ネットのなりすまし被害は迅速な「開示請求」が必要!手続きの流れや注意点を解説
なりすまし被害ネット「なりすまし」とは、第三者になりすまして行動することを指します。ネット上のなりすまし被害には、「本来のユーザーになりすまして不正にログインする」「SNSで実在するユーザーと同じ名前のアカウントを作り、発言する」などが挙げられます。
なりすましを放置すると、金銭的なトラブルや犯罪に巻き込まれるなど、重大な被害を及ぼすおそれがあります。一刻も早く情報開示請求をして犯人を特定し、法的責任を追及しましょう。
この記事では、なりすまし被害に遭った方に向けて、情報開示請求の流れや注意点を紹介します。
目次
なりすまし被害は一刻も早い「情報開示請求」が必要
なりすまし被害の対処が遅れると、個人情報が抜き取られたり犯人が特定できなくなったりする可能性があります。被害に遭ったら一刻も早く情報開示請求が必要です。
ここでは、その理由について解説します。
なりすまし被害への対処が遅れるとどうなる?
なりすましへの対処が遅れると、個人情報の流出や金銭的な被害、犯罪の濡れ衣、信用毀損などの被害が出る可能性があります。
例えば、自身のアカウントに不正ログインされれば、自身やフォロワーの個人情報が抜き取られてしまうおそれがあります。また、アカウントを乗っ取られて勝手に他人の誹謗中傷を投稿されたり、商品の宣伝に利用されたりする可能性も少なくありません。
近年は、SNS上で有名人と同じ名前、同じ写真のアカウントを作り、本人のイメージが低下するような発言をする迷惑行為も増えています。
こうした「なりすまし」は、個人だけでなく企業が被害を受けることも少なくありません。銀行や有名企業になりすまし、メールでフィッシング詐欺に誘導する手口があります。企業がなりすましの被害を受ければ、ブランドイメージの失墜につながりかねません。
発信者情報開示請求には期限がある
発信者情報開示請求でなりすましの犯人を特定するには、保存されているアクセスログが消える前に手続きしなくてはなりません。アクセスログは、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度で消えてしまうことから、タイムリミットは短いといえます。
発信者情報開示請求の準備にはある程度時間がかかるため、なりすまし被害に気づいたら迅速に行動しましょう。
なりすましの犯人を特定|発信者情報開示請求の流れ
どのように情報開示請求を進めればよいのか分からない方も多くいるでしょう。ここでは、なりすましの犯人を特定する情報開示請求の流れを、4つのステップに分けて解説します。
なりすましの証拠を確保する
まずは、なりすましによって権利侵害を受けていることを証明するための証拠を保全する必要があります。なりすましアカウントのプロフィール欄や投稿画面などをスクリーンショットで記録しましょう。スクリーンショットは、以下の内容を含めて撮影するのがポイントです。
- 悪質な投稿の内容、画像、動画
- 投稿のURL、スレッドの名称
- 投稿日時
引用の投稿や返信など、関連するものもすべて証拠として残しておきましょう。
サイト管理者に発信者情報開示請求をする
なりすましの犯人を特定するには、発信者が利用したプロバイダ(通信会社)を明らかにする必要があります。
そして、プロバイダを明らかにするには、IPアドレスやタイムスタンプなどの発信者情報が必要ですが、これらの情報はサイト管理者が把握しています。
そこで、まずは、サイト管理者に対して発信者情報開示請求をします。
発信者情報開示は民事上の請求権であり、裁判手続きでなくても可能です。これを「任意開示」といいます。しかし、任意開示でサイト管理者が応じるケースは多くありません。
サイト管理者が応じない場合は仮処分手続き
サイト管理者が任意での発信者情報開示に応じない場合は、仮処分をします。
仮処分とは、発信者情報開示請求の訴訟が確定する前に証拠を保全する手続きのことです。
プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起する
サイトの管理者から送達されたIPアドレスを基に、発信者のプロバイダを特定します。インターネット上に、IPアドレスからプロバイダを検索できる無料のサービスがあるため、検索してみてください。
プロバイダを特定した後、発信者情報開示請求訴訟を提起します。裁判所が「情報を開示する義務がある」と判断すれば、プロバイダに対して発信者情報を開示するよう命令が下されます。
【新設】発信者情報開示命令がスムーズ
上記で紹介した発信者情報開示請求には、サイト運管理者とプロバイダそれぞれに発信者情報開示請求が必要で、手間も時間もかかるのが問題点です。しかし、2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法で、「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続」という非訟手続が新設されました。
この新設された発信者情報開示命令では、1回の裁判手続きでサイト管理者とプロバイダの両方に発信者情報開示請求ができます。上記で紹介した従来の発信者情報開示請求よりも負担が少なく、短期間での解決に期待できる点がメリットです。
とはいえ、新設された発信者情報開示命令でも異議が申し立てられれば、通常の訴訟に移行します。そのため、初めから従来の発信者情報開示請求をしていたほうが早いケースもあります。
特定した犯人に損害賠償請求/刑事告訴
発信者情報開示請求を経て、なりすましの犯人を特定したら法的責任を追及しましょう。なりすましによって権利侵害を受けた場合は民事での損害賠償請求、犯罪行為に該当する場合は刑事告訴が可能です。
例えば、なりすましのアカウントで自身の個人情報を流出された場合は「プライバシー侵害」として損害賠償の請求ができ、なりすましアカウントで自身の名誉を傷つけられた場合は「名誉毀損罪」として刑事責任を問えます。
なお、法的に発信者情報開示請求が認められる場合の解説については、以下の記事をご覧ください。
なりすましのアカウントや投稿は削除できる?
