ハラスメント |堺市の弁護士【田渕総合法律事務所】堺東駅5分

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ハラスメント

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは

  • 1、職場において行われる
  • 2、優越的な関係を背景とした言動
  • 3、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 4、労働者の就業環境が害される

これらの要件をすべて満たすもののことです。
 

1、職場とは

職場とは、普段働いている職場のことと考えてください。
普段とは違う場所も職場に該当することがあります。
例えば、出張先に向かう途中の車内、取引先との打ち合わせを行う場所なども職場に含まれます。
また、勤務時間外の宴会などの懇親の場でも、実質上職務の延長と考えられるものは、職場に含まれると解されることもあります。
社員寮や通勤、退社の途中も同様です。
 

2、優越的な関係

一般的には、上司と部下に関係にある場合の上司からの言動のことです。
部下が抵抗や拒絶ができない状況で行われる場合を指します。
また、同僚でも業務上必要な知識や豊富な経験を有してる同僚との関係も優越的な関係とされることあります。
先輩と後輩、新人の関係などがこれに当たります。
 

3、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは

業務上必要性のない言動やその言動の態様が相当でないものを指し、様々な要素を総合的に考慮して判断します。
労働者に問題行動があったために指導する場合でも、人格を否定する言動は、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動と判断されることもあります。
 

4、労働者とは

立場を問わず、事業主が雇用する全ての労働者を指します。
正規雇用労働者はもちろん、パートタイム労働者、契約社員、アルバイトなどの非正規雇用労働者も含みます。
派遣労働者も、派遣元との関係はもちろんのこと、派遣先との関係でも労働者に該当します。
 

5、就業環境が害されるとは

労働者が身体的又は精神的苦痛を感じて、就業するうえで重大な支障が生じてしまうことです。
「平均的な労働者」が、その言動を受けた際に同じように感じるかどうかが判断のポイントです。
 

パワーハラスメント(パワハラ)の類型

1、身体的な攻撃型のパワハラ

殴る、蹴る、物を投げる、物で叩くなどの労働者の身体に対する直接的な攻撃や威嚇により、従わせようとすることです。
 

2、精神的な攻撃型のパワハラ

脅迫、人格を否定する言動、侮辱や名誉棄損に当たる言動、暴言などにより、精神的な攻撃を加えることです。
 

3、人間関係からの切り離し型のパワハラ

特定の労働者を仕事から外す。
無視したり仲間外れにする。
別室に隔離すると言った行為のことです。
 

4、過大な要求型のパワハラ

業務上明らかに不要な内容や、労働者にとって遂行不可能な業務を強要することや、仕事の妨害をすることです。
 

5、過小な要求型のパワハラ

業務上の合理性がないのに、労働者の能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、仕事を与えないと言った行為です。
 

6、個の侵害型のパワハラ

労働者を職場外でも継続的に監視する。
労働者の私物を写真で撮影すると言ったプライバシー侵害行為のことです。
また、上司との個別の面談で話した性的指向・性自認や病歴などの機微な情報を上司が本人の了解を得ずに、他の労働者に暴露することもこの類型のパワハラに当たります。
 

その他のハラスメントの種類

ハラスメントは、上記に該当するパワーハラスメント(パワハラ)が代表例ですが、現在では、パワハラ以外にも職場の就業環境を害する様々なハラスメントが問題視されるようになっています。
 

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

働者の意に反する性的な言動が、職場において行われたことにより、労働者の就業環境が害されたり、労働条件について不利益を受けることです。
 

性的な言動とは

直接に性的な行為をすることはもちろんのこと、性的な内容の発言も含まれます。
例えば、必要なく身体に触れたり、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘いなどが当たります。
また、性的な事実関係を質問したり、うわさを流すことも、性的な言動に含まれます。
 

セクハラの行為者と被害者は

性別を問わず、セクハラの行為者と被害者になり得ます。
例えば、女性による男性への行為もセクハラに当たることもあります。
また、同性同士でもセクハラに当たることがあります。
上司と部下と言った優越的な関係にある場合だけでなく、対等の者同士や取引先、顧客との関係でもセクハラに当たることもあります。
 

「女性だから何々」、「男性なのに何々」と言った言動には注意

固定的な性別役割分担意識に基づく言動には注意が必要です。
例えば、「お茶くみは女性がやれ」「男性なのに育児で休むのはありえない」といったような言動も、セクハラに該当することがあります。
 

セクシュアルハラスメント(セクハラ)の類型

1、対価型セクシュアルハラスメント

経営者や上司が労働者に対して意に反する性的な関係を求めたのに対して、労働者が応じなかったことで、解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否などの不利益を受けるような場合です。
 

2、環境型セクシュアルハラスメント

上司や先輩に腰や胸などを度々触られるといったようなことにより、労働者の就業環境が不快なものになり、仕事に集中できなくなったり、能力を発揮できなくなるような場合です。
また、プライベートな交際関係について、上司や同僚から意図的に吹聴されたために労働者の就業環境が不快なものになる場合も含まれます。
 

マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠・出産したことや育児休業等を申出・取得したことについて、職場で上司や同僚からの言動によって、妊娠・出産、育児休業等を申出・取得した女性労働者の就業環境が害されることです。
また、男性が育児休業を取ることによって、同様の状況になることをパタニティハラスメント(パタハラ)と言います。
 
なお、労働者が妊娠・出産したことや育児のための制度を利用したことを理由に、事業主が解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しないといった行為を行うことは、マタハラ、パタハラの範疇を超え、「不利益取扱い」として、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法違反に該当します。
 

ケアハラスメント(ケアハラ)

ケアハラスメント(ケアハラ)とは、介護休業等を申出・取得したことについて、職場で上司や同僚からの言動によって、介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることです。
 
なお、労働者が介護休業等の制度を利用したことを理由に、事業主が解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しないといった行為を行うことは、ケアハラの範疇を超え、「不利益取扱い」として、育児・介護休業法違反に該当します。
 

ハラスメントに対して法的に戦うためには?

労働者の方が、上記のようなハラスメントを受けたことを理由に、慰謝料、損害賠償を請求するために大切なことは、次の2点です。
 

  • 1、証拠を取っておく。
  • 2、実際の被害についての診断書を取っておく。

 
証拠は、上司や同僚の言動が客観的に分かる物が必要です。
被害者自身の証言だけでは弱いですし、職場の親しい同僚の証言もあまり頼りにはならないと思ってください。
有力な証拠は、相手の言動の録音や被害状況の写真などです。
メールやLINEのやり取りもそのまま証拠になります。
また、被害の期間や内容について詳細に記録した手書きの日記なども録音や写真の証拠を補強するものになります。
 
実際の被害については、暴力をふるわれてケガをしたのであれば、その日のうちに病院に行き、診断書を書いてもらうことです。
相手の言動によりうつ病などの精神的な病気になってしまった場合も、病院で診察してもらい、ハラスメントが原因である旨の診断書を書いてもらいましょう。
 
ハラスメントに対して、法的に戦うために必要な証拠は、状況により異なります。
早めに弁護士にご相談いただくことで、より早くハラスメント被害から脱することができます。