痴漢の示談交渉は弁護士でないと難しい|示談金の目安や解決の流れ
刑事事件加害者側痴漢示談ある日突然、痴漢の容疑で警察から逮捕されたり呼び出しを受けたりしたとき、多くの方は「何をすればよいのか分からない」と戸惑います。冷静さを保つのが難しい中でも、早期に適切な対応をとることが、前科を回避し、社会的信用や仕事・家庭を守るために重要です。
特に、痴漢事件では被害者との示談が結果を大きく左右します。しかし、加害者本人が被害者と直接やりとりすることは原則としてできず、示談交渉には弁護士の力が欠かせません。
この記事では、痴漢事件において弁護士が果たす役割、示談の進め方や流れ、示談金の相場などを解説します。前科を回避したい方や早期解決を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
痴漢事件は早期に弁護士へ相談したほうが賢明
痴漢事件は、たとえ冤罪であっても社会的信用を一気に失いかねない深刻な問題です。刑事手続きのスピードが早く、対応を誤ると逮捕・勾留・起訴と立て続けに進むおそれがあります。また、職場への影響や家族関係の悪化など、人生に及ぼす影響も小さくありません。
そのため、痴漢事件に関与したとされた場合には、できる限り早く弁護士に相談することが重要です。ここでは、早期相談の重要性と、弁護士に依頼することで得られるメリットについて解説します。
逮捕・勾留のリスクが高く、初動対応が重要
痴漢事件は、被害者の証言のみで逮捕されるケースも少なくありません。逮捕されてしまうと、最大で23日間にわたり身体拘束を受ける可能性があり、その間に職場や学校に発覚して社会的地位を失うおそれもあります。
しかし、弁護士が早期に介入することで、捜査機関に対して適切な主張を行い、逮捕や勾留を回避できる可能性が高まります。また、任意の取り調べ段階でのアドバイスも受けられるため、供述内容を冷静に整理し、誤解や不利な供述を防ぐことが可能です。痴漢事件では初動の1日、1時間が重要です。
弁護士なら被害者との接触・示談交渉が可能
痴漢事件では、被害者との示談が成立すると不起訴処分を得られる可能性が高まります。しかし、被害者は加害者との接触を嫌がることがほとんどで、被疑者本人やその家族が直接被害者に連絡を取ることは、原則として不可能です。
その点、弁護士であれば法的に正当な立場で被害者側と連絡を取り、示談交渉を進めることが可能です。謝罪文や示談金の提示、条件の調整など、第三者として冷静かつ的確なサポートが受けられます。示談が成立すれば、不起訴や刑の減軽といった形で、事件が早期に解決する可能性が高まります。
不当な供述強要や冤罪対策にも弁護士の助けが有効
痴漢事件においては、身に覚えのないにもかかわらず「やったのではないか」と追及されるケースもあります。警察や検察の取り調べでは、プレッシャーの中で曖昧な供述をしてしまい、それが不利な証拠として扱われることも少なくありません。加えて、取り調べが長時間に及ぶと、早く帰りたい一心で事実とは異なる自白をしてしまう危険性もあります。
こうした状況下で、自分一人で正しい判断をするのは困難です。弁護士が同席すれば、不当な供述強要を防ぎ、法的に正しい対応をアドバイスしてくれます。また、客観的な証拠の収集や防犯カメラ映像の確認など、冤罪を晴らすための活動も弁護士が担ってくれます。
痴漢事件における示談のメリット
示談は単なる金銭のやりとりではなく、謝罪の意思を形にし、被害者との合意を得る重要な手続きです。特に刑事事件では、示談成立が不起訴処分や刑の軽減につながる大きな判断材料とされることも多く、早期に弁護士を通じて示談交渉を進めることが大切です。
ここでは、痴漢事件において示談を結ぶことのメリットを3つ紹介します。
前科を回避できる可能性がある
前科があると就職や転職、海外渡航などさまざまな場面で不利益を受けるおそれがあり、社会的信用の回復は困難になります。しかし、示談が成立していれば、検察官が「被害者の許しを得ている」として不起訴処分にする可能性が高くなります。
不起訴とは、起訴されずに事件が終了することを意味し、前科もつきません。特に、初犯や軽微な事案であれば、示談成立が強く考慮される傾向にあります。
刑事処分が軽くなる可能性がある
仮に不起訴処分とならなかった場合でも、示談の成立は裁判や処分において被告人に有利な事情として考慮されます。例えば、「実刑を回避して執行猶予付き判決になる」「罰金刑で済む可能性が高くなる」などです。裁判官は、被害者の処罰感情の有無や示談の有無を重要な判断材料として扱います。
示談書には「刑事処罰を求めない」という文言が含まれることが一般的で、被害者の許しが明確に表されることで、量刑に大きく影響を与えます。
家族や職場に知られるリスクを軽減できる
