退職代行を弁護士に依頼するメリットや費用は?
退職代行自分で勤め先に退職の意思表示ができない場合は、退職代行を依頼するのが手です。退職代行の依頼先は、「一般企業(退職代行業者)」「労働組合」「弁護士」の主に3つがあります。それぞれでメリット・デメリットがありますが、基本的には弁護士に依頼するのがおすすめです。
この記事では、退職代行を弁護士に依頼するメリットや利用の流れ、費用について解説します。
目次
退職代行を弁護士に依頼するメリット
「退職代行の依頼はどこでもよいのでは?」「依頼先によって何が変わるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。退職代行を業者や労働組合に依頼することも可能ですが、弁護士にしかないメリットがあります。
ここでは、弁護士に依頼するメリットを7つ紹介します。
非弁行為のリスクがない
非弁行為とは、簡単に説明すると「報酬を得る目的で、弁護士のみ認められている行為を弁護士以外のものが行うこと」を指します。弁護士法第72条では、「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」と定められています。
つまり、退職代行業者ができるのは、本人の退職の意思を代弁して伝えることのみです。退職に関わる具体的な退職日の調整や未払い賃金などの交渉はできません。弁護士以外の人(退職代行業者)が非弁行為をした場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。
退職代行業者が訴えられても労働者は基本的に罰を受けることはありませんが、警察から聞き取り調査をされる可能性があります。
【参考|弁護士法 | e-Gov法令検索】
会社と交渉が可能
弁護士であれば、退行代行業者や労働組合ができない「交渉」も行えます。具体的には、以下のような交渉が可能です。
- 有給休暇の取得に関する調整
- 退職日の調整
- 未払賃金の支払いについて
- 残業引き継ぎについて
単に退職の意思を会社に代弁して伝えて欲しい場合は、退職代行業者や労働組合でも問題ありません。しかし、話し合いや交渉が必要な場合には、弁護士に依頼するのが適切です。
退職できる可能性が高まる
会社によっては、「退職代行業者からの電話には対応しない」というケースもあります。退職意思を伝えられたとしても、会社側が反論したり条件つけてきたりした際には、退職代行業者は対応できません。しかし、弁護士であれば交渉が許されているため、会社側が退職に関する条件をつけてきても適切に対応してくれます。
退職に伴う手続を任せられる
退職する際には、健康保険や年金、雇用保険などの手続が必要となりますが、弁護士に依頼することで全て代行してもらえます。
未払賃金の請求、精算ができる
「給与が予定どおりに振り込まれない」など、未払賃金が原因で退職するケースもあるでしょう。自身で未払賃金を請求すると、会社からごまかされる可能性も少なくありません。
弁護士に依頼することで、遅延損害金も含めて未払賃金の計算・請求をしてもらえます。未払賃金の証拠がない場合でも、弁護士による開示手続により賃金台帳やタイムカードなどの証拠を入手できる可能性があります。
ハラスメントの慰謝料請求や労災認定申請を代行してもらえる
セクハラやパワハラなどが原因で退職する場合には、ハラスメントを受けた精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。
また、ハラスメントや長時間労働などが原因で怪我をしたり病気になったりした場合は、労災として認定される可能性もあります。しかし、労災認定の申請には、書類の作成や医師の証明などが必要で、自身で行うのは困難です。
弁護士に依頼すれば、慰謝料の請求から労災認定申請の代行まで、トータルでサポートしてもらえます。
損害賠償を請求されても対処してもらえる
退職の意思を伝えると、会社から報復として損害賠償を請求してくるケースもまれにあります。退職代行業者や労働組合では損害賠償請求に対して対応できませんが、弁護士であればトラブルが起きても安心です。審判や訴訟にもスムーズに移行でき、裁判になっても対応を任せられます。
退職代行業者との違いは?
テレビやSNSなどで「退職代行サービス」という言葉が話題になったこともあり、退職代行業者の知名度が上がっています。
退職代行業者のサービスは、労働者に代わって勤め先に退職の意思表示をすることです。そのため、有給の取得交渉や未払賃金の支払い交渉、退職日の調整はできません。退職に関するトラブルが発展した場合も、退職代行業者は対応できない決まりとなっています。
一方で、弁護士であれば退職の意思表示から交渉、トラブルの対応まで一貫して任せられます。
退職代行を弁護士に依頼した場合の流れ
一生の中で、弁護士に依頼するケースは滅多にありません。そのため、弁護士に退職代行を依頼した際に、どのような流れで進むのかイメージがつかない方も多いのではないでしょうか。ここでは、退職代行を弁護士に依頼した場合の流れを4つの手順に分けて紹介します。
法律相談
退職代行をする弁護士を探して相談します。弁護士を探す際は、「労働問題に注力している弁護士か」「経験や実績は豊富か」「相談しやすいか」などを意識してみてください。経験や実績が豊富な弁護士に依頼することで、退職に関する交渉もスムーズに進められます。
法律事務所によっては初回相談を無料で実施しているケースもあるため、複数相談を受けて「話しやすさ」「丁寧さ」「信頼できそうか」などを評価して決めるのもよいでしょう。
就業規則、給与規程、人事担当者などの確認
弁護士が就業規則や給与規程、人事担当者などを確認します。就業規則には、「退職の意思表示は1ヶ月以上前から」といったように、退職手続に関する会社のルールが記載されています。
民法では2週間前に退職の意思表示をすれば退職は可能です。しかし、会社のルールに従ったほうがトラブルに発展するのを防げます。未払賃金がある場合、給与規定を確認して請求額を計算してもらいます。
有休消化、退職日の決定
「有給を消化してから退職するのか」「退職日をいつにするのか」を弁護士と話し合って決めます。有給の日数は法律で決まっているため、「残りの有休日数が分からない」といった場合でも、弁護士に計算してもらえます。
弁護士から会社への通知
依頼者の希望に沿って、弁護士が会社へ退職の意思を伝達します。必要に応じて交渉や調整も行ってもらえます。依頼者の退職が勤め先で承認されれば、退職が完了です。
退職代行にかかる弁護士費用
退職代行にかかる弁護士費用は、総額で10万円程度が目安です。退職代行業者に依頼すれば1万~5万円程度と安価に済みますが、退職における交渉やトラブルが起こるリスクを踏まえると、弁護士に依頼したほうが確実です。
まとめ
退職代行の依頼先には、退職代行業者と労働組合、弁護士の主に3つあります。退職代行業者や労働組合に退職代行を依頼すれば安価に済ませられますが、交渉やトラブルの対応はしてもらえません。
弁護士に退職代行を依頼することで、未払賃金の支払い請求や退職日の調整などを任せられる他、損害賠償を請求されても対応してもらえます。退職を確実なものにするためにも、ぜひ弁護士への依頼を検討してみてください。
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