせつ行為
刑法第176条第3項は、16歳未満の子どもに対するわいせつ行為を明確に禁止しています。ここでは「同意の有無」は一切問題にならず、年齢が16歳未満であれば同意能力がないと法律上みなされます。
なお、相手が16歳未満で13歳以上の場合には、加害者が5歳以上年上であることが処罰の条件です。これは、年齢が近い者同士の恋愛関係や身体的接触については、一定の配慮をするという趣旨です。
不同意わいせつ罪で逮捕・起訴されるとどうなる?
同意がない性的行為は厳しく処罰され、刑事手続きが進むと社会生活や仕事、学業にまで深刻な不利益が生じる可能性があります。ここでは、逮捕・起訴後に想定される影響について解説します。
6か月以上10年以下の拘禁刑
不同意わいせつ罪の法定刑は「6か月以上10年以下の拘禁刑」と定められています。「拘禁刑」は、刑法改正で導入された新しい刑罰の名称です。従来は「懲役刑」と「禁錮刑」に分かれていましたが、これらが一本化され「拘禁刑」と呼ばれるようになりました。
拘禁刑の内容は、刑務所に収容されて自由を制限される点では従来の懲役や禁錮と同様ですが、懲役のように必ずしも労働を伴わず、教育プログラムや改善指導を受けることも可能です。
不同意わいせつ罪の法定刑で注意したいのは、婚姻関係の有無にかかわらず適用される点です。つまり、配偶者や交際相手に対する行為であっても、相手の自由な意思に反していれば処罰の対象となります。執行猶予が付かない場合は実刑となり、長期間の収監生活を余儀なくされます。
前科がつく
刑事裁判で有罪が確定すると「前科」がつきます。前科とは、過去に刑事事件で有罪判決を受けた経歴のことを指し、将来の社会生活に大きな不利益をもたらします。就職活動や資格取得に制限がかかることがあり、転職の際にも大きなハンデとなります。また、ビザ取得が難しくなるなど海外渡航の制限につながるケースもあります。
学校・職場に知られる
逮捕されれば最大23日間勾留される可能性があり、その間に欠勤・欠席が続けば学校や職場に事実が知られるリスクが高まります。特に同じ職場で不同意わいせつを行った場合には、被害者がハラスメント窓口に相談することも多く、異動・停職・懲戒解雇などの処分を受けるケースも少なくありません。
社会的信用は大きく失墜し、円満に解決することは困難になります。そのため、早期に弁護士へ相談し、被害者との示談交渉や裁判対応を適切に進めることが重要です。
不同意わいせつ罪で不起訴処分を獲得するには
不同意わいせつ罪で逮捕・送検されたとしても、必ずしも起訴されるわけではありません。「犯罪事実を認定できない」「起訴を猶予とすべき」と判断された場合には不起訴処分となるケースもあります。不起訴処分を獲得できれば、次のような大きなメリットがあります。
・前科がつかない
・学校や職場に知られる前に解決できる可能性がある
・社会的信用を守れる
・逮捕・勾留から早期に解放される可能性が高まる
ここでは、不起訴処分を得るための方法について解説します。
被害者との示談を成立させる
犯罪事実を認める場合には、被害者との示談成立が重要になります。示談とは、加害者が謝罪や慰謝料の支払いを行い、被害者に事件を許してもらうことです。被害者が「処罰を望まない」という意思を示せば、検察官が起訴を見送る可能性は高まります。
同意があったことを主張する
「行為自体に同意があった」または「身に覚えがない」といった場合には、事実関係を争うことになります。この場合は、被疑者本人の供述に加え、メール・LINEのやり取りや目撃証言、防犯カメラ映像といった客観的な証拠が重要です。
警察に自主する
事件発覚前に自ら警察へ出頭し、正直に事実を説明することも不起訴判断に影響します。自主の姿勢は「真摯に反省している」と評価されやすく、処分を軽くする方向に働く場合があります。
自主を検討する際は、事前に弁護士に相談し、出頭の際にどのような説明をするか、どのような証拠を提出すべきかを入念に準備することが重要です。
再犯防止策を提示する
不起訴を目指すうえで、再犯防止に向けた取り組みを示すことも有効です。反省文を作成して検察官に提出する、カウンセリングや性依存症の治療を受けるなど、具体的な対策を提示することで「再び同じ過ちを繰り返さないだろう」という安心感を与えられる場合があります。仮に起訴された場合でも、量刑の軽減につながる可能性があります。