痴漢事件において逮捕・勾留されてしまうと、一定期間身動きが取れなくなり、その間に職場や家族に事件が知られてしまうケースが多くあります。報道対象となった場合や、突然の欠勤が続いたことにより不審に思われ、社会的信用を一気に失うリスクも少なくありません。
しかし、示談が早期に成立すれば、勾留回避や早期釈放を実現できる可能性が高まります。そして、会社や家族に発覚する前に問題が収束し、社会復帰もしやすくなります。
会社や家族にバレずに解決する方法については、次の記事を参考になさってください。
痴漢事件における示談金や弁護士費用の目安
痴漢事件での示談を検討する際に、多くの方が気になるのが「示談金はいくらぐらいかかるのか」「弁護士に依頼すると費用はいくらかかるのか」という点です。刑事事件は人生に大きな影響を及ぼすため、冷静な判断と早期の行動が求められますが、同時に費用面での不安もつきものです。
ここでは、痴漢事件における示談金と弁護士費用の一般的な相場について解説します。
示談金の目安
痴漢事件の示談金は、行為の内容や被害者の心身への影響、事件の態様によって大きく異なります。比較的軽度とされる迷惑防止条例違反(公共交通機関や公共の場での痴漢行為など)の場合、10万円〜50万円程度が一般的な相場です。
一方で、身体への接触が強く、被害の程度が重いとされる不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)に該当する場合は、30万円〜200万円以上と示談金が高額になる傾向があります。「被害者が未成年である」「長期間にわたる行為である」など悪質性が高いケースでは、さらに高額な示談金が必要になることもあります。
弁護士費用の目安
痴漢事件を弁護士に依頼する際に発生する費用は、主に相談料や着手金、報酬金などです。以下は、田渕総合法律事務所の料金表です。
法律相談料 | 30分につき5,500円 |
着手金 | 【逮捕勾留されていない場合】
33万円~ 【逮捕勾留されている場合】 44万円~ |
報酬金 | 33万円~ |
依頼前の逮捕勾留中のご本人との面会 | 5万5,000円 |
備考 | 上記は税込表記です。
事案によって料金が変動するため、事前に見積書を提示してご説明します。 また、別途、申立手数料等の実費、日当なども発生します。 |
痴漢事件を弁護士に依頼して示談を進める流れ
示談交渉の流れについて、疑問や不安のある方も多いのではないでしょうか。ここでは、弁護士に依頼してから示談が成立するまでの一連の流れを解説します。
弁護士を探して依頼する
まずは、痴漢事件に強い弁護士を探して相談・依頼します。選ぶ際のポイントは、刑事事件の対応実績が豊富であること、スピーディーに対応してくれるフットワークの軽さ、そして説明が丁寧で信頼できることです。
インターネット検索や法律相談ポータルサイト、知人からの紹介などを通じて候補を絞り、複数の弁護士に初回相談をしてから決めるのもよいでしょう。依頼する際は、委任契約を結び、事件の詳細を共有します。この段階で、示談交渉の方針や費用の見積もりも明確にしておくと安心です。
弁護士が被害者と連絡をとり、謝罪・賠償の意思を伝える
被疑者本人や家族が直接被害者と連絡を取ることは、トラブルの原因になりやすく、むしろ逆効果になる場合もあります。弁護士であれば、捜査機関(警察や検察)を通じて正式に「示談交渉を希望している」旨を伝えることが可能です。
被害者が示談交渉に応じる意思を示した場合、弁護士は被害者の連絡先の提供を受け、連絡を取れるようになります。その後、被疑者の謝罪文や反省文を作成し、弁護士を通じて被害者に手渡します。
謝罪文では、被害者の心情にも配慮し、謝罪の気持ちを誠実に伝えることが大切です。示談交渉では、基本的に被害者と弁護士が直接面談し、賠償額や示談条件を話し合います。
示談書を作成・締結する
被害者との話し合いが進み、示談の条件(金額、支払い方法、謝罪の内容など)が双方で合意に達したら、次は示談書を作成して正式に締結します。示談書には、「今後一切の刑事処罰を求めない」といった記載が盛り込まれることが多く、これが不起訴処分や量刑軽減につながります。
示談金の支払いについても、この時点で口座振込や現金を手渡しするケースが一般的です。
示談成立を検察に報告、不起訴処分を目指す
示談書の締結が完了したら、弁護士はその内容を検察官に報告します。ここで示談書の写しを提出し、「被害者が処罰を望んでいない」という事実を情状として強調します。
痴漢事件で示談が難しいケース
痴漢事件において、示談が成立すれば不起訴や処分軽減の可能性が高まりますが、すべてのケースで示談が可能とは限りません。被害者側の意向によっては、示談交渉自体ができなかったり、極端に高額な金銭を要求されたりすることもあります。