SNSやサイトの運営者に「なりすまし被害」について通報し、認めてもらえれば投稿やアカウントを削除してもらうことが可能です。多くのSNSでは通報窓口が用意されているため、探してみましょう。
裁判ではアカウントの削除が認められにくいことから、こうした裁判外での手続きを慎重に進めることが大事です。
「なりすまし被害」に遭った事実を周囲に伝えることも大事
悪質ななりすまし犯は、自身の知人やフォロワーに対して嫌がらせや詐欺行為をする場合があります。本人だと勘違いし、知人やフォロワーが被害を受けてしまう可能性があります。また、今後の人間関係にも悪影響を及ぼしかねません。
知人やフォロワーを守るためにも、なりすまし被害を受けていることを連絡しておくとよいでしょう。
なりすまし被害を弁護士に相談するメリット
なりすまし被害は、個人で対応するよりも弁護士に任せたほうが賢明です。ここでは、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
スムーズな情報開示請求が可能
情報開示請求は煩雑であり、不慣れな人が行うと時間も負担もかかります。情報開示請求にはタイムリミットがあるため、スピード対応が求められます。
ネットトラブルに精通した弁護士は情報開示請求に慣れており、スムーズに手続きを進めることが可能です。また、情報開示請求だけでなく、示談交渉やその他の裁判手続きもトータルで任せることができ安心です。
法的根拠に基づいた損害賠償を請求できる
法律の知識がないと、適切な損害賠償を請求するのは難しいといえます。弁護士に依頼することで、法律に沿って適切な損害賠償を請求でき、犯人とのやり取りも任せることが可能です。刑事責任を追及する場合も告訴状の作成を任せられるため、自身の負担を大幅に軽減できます。
発信情報開示請求は「田渕総合法律事務所」にお任せください
「SNSのアカウントを乗っ取られた」「なりすまし被害を受けている」といった場合は、ぜひ田渕総合法律事務所にご相談ください。当事務所はネットトラブルの解決実績が豊富にあり、情報開示請求や法的手続きなどを迅速に進めることが可能です。
詳細で丁寧な法律相談を心がけています
弁護士への相談に対し、「ハードルが高い」「相手にしてもらえないのではないか」という不安を持つ方が多くいらっしゃいます。
しかし、弁護士に相談したからといって契約しなければいけないわけではありませんので、ご安心ください。初回相談で解決の見込みや弁護士費用などを丁寧にご説明しますので、一度持ち帰って十分に検討していただいて構いません。
全国対応|平日夜間、土日祝日の相談も可
田渕総合法律事務所は大阪府堺市の堺東駅から徒歩5分の場所にあり、アクセス良好です。また、電話やメール、Web面談にも対応しており、全国各地の方からご相談をお受けしております。
事前にご予約いただければ、平日夜間や土日祝日の法律相談も可能です。Webからの問合せは24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
なりすまし被害に遭った場合、一刻も早く情報開示請求をして犯人を突き止めることが大事です。対処が遅れると、個人情報が抜き取られたり、金銭トラブルに巻き込まれたりします。情報開示請求には期限があるため、手続きにはスピードが要求されます。
被害拡大を防ぎ、犯人に法的責任を追及するためにも、法律の専門家である弁護士への相談を検討してみてください。
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