不同意わいせつ罪は弁護士に相談するのが賢明
不同意わいせつ罪で捜査を受ける、あるいはその可能性があるとき、早い段階で弁護士に相談することが重要です。刑事事件は時間が経つほど不利な状況になりやすいため、初動から適切な対応を取ることで有利な結果を得やすくなります。ここでは、弁護士に依頼するメリットを解説します。
弁護士でないと被害者との示談交渉が難しい
不同意わいせつ事件では、被害者との示談交渉が不起訴や刑の軽減に大きな影響を与えます。しかし、被害者は加害者に対して嫌悪感を抱いているケースが多く、加害者本人が被害者と直接連絡を取ることは難しい場合がほとんどです。
弁護士であれば正式な窓口として連絡し、慰謝料や謝罪の条件などを調整することが可能です。経験豊富な弁護士であれば、交渉の進め方や相手への伝え方を熟知しており、無用なトラブルを避けながら円滑に示談を成立させられる可能性があります。
逮捕を防げる可能性がある
逮捕前の段階で示談が成立すれば、被害届の提出を防げる可能性があります。また、被害届の提出後であっても、被害届が取り下げられたり、被害者との示談が成立したりすれば、警察側が「事件化の必要性が薄れた」と判断し、逮捕や勾留を回避する方向に動くこともあります。
取り調べを受ける際のアドバイスが得られる
刑事事件において、取り調べ時の供述内容は今後の処分に大きく影響します。供述の仕方を誤ると、事実と異なる記録が残り、後の裁判や不起訴判断に不利に働くことも少なくありません。
弁護士に相談すれば、取り調べでの受け答えの注意点や、どのように事実を伝えるべきか具体的なアドバイスを受けられます。
証拠収集のアドバイス・サポートを受けられる
否認事件や事実関係を争う場合、証拠の収集・整理は勝敗を左右します。メールやSNSのやり取り、防犯カメラ映像、目撃証言などの証拠は、正しく確保しなければ採用されません。弁護士に依頼することで、必要な証拠の種類や収集方法、証拠の保全手順について的確に指導してもらえます。
不起訴獲得や刑罰の軽減に向けた弁護活動をしてもらえる
弁護士は、嫌疑不十分を主張したり、被害者が示談に応じない場合には法務局への「供託」を行ったりすることが可能です。供託とは、被害者に直接慰謝料を渡せないときに、法務局に金銭を納める制度のことです。被害者が受け取りを拒否しても「支払意思がある」と示すことができ、検察官に有利な印象を与えられます。
また「贖罪寄付(しょくざいきふ)」など、反省の姿勢を示す取り組みを通じて、検察官や裁判所に再犯のリスクが低いと認識させることで、刑の軽減につなげることもあります。
不同意わいせつ罪でお困りの方は「田渕総合法律事務所」へご相談ください
「田渕総合法律事務所」では、性犯罪事件に関する不起訴獲得の実績があり、実際に多数の示談成立をサポートしてきました。事務所は堺東駅から徒歩5分の場所にあり、オンライン相談にも対応しています。事前にご予約いただければ土日祝日も相談可能です。
刑事事件は初動のスピードが命です。「このままでは逮捕されるのではないか」「早く示談を進めたい」といった不安をお持ちの方は、一人で抱え込まず、お早めに当事務所へご相談ください。あなたの不安を軽減し、最善の結果へ導くために全力でサポートいたします。
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弊所の不同意わいせつ罪をはじめとする性犯罪の解決実績は、以下をご覧ください。
解決実績:刑事事件の事例紹介(ココナラ法律相談)
解決実績:不同意性交で不起訴を獲得したケース
まとめ
不同意わいせつ罪は、相手の同意がない状態でのわいせつ行為を厳しく処罰するものです。有罪となれば6か月以上10年以下の拘禁刑に処され、前科がつくことで社会生活に大きな影響を及ぼします。
しかし、弁護士に相談すれば、示談の成立や不起訴処分の獲得といった解決にも期待できます。弁護士は被害者との交渉や証拠収集、取り調べ対応、供託や贖罪寄付といった活動を通じて依頼者をサポートしてくれる存在です。
刑事事件はスピードが重要であり、時間が経てば経つほど不利益が大きくなる可能性があります。「不起訴を目指したい」「逮捕を避けたい」と考えている方は、迷わずお早めに弁護士へご相談ください。
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