ここでは、痴漢事件で示談が難航するケースと、その対処法について解説します。
示談交渉を拒否された
被害者が強い処罰感情を持っている場合、「示談には一切応じたくない」「加害者とは連絡を取りたくない」として、示談交渉そのものを拒否されるケースがあります。このような場合、警察や検察を通じて弁護士が示談の意向を伝えても、被害者からの連絡先提供を拒否されることがほとんどです。
しかし、それでも弁護士は諦めずに、一定期間を置いて再度交渉の打診をすることが可能です。その際には、「誠実に謝罪と賠償をしたい」「加害者に連絡先は伝えない」といった内容を明確にし、被害者に心理的負担をかけない方法で接触する意思があることを強調します。
高額な示談金を要求された
被害者の処罰感情が強いケースや、社会的影響の大きい事件では、相場を大きく上回る高額な示談金を要求されることがあります。例えば、通常であれば数十万円程度が目安であるにもかかわらず、100万円以上、あるいは数百万円といった金額を提示されることもあります。
このような場合、弁護士が粘り強く減額交渉を試みることになりますが、被害者の意志が固い場合には、示談の成立そのものを断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
また、示談が成立しても、すでに事件が進行していて略式起訴や正式起訴が避けられない場合もあり、前科を完全に回避できるとは限らないという現実もあります。それでも、示談に向けた真摯な対応を続けること自体が、刑事処分における情状として考慮される可能性があります。
示談を拒否し、慰謝料も請求された
一部の被害者は「加害者を処罰してほしい」という強い意思を持っており、「示談には応じないが、被害弁償として慰謝料を請求する」というケースも少なくありません。被害弁償だけでは、示談ほどの法的効果はありませんが、加害者側の反省や謝罪の意思を示す証拠として機能します。
弁護士が弁償金の支払いを記録し、領収書や支払証明書と意見書を捜査機関に提出することで、情状酌量の材料として評価される可能性があります。結果的に起訴される可能性は残るものの、その場合でも刑が軽減されることもあり得るため、弁護士と連携して対策を講じましょう。
痴漢事件は「田渕総合法律事務所」へご相談ください
「田渕総合法律事務所」は、南海高野線「堺東駅」から徒歩5分というアクセスしやすい立地にあり、遠方にお住まいの方や多忙な方でも安心して相談できるよう、Zoomなどを活用したオンライン法律相談にも対応しています。
早期対応が求められる痴漢事件において、迅速かつ丁寧な対応で依頼者をサポートし、適切な解決を目指します。お早めにご相談ください。
痴漢の示談成立で不起訴処分を獲得した実績あり
田渕総合法律事務所では、痴漢・盗撮などの性犯罪事件において多数の示談成立・不起訴獲得の実績があります。例えば、盗撮で逮捕された依頼者については、早期に被害者と示談を成立させ、不起訴処分を獲得しました。また、痴漢行為で現行犯逮捕されたケースでも、早期に示談が成立して不起訴となり、前科を回避できました。
解決が難しい事案でも、諦めずにまずは一度ご相談ください。
田渕総合法律事務所の解決実績については、以下を参考になさってください。
事務所紹介:田渕 大介弁護士 田渕総合法律事務所 | ココナラ法律相談
解決実績:不同意性交で不起訴を獲得したケース
土日祝・夜間対応|スピーディーに解決を目指します
痴漢事件は「一刻を争う」ことが多く、タイミングを逃すと不利益を被る可能性が高まります。田渕総合法律事務所では、平日の日中に相談できない方のために、事前にご予約いただければ土日祝や夜間の相談にも対応可能です。また、相談受付からすぐに着手し、警察・検察への対応、被害者との示談交渉までをスピーディーに進めます。
まとめ
痴漢事件においては、早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。逮捕・勾留を回避できる可能性があるだけでなく、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分となり前科を避ける道も開けます。
しかし、すべての事件で示談がスムーズに進むわけではなく、示談交渉の拒否や高額な要求、処罰を求める意向など、困難な局面に直面することもあります。
「痴漢をしてしまった」「痴漢していないのに疑われている」といった場合は、ぜひ田渕総合法律事務所にご相談ください。あなたの未来を守るために、全力でサポートいたします。
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