【法人向け】労働組合・ユニオン対応 |堺市の弁護士【田渕総合法律事務所】堺東駅5分

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【法人向け】労働組合・ユニオン対応

会社に労働組合がなくても団体交渉はあり得る

会社と労働組合の紛争は、最近では少なくなっています。
そもそも労働組合組織率も年々低下しており、厚生労働省の調査では、2022年の時点での雇用者数に占める労働組合員数の割合である推定組織率は16.5%と過去最低を更新しています。
会社内部に労働組合がない会社も多いので、そもそも、会社と労働組合の紛争は起こりえないのではないかと思うかもしれません。
しかし、会社内部に労働組合がなくても、労働組合からの団体交渉の申し入れとは無縁ではありません。
最近増えているのが、会社の外部で組織された合同労働組合、コミュニティ・ユニオンと言った労働組合(ユニオン)からの団体交渉の申し入れです。
会社に対して何らかの不満を抱いた従業員が、ユニオンに駆け込み、ユニオンの力を借りる形で、会社に対して何らかの要求をしてくるという形で問題になります。
 

会社が労働組合(ユニオン)から団体交渉を受けた場合の対応方法

会社の外部で組織された労働組合(ユニオン)から団体交渉を受けた場合でも、会社は無視することはできません。
どのような労働組合からであれ、団体交渉の申し入れを受けた会社は、交渉の義務を負う事項に関しては、誠意を持って対応すべきという誠実交渉義務を負っていると解されています。
 
また、会社が団体交渉を正当な理由がなく拒否すると労働組合法に規定されている不当労働行為に該当してしまいます。(労働組合法7条二号)
会社の行為が不当労働行為に該当する場合は、団体交渉を申し入れた労働組合側は、労働委員会に対して不当労働行為事件の審査の申し立てを行うことができることになります。
もちろん、会社側も労働委員会から呼び出しを受けて審問を受けたり、証拠の提出を求められてしまうことになります。(労働組合法27条)
つまり、団体交渉を拒否したために却って手間がかかる事態に陥ってしまうわけです。
 
もっとも、労働組合が申し入れた団体交渉事項が会社として対応しなければならない事項なのかどうかの判断は必要です。
具体的には、労働条件その他労働者の処遇に関する事項、労使関係の運営に関する事項等に関する申入れの場合は、会社は誠実交渉義務を負いますが、それ以外の労働条件等とは無関係の事項に関する申入れに対しては、会社としても対応する必要はありません。
ただ、労働組合側の申し入れ事項が、会社側として誠実に対応しなければならない事項なのかどうかの判断は、労働問題に詳しい弁護士でなければ難しいものです。
 
また、労働組合側は、会社に対する団体交渉の申し入れに慣れていることが多く、会社側に団体交渉への対応に関する知識がないと分かると、労働法上、会社が対応する必要のないことまで要求をしてくることもあります。
その様な事態を避けるためにも、団体交渉の申し入れを受けた場合は、労働問題に詳しい弁護士に助言を求めるべきなのです。
 

労働組合との団体交渉の日時や場所について

労働組合から団体交渉の申し入れを受けた場合は、基本的には団体交渉に誠実に応じなければなりません。
労働組合側から、団体交渉の日時や場所を指定してくることもあるでしょう。
もちろん、会社側は、指定された日時や場所をそのまま受け入れなければならないわけではなく、合理的な範囲内であれば調整の申し入れができます。
 
日時については1か月以上先と言った日程だと、不当に団体交渉を先延ばしにしていると受け取られかねませんので注意が必要です。
団体交渉の場所については、会社の社屋は望ましくないとされています。
労働組合側が居座ったり、実力行使に出るなどして、要求をごり押しする可能性があるためです。
一般的には、外部の貸会議室、ホテルの部屋などを借りるのが望ましいとされています。
時間制限や外部の目があることから、労働組合側による居座りや実力行使を防げるためです。
 

労働組合との団体交渉の出席者について

団体交渉の場での主席者については、制約はありません。
労働組合側からは何人でも出席できますし、会社側も経営陣が全員出席することもできます。
ただ、労働組合側からの出席者が多い場合は、集団による威圧的な行動に出てくる懸念もありますから、出席者を制限してもらうことも検討すべきでしょう。
会社側も決定権限のある代表者が出席すべきかどうかは、検討する必要があります。
代表者がいなければ「取締役会で諮ってから決定する」という形で、先延ばしができますが、代表者が出席している場合、その場での即決を求められる可能性もあるためです。
もっとも、中小企業では、経営陣の数も少ないので代表者自身が出席せざるを得ないことが多いかもしれません。
その様な場合は、労働組合側の要求に応じるべきなのかどうかについて、労働問題に詳しい弁護士に同席を求めて、助言を受けながら、意思決定することが望ましいでしょう。
 

労働組合との団体交渉だけで決着することが望ましい

労働組合との団体交渉では、労働組合側が様々な要求をしてくるでしょう。
その要求を受け入れるかどうかは、経営者が判断することですが、会社としては到底受け入れられない要求もあるでしょう。
団体交渉において、労働組合と会社側とで妥協点を見いだせない場合は、労働組合側は労働訴訟や労働審判を起こしてくることも考えられます。
その様な場合、会社側としては、労働訴訟や労働審判のために様々な資料や証拠を集めるなどの準備をしなければならないことになりますし、そのための費用や時間もかかることになります。
会社の仕事が忙しいからと言ってないがしろにすることはできないわけです。
こうしたことを考えると、団体交渉を受けた場合には、争いを労働訴訟や労働審判に持ち越すのではなく、できる限り、団体交渉の場での解決を目指すべきと言えるでしょう。
労働組合側の要求が、会社側が受け入れるべき事項なのか、労働訴訟や労働審判で拒否して勝てるものなのかについても、労働問題に詳しい弁護士に相談してから判断すべきでしょう。